南ア深南部 前無間山、三方峰、大無間山 2006年11月05日
大無間山は数年前に田代から日帰り往復しているが、その当時は日本山名事典は存在していなかったので、山名事典に新規記載された前無間山、三方峰は登らなかった。もう一度田代から往復することも考えたが、三方峰へ300m下って登り返し、鋸尾根のアップダウンを考えると日帰りでは帰りが相当つらいだろうから1泊となろう。その場合、水を持ち上げる必要も出てきてやっかいだ。今回の計画では椹沢山とあわせて田代とは反対側の大樽沢から登るので三方峰は経路の途中となり無駄な労力はかからず、前無間山まで無理なく日帰りできるはずだ。ネットでちょろっと検索したが、大樽沢から大無間の記事は何件もあったので登山道は問題なかろう。
一晩お世話になった造林小屋 | 造林小屋内部 |
造林小屋で快適な一夜を明かし、朝飯を食って薄暗い時間に出発、GPSによると小屋から登山口まで直線距離で約700m、10分程度で到着すると考えていたが林道が曲がっているのでもう少し道のりは長く時間がかかり、大樽沢にかかる橋に到着した。ここで余分な荷物をデポして軽装で往復するが、今回は荷物を減らすためアタックザックは無いため、大きなビニール袋に不要な荷物を入れて置いていくことになる。ここは一般車は進入できないので盗難の恐れは少ないが、あまりに目立つところに置くのも気が引けるので一応草むらに隠した。荷造りが終わって出発しようと登山口を見ると先行者3名が登り始めたところだった。3連休最終日にここから登るとはタイミングがずれているような気がするが(人のことは言えないが)、いったいどんなルートを歩くのだろうか。
大樽沢登山口 | トラバース箇所のトラロープ |
沢を渡る | 再びトラバースしつつ沢を遡る |
ワサビ田の石垣 | ここで沢から左に離れる |
尾根をジグザグに登る | 低い笹が生えた唐松植林帯を登る |
傾斜が緩んで主尾根に乗る | 樺沢コース分岐 |
樺沢コース分岐付近から見た深南部西部 |
私が持っているガイドブックでは廃道寸前だったという大樽沢ルートも数年前に整備されたようで、沢沿いの木製桟道も沢を渡る2箇所の橋もしっかりしていた。ただ、トラバースするところは作業道というよりも獣道に近い感じで、足元が不安定な砂利の上に踏跡がついていたりする。最初の沢を横切って右の斜面をトラバースして次の沢を渡り左岸を登って行くところで3人パーティーを追い越す。ルートはそのまま上がるのかと思ったら右岸に渡渉、大雨の後はわからないが今は水量が少ないので橋がなくても問題ない。打ち捨てられたワサビ田の作業道が登山道に利用されているようで、ワサビ田の石垣を見ながら高度を上げ、奥に建物が見えるようになると沢を離れて左の尾根に取り付く。ここが最後の水場になるので必要な場合はここで汲むのがいいだろう。尾根に乗り移ったらジグザグに高度を上げ、やがて唐松植林帯になるのでこの道は林業作業道かもしれない。唐松植林帯で徐々に低い笹が現れるが踏跡ははっきりしているので問題は無い。傾斜が急になると一直線に登るようになり効率はいいが汗が出てくる区間だ。傾斜が緩んでも低い笹の唐松植林帯が続くが、右にカーブしながら東西に伸びる尾根に乗ると南半分が植林帯、北半分がシラビソ樹林に変わる。私が持っているエアリアマップでは樺沢コースはこの西側にある鞍部に上がってきてここで合流するはずだが、尾根上の西側には踏跡はなかった。どこで合流するのかと思ったらわずかに上に標識があり、シラビソ樹林の中に目印が続いていたが、大樽沢コースより踏跡は薄いようだった。そりゃ林道を余計に歩かなくてはならないのだから利用者は少なくて当然か。
