木曽御嶽 剣ヶ峰 2005年6月18日

 


 木曽御嶽は何度も登っているが、アマチュア無線をやるにはとてもいい場所で、奥積さんにもぜひその面白さを味わって欲しいと常々考えていた。5月に乗鞍岳に登り、残雪のアルプスクラスの山でもどうにかなりそうなことが分かり、雪が消えた木曽御嶽でも大丈夫だろうと機会をうかがっていたところ、梅雨の晴れ間とまではいかないが、大きな天気の崩れがないらしい週末を迎えそうなので、予報を見てできるだけ西の方が天気がいいだろうと御嶽に向かうことにした。

 相原駅で奥積さんを拾い、相模湖ICから中央道に乗って塩尻で降り、国道19号線を中津川方面に走る。木曽御嶽の翌日はロープウェイで千畳敷から宝剣岳周辺に登る予定で、権兵衛峠が通行できるか国道分岐を見てみたが、通行止めの看板等はなかったのでどうやら大丈夫らしい。木曽福島から王滝村目指して県道に入り、走り慣れた道をどんどん奥に入り、王滝村中心部を抜けるといよいよ傾斜がきつくなってぐんぐん高度を上げていく。最後のカーブを曲がると田の原駐車場で、トイレ近くの登山口に一番近い駐車区画に入ったが今年は1台の車も無かった。真っ暗なので残雪状況は見えないが、明日朝にどれくらい車が増えているだろうか? 昨年秋よりずいぶん気温が高く全く寒さは感じない。既に12時を回っており、睡眠時間がもったいないので急いでパッキングを済ませ寝る準備をして酒を飲んで仮眠に入った。寝たのは3時間だけであった。

田の原から見た剣ヶ峰(中央の突起) 田の原駐車場(日中)

 4時に起きだすと薄明るくなっており、上空には青空も覗いているようだ。昨年に比べて谷筋には雪は多いようだが、御嶽山頂までの登山ルート上には雪は見あたらず、今年も夏山気分で登れそうだ。ただ、全く雪がないかどうか不安はあったので、6本爪アイゼンだけは持っていくことにする。私が先頭でステップを切れば奥積さんは大丈夫であろう。

 いつのまにか周囲には車が数台おり、まだ上がってくる車もいるので、昨年同様このシーズンでもそこそこお客がいるらしい。もちろん夏山シーズンとは比較にならないくらい少ないが。我々は4時半過ぎに出発したが、こんな時間に出るのは我々だけだった。御嶽は半日くらいの山だから早朝に出る必要はないか。

 ウェッブで見た1ヶ月前の御嶽は、田の原からすぐに雪の上を歩くことになったが既に雪のかけらもなく広くなだらかな道を歩いていく。上空は東ほど雲が多いが西側は快晴の領域で、ちょうど御嶽がその境界に位置している。この後、青空が雲を押しやるのか、それとも雲が覆ってしまうのか、前線の動き次第であろう。寒気が入って午後はにわか雨の予報が出ているので、午前中が勝負か。

森林限界から田の原を見おろす 溶岩ゴロゴロの登山道を登る 近そうで遠い王滝頂上山荘

 

 鳥居を通過すると傾斜がきつくなり奥積さんが遅れだしたのでペースを合わせる。もう降りてくる若者集団や小さな子供を連れた親子もいてビックリ。あんなガキンチョが登れるのだから残雪は問題無さそうだ。シラビソ樹林にダケカンバが混じり出すと森林限界が近く、背の高いハイマツの海の中を通る溝のような登山道抜けると森林限界に達して視界が開ける。どうやら天気は青空の方が優勢で頭上の雲は東に追いやられてしまったが、空気の透明度は悪く中アさえ霞んでいるくらいなので南アは影も形もない。でもこれだ天気いいのだから文句は言えないだろう。まさに早朝の夏山のような天気で青空をバックに高度を上げていく。案の定、雪はかけらもない。

