乗鞍岳 駒ノ鞍 2007年10月22日

 


 駒ノ鞍は乗鞍屏風岳から岳西側に延びる尾根上にあり標高は約2300m、最寄の登山口は子ノ原高原である。子ノ原高原の標高は約1600mあるので山頂までは700mあまりで余裕の日帰りコースなので、浅間の牙山、剣ヶ峰に登った翌日に登ることにした。松本を抜け奈川から野麦峠を越えてからが遠かったが無印良品の南乗鞍キャンプ場の案内標識を頼りに進み、国道から右に登っていくとゲートが閉まっていて張り紙があった。なんと登山者は車の乗り入れどころか敷地への歩いての立入さえ禁止と強い調子で書かれている。以前、何らかのトラブルがあったのだろうか。こんなことが書かれているのに堂々と別荘地やキャンプ場へと続く長い道をザックを背負って歩くわけにもいかないので急遽コースを変更することになってしまった。ここから登るにはキャンプ場に宿泊するしかないが、もう今年の営業は終わっているのでそれも不可能だ。

 車の後ろにエアリアマップはたくさん積んでいるので乗鞍を探したが見つからない。ロードマップでは九蔵谷からのコースが次に近いのだが、林道がどこまで入れるのか皆目見当が付かないし、もし入れるはずでも今年の夏の大雨で崩れて入れない可能性も考えられる。一番安全なのは国立青年の家がある日影平まで行くことだが、車での移動が遠いことに加えて駒ノ鞍までも遠いのが難点だ。ロードマップを見ると日影平山、丸黒山を越えた先にあり、ざっと見た感じでは片道8km、累積標高差で1000mを越えそうで、2日目に登る山としてはちょっときつい。しかし、せっかくここまできて登らないのはもったいないので睡眠時間は短くなるが車を運転し続けることにした。東京に帰る時刻が遅くなって翌日に疲れを残しそうだが、ここまで来てそんなことを気にしてはいられない。

国立青年の家駐車場 登山口

 

 青年の家駐車場到着は午後9時を過ぎ、周囲の様子は皆目分からない。しかし、でかい案内図の横に登山届けの箱が置かれた登山口があり、大猫山のように行方不明者の看板が出ていたのですぐ分かったのは皮肉だ。でかい駐車場なので登山者の車が多少止まっていても問題ない広さで、一番奥に止めて寝た。明日は地図が無いが、登山道は明瞭だろうから問題ないだろう。

丸黒山までこんな標識が続く 最初は林道歩き

 

 翌朝、朝飯を食って無風快晴の好天の中出発。青年の家敷地内は案内図に従って進む。登山口から階段を上がるとキャンプ場のような建物が点在する開けた場所に出て、樹林との境界付近を付近を進むと未舗装の車道が出現、そこには丸黒山登山道の看板が出ていた。おまけに丸黒山山頂までの距離?を1〜60で表した標識もあって、およそどのくらい進んだのかがわかる様になっていた。今日は地図が無いのでこれは助かる。

日影平山山頂 登山道はよく整備されている

 

 林道をくねくねと歩いて終点で左に上がる階段と直進する歩道に分かれるが案内標識が無く、地図を持っていないので判断に迷うが、こんなときは正直に稜線上を行くのがセオリーなので左の階段を上がることにする。しかし、今まであった数字の案内標識が消えてしまいルートをミスったようだ。でもロードマップで見た感じではこの辺りには日影平山があるはずなので山頂に向かっているようだ。GPSを出して確認しようかと思ったら山頂標識が先に出現、進路は右に曲がって下り始め、番号標識がある正式ルートに出た。林道終点を直進すれば日影平山を登らず巻いてしまうのだった。ま、1つ山頂を稼げたのでよしとしよう。


新道/旧道合流点の休憩所 旧道分岐

 

 正式ルートとは言えいくつか分岐があるが、番号標識が続くルートを辿った。しかし、ここは細かなアップダウンが続き、余計な分岐はそれらを巻くルートであることが帰りにわかった。鞍部で「新道」と「旧道」に分かれるところはどっちも駒ノ鞍に到達するだろうことは予想できたが、どちらが楽なコースかはわからない。常識的判断では旧道は無駄が多いので楽な新道が作られると考えるのが自然だろうから新道を行ってみたが、こちらはアップダウンのある稜線を正直に超えていくルートだった。帰りに旧道を通ったらピークをすべて巻いていて楽なコースで、予想は外れていた。