まっすぐが正式ルート。右に入ってしまった | 尾根を南から巻いている |
踏跡は植林帯とシラビソ樹林境界付近を通っているようだが、ついつい明るい植林帯を歩いてしまい、どうも道が薄いなぁと思いつつ低い笹原の中を適当に歩いたりした。やがてルートは尾根北側のシラビソ樹林中を巻くようになり、途中で尾根に乗るらしい右に導く目印と踏跡が分岐、そこには標識があって登山道はまっすぐと示されているが、まさかこれだけはっきりした踏跡ならば登山道でないはずはないし、どうやら尾根上を歩くらしいので巻き道よりも景色がいいだろうと右に入ってみた。ところが最初は尾根を登ったがすぐに尾根右側を巻くようになり、一向に高度が上がらない。しかし道ははっきりしているし目印も多数付いていて心配するようなコースではなく、たぶんこの付近は尾根の南北両側に巻き道があるのだろうと推測した。
やがて開けた笹原に出る | ヘリポートにあったプレハブ小屋 |
プレハブ小屋から見た中ノ尾根山 | プレハブ小屋から見た池口岳、鶏冠山 |
プレハブ小屋から見た光岳、イザルガ岳、信濃俣 | 大無間が左に見えてしまった!! |
そのまま歩くと樹林を抜けて笹原に飛び出し、深南部西側の山々が見えるようになった。こりゃ景色がいいやと喜びながら歩くとヘリポートらしき形に鉄板が敷かれ、TVアンテ付きのプレハブ小屋が何棟か建った平坦地に出た。これは地図には無い場所だがいったいどこだろう? よく見ると尾根のずっと左側に大無間山が見えるではないか! 正しい尾根なら東向きなので正面に大無限が見えるはずで、左に見えるということは進行方向が南に変わっていたのだ。とすると1860mピークから南に伸びる尾根に乗ったはずで、ここは廃道化していると思ったがこんな施設があるとは。残念ながら今までの目印とルートは登山道ではなくこの施設への道だったのだ。あ〜あ、素直に標識に従えばよかった。
1860mピーク向けて北上する | 1860mピーク |
1844mピーク付近で刈り払いが消える | 1883m三角点峰山頂 |
進路を180度変更し、尾根を北に向かう。広々とした笹原にしっかりとした刈払いがあり、どうやら無事登山道に出られそうな気配だ。1860mピークでは登山用標識は無く林班界標識が木に打ち付けられているだけだが、北へ伸びる尾根には笹が刈り払われたルートが延び、たくさんの目印がついていた。エアリアマップでは登山道は北を巻いていることになっているが、たぶんこれが正式な登山道で実際は稜線上にあるのだろうとこのときは思ったのだが・・・・。しかし1860m峰を越えて1883m三角点ピークが近づくと今までのような刈払いは無くなり、腰ほどの高さの笹原の中に縦横無尽につけられた鹿道をつなぐしかなさそうだった。今までの刈払いはいったいどこにいってしまったのだろうか? サービス期間は終わったのだろうか? まあ、大無間もこちらのルートは裏側で利用者も少ないから、今まで刈払いがあった方がサービス過剰だろう。どのみち尾根を外さなければ問題ないので、笹の薄いところを選んで歩いた。笹の中に倒木が隠れているのでイヤなパターンだ。おまけに朝露に濡れた笹原なのでズボンも濡れる。ただ、笹原全体が濡れているわけではなく、乾いたところと濡れたところとバラバラで、ロングスパッツもゴアもつけないでどうにかなってしまった。目印は非常に少なくなり、かろうじて白い荷造り紐が見られるだけになり道が無い藪山と同レベル、踏跡がしっかりして藪山気分は楽しめないと思っていたが、これなら充分楽しめそうだ。笹の背が低いので藪を漕ぐほどではなく、周囲の様子も見えるので軽い藪歩きだろう。ただ、尾根が広いので尾根を外さないよう注意が必要であるが。