雷鳥のカップル

 ハイマツが多いので雷鳥がいても不思議ではないが、過去に1度も見たことがなかったが今回とうとうお目にかかることができた。登山道に雄雌のペアがウロウロしていたのですぐに発見できデジカメで撮影した。まだ雄には白い羽根が残っていたが、すぐに夏色に変わってしまうだろう。やっぱ御嶽にも雷鳥はいたんだな。この天気と雷鳥遭遇、今回の山行は既に成功の部類に入れていいだろう。無線はどうでもいいや。

1カ所だけ雪田を登る 雪田をトラバース

 一杯水付近だけ残雪があり、雪田をまっすぐ登ってから左にトラバースしてさらに雪田を登るが、ステップが切れている雪が柔らかいのでアイゼンの出番はなかった。今回唯一の残雪帯だった。

王滝頂上が近い 王滝頂上の神社 王滝頂上から見た剣ヶ峰

 

王滝頂上を北から見る 謎の巻き巻きモニュメント 剣ヶ峰の登り

 

 奥積さんが恒常的に遅れだしたので、標高2800m地点で奥積さん荷物を私が担ぐことにして少々スピードアップ、もう王滝頂上は目の前だ。建物が大きい。御嶽の案内標識を右に見て登り続ければ王滝頂上で、板が打ち付けられて締め切られた山荘脇から神社を通って剣ヶ峰の登りにかかる。ここも雪は皆無でごろごろとした石の道を歩きやすい場所をつないで歩く。山頂直下の山小屋の裏は神社の立派な石の階段で、奥積さんに先に山頂を踏ませるため私は後ろから登りデジカメで奥積さんの姿を撮影した。

山頂まであと数歩を登る奥積さん 木曽御嶽剣ヶ峰山頂 この社の屋根が最高点?

 

 山頂は我々を追い越していった(奥積さんのペースで歩いたので追い越された)単独男性のみ。弱い風で快晴! しかし霞がかかり北アルプス方面以外はほとんど見えないのが残念だった。子供にデジカメを奪われた奥積さんのために山頂での記念写真を撮った。山頂周辺も雪は皆無だ。やはりこの時期はもう夏山で、人が少なくて静かだし適度に涼しくて真夏より快適だろう。昨年に続いていい天気に恵まれたし、穴場の時期といえよう。

剣ヶ峰から見た西側火口壁 西側火口壁から見た継母岳 西側火口壁から見た剣ヶ峰

 

 無線は県境でやるのでお鉢巡りコースへと足を踏み入れる。こちらも雪はなく火口原の斜面にだけ雪が張り付いていた。鞍部から登りやすいコースを歩いて最初の小ピークで無線をやることにしてアンテナを設営、運用は奥積さんに任せてお昼寝タイムだが、日差しが暑くて快適とは言えなかった。寒くて寝られないよりはずいぶんと恵まれていただろうが。天候は徐々に雲が増えて、最後の方は頭上だけ青空で日差しがあるが周囲は雲の壁で遠景は見えない状態になってしまった。北アルプスが拝めたのは朝だけで、大半の登山者は展望を楽しむことはできなかったようだ。お鉢巡りまでやる人はほとんどいなくて静かに無線を楽しめた。時々剣ヶ峰を見るとポツリポツリと人が立っているのが見えた

 お昼くらいまで無線をやり下山開始することにはガスに覆われるようになり日差しが遮られて涼しくなり、下りで体を動かすにはちょうどいいくらいになった。もう少しで山頂というところでヘバっている人も見かけられ、それなりに山慣れた人しかこの時期は来ないかと思っていたがそんなことはなかったらしい。奥積さんはゆっくり下るというのでこっちは自分のペースでどんどん下り、駐車場に戻るとかなり車が入っていた。登山者よりも観光や散策の客の方が多そうだった。着替えて車内を片づけ休憩していると奥積さん到着。帰りは下りの道ばたにある「うしげの湯」(\600)で汗を洗い流し、駒ヶ根を目指した。権兵衛峠はなんと崩壊で通行止め、その北の牛首峠も同じで、結局は塩尻まで戻って南下した。


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