丸黒山直下から見た乗鞍岳 丸黒山直下から見た駒ノ鞍

 

 新道と旧道が合流すればその先は1本道で判断に迷うことは無かった。やっとアップダウンから開放されて登り一辺倒になるとちょろちょろと雪が現れ始めた。北アから外れてしかもまだ2000mに達していない場所で雪が残っているのだから、穂高周辺の2000m峰は残雪だったに違いない。丸黒山山頂手前で東の展望が開けて乗鞍が見えたが、森林限界以上は白かった。

丸黒山山頂 丸黒山から見た高山方面

丸黒山から見た槍穂〜笠ヶ岳

 

 丸黒山は山頂付近がなだらかで、肩に達して山頂間近と思ったら番号標識は53くらいだった。山頂は60なのでまだ1/10くらいの行程が残っているわけか。しかしほとんど水平移動なので大した労力を使う必要は無く、最後に少し突き上げると丸黒山山頂だった。今までのように樹林で何も見えないかと思いきや、開けた場所で展望が良かった。圧巻は笠ヶ岳を中心とする北アで軒並み白かった。杓子平も白かったので森林限界以上は雪だったようだ。もちろん樹林の下にも雪があるだろう。頭を僅かに出している薬師岳は真っ白だった。ここでしばし休憩。

 駒ノ鞍はここから100m少々下って登り返す。少し道幅は狭くなるが笹は刈り払われて1級の登山道だ。かなり急な下りが終わって鞍部に到着、その後はダラダラと少しずつ高度を上げるので時間の割には標高が上がらない。雪の上には1人が往復した足跡が残っているが、昨日歩いた人だろうか。足跡が残るほど雪が残っているのはほんの僅かな区間だけで、ほとんど雪は消えていた。

南東側から見た丸黒山 千町ヶ原 背景は白山
登山道を離れて駒ノ鞍を目指す 駒ノ鞍山頂。だだっ広い樹林

 

 今までずっとシラビソ樹林+笹原の組み合わせだったが、突然開けた湿地帯に飛び出した。千町ヶ原のようだ。ここで九蔵谷方面のルートが分かれるが、案内標識は無いもののしっかりとした笹の刈り払いと目印が続いていた。木道を歩いてなおも標高を上げると樹林帯に戻るが笹は消えて南アのようになる。そろそろ高度計の表示が2300mに近づいたのでGPSの電源を入れて山頂までの距離を確認するとまだ500mくらいあってがっかりする。緩やかに登って稜線右側を歩くようになると山頂まで100mほどに接近したが、登山道はこのまま右を巻いて下り始めてしまったので左手のシラビソ樹林に入って適当に上を目指した。ここは笹が無いのでどこでも歩くことができ、ルートを外れても問題ない。山頂一帯はなだらかでどこが最高点なのか分からず、GPSの残距離がゼロになったところを山頂として休憩した。周囲はシラビソを中心とした樹林で展望は無く、標識や目印も見られなかった。どこかにあるのかもしれないが、これだけなだらかだとテンテンバラバラの場所につけるだろうからなぁ。密林ではないので日当たりのいい場所もあり、そこで休憩した。


 帰りも丸黒山より先はアップダウンが続くので、あまり時間短縮はできそうにない。東京への帰りが遅くなるのは確実だが、当初予定と異なるコースを歩いたのだからしょうがない。ダラダラと下って急激に登り返して丸黒山、再び休憩。その後は巻ける道は全て巻いて無駄なピークを避けて進み、青年の家に戻った。

 


所用時間
 6:08青年の家−(0:19)−6:27林道終点−(0:04)−6:31日影平山−(0:50)−7:21新道旧道合流−(0:58)−8:19丸黒山8:32−(1:42)−10:14駒ノ鞍10:40−(1:23)−12:03丸黒山12:21−(1:17)−13:38林道終点−(0:17)−13:55青年の家

 

 

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