1883m三角点ピーク付近で笹が切れてシラビソ樹林に変わり、三角点が現れた。下っていくと再び笹原になり、今まで同様鹿道をつないで適当に歩きルートファインディングを楽しんだ。笹原を歩いたりシラビソ樹林になったり変化を繰り返し、最後は標高を下げていく。三方窪への下りだ。このように広い尾根では下りで正確に尾根を辿るのは難しく、樹林越しに左右の地形を見ながら尾根を外さないよう絶えず注意を払う。ヘリポートからここまでは尾根を外すとは思えなかったので地図を見ないで歩いてきたが、まさか枝尾根に入ってしまったなんてことはないよなぁ。最初は右手の猥雑なシラビソ林を歩いたが、どうも左手の方が高そうなのでそちらに移ったが、実際は2重山稜でどちらも正解だった。
三方窪に向けて倒木の多い樹林帯を下る | 一面笹に覆われた三方窪 |
最後は2重山稜の谷を歩いて三方窪鞍部に降り立った。休憩できるような平地があると思ったら一面が腰の高さの笹に覆われ巨大な倒木がいくつか横たわり、そこには文字が消えたMWVの青標識がついていた。MWV標識を見たのもずいぶん久しぶりだ。立ち木には文字が消えかけた標識が掲げられ、かろうじて三方窪と読めた。その他にも標識類があり、間違いなく三方窪と確認できた。笹はここまでで、この先の登りは深いシラビソ樹林で下には笹も藪も無く歩きやすそうだった。ここまで休憩無しで歩いてきたので倒木の上で小休止。一面が笹原なので地面に座っての休憩は無理で、樹林帯なら地面が見えるがシラビソで日陰になって寒いので倒木の上で日向ぼっこがいいだろう。
三方窪からの登り | 古い標識が今でも残る |
シラビソ樹林を登る | 傾斜が緩むと低い笹が現れる |
明るい尾根 |
2130m峰を越えると三方峰が見える |
休憩終了で三方峰への登りだ。今までの笹原とは段違いのまともな踏跡が続き、古ぼけた大井川鉄道の看板も出ている。昔は利用者が多かったのだろうか。たぶん登山ブームがあった昭和40年代くらいの看板ではなかろうか。下草が無い樹林でどこでも歩けるが、踏跡はそこそこはっきりしているし目印もあるのでルートに迷うことは無く、倒木で塞がれた部分は適当に迂回した。最初はただの斜面だったルートも徐々に尾根らしくなり、傾斜が緩むと尾根の幅が狭まって日差しで明るくなってくる。それと同時に脛程度の高さの低い笹も出てくるが邪魔にならない程度だ。主に尾根南側が笹原で北側が草付か地面が見えているので、登山道は尾根直上ではなくやや北に巻き気味につけられていた。2130m峰で進路を北に変えると真正面に三方峰が間近に見えるが、深いシラビソ樹林かと思ったら予想と違って笹原にシラビソが点在する明るく展望のよさそうな山頂だった。低い笹原にははっきりした踏跡ができ、踏跡は地面が出ているのでそう簡単には笹に埋もれることはなさそうだ。ガレの脇を通ってグっと高度を上げて傾斜が緩むと三方峰山頂だった。
三方峰山頂 | 三方峰から見た南ア南部 |
三方峰から見た大根沢山 | |
三方峰から見た南ア深南部西部 |
山頂は見晴らしがよく、特に西側直下が大きくガレて樹木が無いので深南部西部の山々が丸見えだ。黒法師岳、丸盆岳、不動岳、黒沢山、中ノ尾根山と重なって分離が難しい合地山、2つのピークを持った鶏冠山と池口岳、そして光岳、イザルガ岳と続く。北にはどっしりとした台形の大根沢山で、その右側には南ア南部の山々が広がっていた。ここまで来ると大無間も大根沢山も同等の距離に見えるが大根沢はまだ遠いんだよなぁ。本当は稜線を縦走したかったが、機会があったら挑戦しよう。ここで無線をかねて休憩、無風快晴で気持ちいいひと時だった。
