奥日光 日光白根 2007年09月16日

 

 

 当初の天気予報では明日以降は曇りや雨のはずだったが、至仏山から下山してラジオの天気予報を聞くと好転して関東のみ晴れて暑いとのこと。ただし今日のように湿った南風が入って山の上だけガスに覆われるパターンとなる可能性が強いが、夕立を除き天気の崩れは大きくないので山に登らないのはもったいない。下界は猛暑になる見込みだし、山のてっぺんで涼んだほうがいいだろう。

 場所であるが、未踏を考えると越後三山中ノ岳だが、あそこは日帰りは無理だし、月曜まで天気が持つとは限らない。ましてや日本海の前線は徐々に南下して新潟地方の予報は下り坂であり、これ以上北上するのは得策ではない。それではこの辺で未踏の2000m峰があるかといえば皆無で、登山道があってそこそこ標高が高く涼める山は登り尽くしているといってもいい。暑い時期に薮こぎは御免だし、どこに行くか悩みに悩んだ末に奥日光最高峰の日光白根に向かうことにした。ガスる確率が高いが、もし晴れて空気の透明度が高ければ南アルプスや北アルプスが見えるはずである。昨年11月に女峰山に登った時には天候に恵まれて後立山の白馬岳が肉眼でもはっきり見えたが、同じ条件なら日光白根のほうがもっと広範囲を見通せるはずだ。以前、カシミールで劔岳からの展望シミュレーションをやったら日光白根が見えるとの結果で、日光白根から劔を見てみたいものだとずっと考えていた。もちろん、今回はガスって見えない確率の方が高いと思われたが、戸倉からの移動や帰りの交通の便を考えるとこのまま群馬側から登れる場所の方がいいと判断した。

 買い物を済ませて白根魚苑で温泉に入ったが\700はちと高いしお湯の出も悪くてイマイチだった。菅沼登山口の駐車場はまだ賑わっているが、午後も遅い時間なので駐車場にはポツポツ空きがあるので奥の方に入れた。さすがこの標高だと涼しくて快適に車中泊できた。夕方は稜線は雲の中だったが夜は満天の星空が広がって早朝の展望を期待できそうだ。

菅沼登山口駐車場 朝焼けの金精山

 

 まだ暗い4時に起床、空を見上げると星は見えるが数は少なく、薄雲の隙間から空が見えているような状態らしい。真っ暗なので周囲の車で出発の動きはないが、このまま雲が薄い状態が続くとは限らないので、できるだけ早い時間に山頂に到着するようヘッドライトを点けて歩き出す。何度も歩いたルートなので暗くとも問題なかろうと考えていたが、林道から右に入って樹林帯の河原のような道に入ると、先週の台風の影響があり、水が無くなった沢なのか登山道なのか判別が難しいところがあって不安に感じながらも踏跡の気配を注意深く追っていくと、沢状のルートが終わって斜面に取り付きはっきりとした登山道になって一安心。これより上では間違いやすい所はない。気温が低く涼しいので汗を殆どかくことなく快調に登っていく。徐々に明るくなってヘッドライトをしまい、樹林の隙間から見える温泉ヶ岳や金精山の稜線にはガスが絡んでいるのが見えた。さて、白根山頂はどうであろうか。基本的に上空は晴れているので天気が崩れる心配は無さそうだ。登山道そのものには台風の被害はなかったが、近くの崖が崩れていたり沢筋の土砂が崩落しているのが見られた。

弥陀ヶ池と日光白根の溶岩ドーム 座禅山斜面(帰りに撮影)

 

 登山道の傾斜が緩んで水平になると弥陀ヶ池は近く、木道が出てくると同時に池に出て日光白根の溶岩ドームが目に入った。もう草の色は勢いのある緑色ではなく黄色みがかって秋の気配が濃厚で、座禅山斜面の草も枯れかかっている。天候は基本的には薄曇り程度で山頂付近は今のところ雲に入っていないが、山全体のすぐ上には雲がかかっていて、いつ山頂まで降りてくるのか分からない。視界があるうちに山頂に到着して展望を楽しみたいものだ。

溶岩ドームの登りにかかる 森林限界を超える(帰りに撮影)
もうすぐ山頂(帰りに撮影) ガスの切れ間から太郎山、男体山

 

 池の脇を通って無人の登山道を座禅山鞍部に登り、一気に山頂へと高度を上げる。ダケカンバの高さが低くなって森林限界を突破すると河原のような石がゴロゴロした場所をジグザグに登り、岩稜帯に入ると右に迂回してから尾根に乗る。いつのまにか山頂付近はガスに入ってしまい、高度を上げると周囲が見えなくなってしまった。問題は時間の経過でこれが晴れるかどうかだ。今日は他に登る予定もないのでこのまま山頂で粘ることも可能だが、粘っても見えないままだともったいない。

日光白根から見た北アルプス(クリックで拡大)
日光白根から尾瀬周辺(クリックで拡大)
日光白根から見た日光連山(クリックで拡大)

 

 山頂手前のピークを越えて、濡れた岩を登ると2578mの日光白根山頂に到着。やっぱりガスに覆われて視界が閉ざされているが、雲が絡んでいるのは山頂付近だけなので時々数秒間だけ視界が開けることがある。あまりに短時間で私のデジカメ起動時間では撮影可能になる前に再びガスに覆われてしまうが、肉眼で見える範囲でも西方面は非常に視界が良く、槍穂がはっきりと確認できた。こんな時のために双眼鏡を持ってきたのでガスが切れるタイミングをはかって西側の遠くの山を眺めたら、尖った2つの耳を持った鹿島槍を起点として後立山の山々を同定できた。常識的には鹿島槍の右のピークが五龍岳で、その右が唐松岳のはずだが、妙に唐松がすくっと立ち上がったピーキーな格好いい形に見えたのが不思議に思ったが、帰ってカシミールで確認したところ、五龍だと思っていたピークはなんと劔岳で、唐松岳と思ったのが五龍岳だった。ガスが晴れてからデジカメで撮影した写真を見た結果、立山や薬師岳も見えていたことが判明し、何度も日光白根に登った中でも最も展望が良かったことが分かった。夏場でこれだけ見えれば大満足だ。八ヶ岳は蓼科山から権現まですっきり見え、南アは甲斐駒、北岳は見えたがそれ以南は雲の向こうだった。

 山頂に到着してから1時間ほどで後続が到着、この頃が一番ガスが濃くてなかなか晴れることがなかったのはかわいそうだった。最初の1名はその後しばらく居たのでガスが晴れた時間帯の展望を楽しむことができたが、もう一名はその前に下っていってしまったので残念な思いをしただろう。ガスが晴れたのは山頂到着から2時間近く経過した頃で、残念ながらそのときには槍穂の方が雲に隠れてしまっていたが、後立山の山々はまだ見えていた。

 充分展望を楽しんでから下山し、温泉は国道から武尊方面に少し入ったところにある「笹の湯」を選んだ。その先には花の駅 片品併設の「花咲の湯」があるが、少し距離があるのでパスしたのだった。期待通りお客は少なく\500でのんびりできた。群馬は長野同様温泉が多くて助かる。

所要時間
 4:43菅沼登山口−−6:05弥陀ヶ池−−6:51日光白根9:12−−10:32菅沼登山口

 

 

山域別2000m峰リストに戻る

 

ホームページトップに戻る