三方峰を東に下る | 尾根上は明るい疎林+低い笹 |
ほとんど干上がった三隈池 | 三方峰〜大無間山間最低鞍部 |
シラビソ樹林を登る | まだまだ登る |
三方峰を東に下るとすぐシラビソ樹林を抜けて笹原がメインのまばらなシラビソ樹林に切り替わり、笹原の中の踏跡を辿る。地形図上で大無間小屋があったらしい場所は痕跡は無く、最低鞍部手前の三隈池には錆びたトタンが落ちていて、たぶんこっちに小屋があったのだろう。鞍部から先はまるで三方窪のように登りが始まると同時に笹原が切れて日差しが無い深いシラビソ樹林になり、急斜面の明瞭な踏跡を登って行く。ここも倒木があるが以前から倒れているらしく薄く新しい踏跡ができていた。はっきりした尾根地形ではなく広い斜面状で藪皆無でどこでも好き勝手に歩けてしまうので、踏跡や目印がないと下りがいやらしいが、これだけはっきりした踏跡なら真っ暗な中でも歩かない限りははずすことは無いだろう。田代からのルートと比較すれば薄いが問題ない程度だ。
田代方面/大樽沢方面分岐 | 大無間山山頂 |
急な登りが終わって傾斜が緩むと山頂近しと思いきや、確かに近かったが最後に急な一登りをこなすと久しぶりの大無間山山頂に飛び出した。先客は2名、間違いなく田代からの登山者だろう。この山頂にも錘に使える石が転がったテントサイトがあり、私の後を登ってくる3人パーティーがご利用するのだろう。山頂周囲は背がちょっと低いが高さ3,4mのシラビソ樹林に覆われているので風が直接あたることは無いが、頭上は開けているので雨は直接当たりそうだ。昔は三角点測量用やぐらがあって展望が得られたようだが、以前私が登ったときにはすでにやぐらは無くなって見晴らし皆無だった。
前無間へと下る | 水場分岐。左へ降りる |
大無間〜前無間鞍部 | 前無間山直下 |
さあ、前無間は目の前だ。南へ下る踏跡があるのかちょっと心配だったが、意外にもはっきりした道が通っており、案内標識には「前無間山、風イラズ」の文字があった。機会があれば風イラズまで歩いてみたいものだが今日は無理である。そうそう、3人パーティーは風イラズへと縦走するといっていたなぁ。明日はお昼くらいから天候が崩れると天気予報は言っていたので早めに出かけないと悲惨かも。鞍部手前に文字が消えた標識がつけられており左下の急斜面を指しているが、たぶんこれが水場分岐なのだろう。かなり傾斜はきつく、どこまで下れるのかは不明だが、ここで水が得られれば担ぎ上げる必要は無く、大無間で幕営する場合は貴重な存在だろう。ただ、秋で沢の水量が最も減る時期にどれくらい下れば水が得られるのかはわからない。この水場をあてのするなら、例年の秋に使えるかどうか事前にネットで調べておく必要があるだろう。シラビソ樹林を下ると倒木が横たわったキレット状の最低鞍部で樹林が切れて視界が開け、大無間だけでなく中無間とガレを従えた小無間、そして白峰南嶺が続いていた。再び樹林に入って緩やかに登るとてっぺんが見えてきた。あれ、木が無いぞ。
前無間山山頂 | 前無間山から見た大無間山 |
前無間山から見た風イラズ方面の尾根 | 前無間山から見た風イラズ |
前無間山から見た南ア南部 | 前無間山から見た三方峰 |
登りついた山頂はなぜか樹林が切れて日当たりも展望もよかった。大無間からさほど遠くなく展望が良いのだから、休憩して飯を食うなら前無間まで足を伸ばしたいところだ。鞍部で見えた風景に西側と南側の展望もプラスされ、すくっと頭をもたげる風イラズまでの稜線もはっきりと見える。少なくとも前無間付近では踏跡がはっきりしており、大無間〜大樽沢間と同じくらい歩く人がいると見た。地形図にもエアリアマップにも山名が記載されていないため山頂標識も無いが、GPSによると間違いなくここが山頂である。休憩しながら無線運用、さすが標高2300mなので電波の飛びはよかった。
さあ、帰りのことを考えるとのんびりしていられない。今日中に寸又峡温泉に下るのだから、大樽沢登山口から4時間近く歩かなくてはならない。下手をすると真っ暗になってしまう。もっとも、林道歩きだから暗くなっても危険は無いが。大無間山に戻るとすでに2人の登山者の姿は無く、私も山頂に別れを告げて下り始めた。苦しかった登りも下りなら快調で、最低鞍部を過ぎて平坦な笹原で3人組とすれ違った。休憩時間をひっくるめて1時間強のアドバンテージだったようだ。予想通り彼らは大無間山頂で幕営とのことで水は担ぎ上げてきたそうでご苦労様。明日雨に降られなければいいが。
三方窪から西を見る | 三方窪より先は稜線北側を巻く |
巻き道は笹と樹林が交互に出てくる | 倒木もある |
1883m三角点峰西の1850m肩付近 |
1860m峰を西に下る |
緩やかに三方峰に登り返して無人の山頂を後にして低い笹原を下り、暗い樹林帯を下りきれば三方窪で休憩、今度は稜線ではなく正確に踏跡を辿ることにして目印に注意しながら進む。来るときには2重山稜の谷間を下ってきたが正しいルートは北側の尾根のさらに北側を巻いていて、ほとんど標高を上げることなく等高線に沿って延々と水平トラバースが続いた。稜線上は笹原が続いたが巻き道は多少笹が現れるもののほとんどはシラビソ樹林で笹が無く、倒木が邪魔している以外は歩きやすい。な〜んだ、本当は大樽沢ルートもかなりまともな道ではないか。それでも1883m三角点峰を掠めた1850m肩付近はわかりにくかった。どうやら正しいルートは尾根を水平に巻くのではなく直滑降してこのまま谷に下りてしまうのではないかと思われる踏跡と目印らしいのだが、今までと違って急な下りで本当にこれか?と疑問に感じたため、すぐ左手上に見えている稜線目指して笹原を横断して登った。もう1860mピークに近いので稜線上には笹が刈払われた立派な道があり、1860mピークで右に進路を変えて目印が付いた尾根を下って行くと、背の高いシラビソ樹林から徐々に矮小な樹木へと変わって隙間が狭くなり歩きにくくなってきた。もしかしたらシラビソ樹林を伐採して放置した結果かも? やがて太い踏跡が現れ、それから少しで登りのときにプレハブ小屋に迷い込んだ分岐点に出て正しい登山道に乗った。なんと帰りも正しいルートを歩けなかった・・・・。
順調に下って登山口に到着、しかしまだ駐車場まで4時間はかかる長丁場だ。荷物をまとめて休憩してから出発、まずはお立台が目標である。8時間近く歩いた足には2日分の食料と酒が無くなって多少軽くなったとはいえ大ザックの重さが響く。無人のお立台で路肩に沿って歩けば千頭ダムへと下る登山道の入口があるが、標識はないので下りのみこのルートを使う人はお立台の場所を知っていないとこのまま林道を歩き続けることになる。左岸林道は谷が引っ込んだ部分はそのまま等高線に沿って引っ込み、尾根が出っ張った部分は出っ張って歩くので距離が長く、千頭ダム経由よりも長時間歩かされる。自転車やバイクを使う場合は左岸林道からしか行けないが。
千頭ダムに下るころには徐々に暗くなり始めたが、足に疲労が溜まって歩き続けることができずダムサイトで防寒着を着て休憩。この後は吊橋前後を除いて水平移動なので運動量が少なく、Tシャツ1枚では体が冷えてしまう。残り2時間目指して出発、単純な林道歩きのお供である携帯音楽プレーヤの電池が切れ3回目の電池交換だ。もうそろそろ真っ暗になるのでヘッドランプを取り出して歩いていたらこっちも電池切れで、久しぶりに青色LEDの簡易ライトを取り出して電池交換、予備の電池ではもったいないので、もう出番が無いGPSから電池を引っこ抜いた。500m毎の距離表示が減るのだけが確かにゴールに近づいている具体的指標で、早く次の500mが出てこないかなぁと待ち遠しい。
やっと残距離ゼロでゲートが現れたが、これは千頭ダム巡視用道路が終わっただけで、寸又峡温泉までは吊橋を渡って登り返して、さらに歩いた先である。1時間半歩き続けて膝に来たため、森林鉄道が展示してある公園のベンチでひっくり返って休憩、もう真っ暗になって1時間以上経過するので無人で、自動販売機の明かりがやけにまぶしい。長袖シャツを着て上にダウンジャケットを置いてしばし寝た。もう昼寝の時間じゃないや。起き上がって荷物を背負い、階段を下って吊橋に到着すると親子連れと思われる3人が真っ暗な中にいたのでびっくり。こんな時間に明かりもつけず何をしているのだろうか。吊橋を渡っていると水面に反射する大間ダムの照明が美しい。対岸に到着して最後の登りを歩ききってもまだ水平歩きが待っている。いいかげんイヤになるが歩かないと車に到着しない。こちらには巡視路のように距離を示す標識は無いので正確な情報はわからず、まだかまだかと歩くだけだ。やっと温泉街の明かりが見えてくればゲートは近く、ほとんどのお店が閉店してしまった夜の温泉街に到着、長かった林道歩きから開放された。
さあ、もうPM7時近く温泉に入れるかどうか不安である。ガイドブックを見ると露天風呂が日帰り温泉だとあるので行ってみたらなんとPM6:30で受付終了! もう入れない。こうなったら適当な旅館で入浴のみがOKが聞いて回るしかない。ゲート近くで大きな宿が目に入り、風呂道具を持ったまま玄関に入ってまだ入浴のみやってるか聞いてみるとOKとのことで助かった! 料金は\400で露天風呂と同じなので寸又峡温泉の統一料金なのかもしれない。ちなみに東京都の銭湯料金\430よりも安いし、近年の日帰り温泉の相場は\500だから安い部類に入るだろう。3日間の汗を洗い流してさっぱりした。
長いようで短かった3連休が終了し、予想より時間がかかったが無事に予定の山に登ることができ、南ア深南部の2000m峰をすべて登ることができた。深南部の山はたいてい踏跡はあるし藪は黒沢山、不動岳周辺の笹以外は大したことがないので難易度は高いとはいえないが、山の奥深さは南ア南部以上かもしれない。今度深南部に来るときには、何が何でも目標のピークまで到達するような登り方ではなく肩の力を抜いて足任せに気楽に登りたいと思う。
所要時間
造林小屋−0:14−大樽沢登山口−0:26−沢を離れる−0:39−主尾根に乗る−0:01−1樺沢分岐−0:23−プレハブ小屋−0:12−1860mピーク−0:19−1883m三角点峰−0:22−三方窪(休憩)−0:53−三方峰(休憩)−0:18−三隈池−0:34−大無間山−0:05−水場分岐−0:06−前無間山(休憩)−0:09−大無間山(休憩)−0:16−最低鞍部−0:21−三方峰−0:30−三方窪(休憩)−0:43−1860mピーク−0:07−登山道−0:04−樺沢分岐−0:18−沢−0:18−大樽沢登山口(休憩)−0:40−お立台−0:16−林道−0:18−千頭ダム(休憩)−1:39−ゲート(休憩)−0:08−夢の吊橋−0:21−寸又峡温泉