浅間周辺 湯ノ丸山、小烏帽子 5005年05月22日
湯ノ丸山は何年か前に烏帽子岳と一緒に登っており、小烏帽子も通過しているが、当時はコンサイスにも山名が記載されていなかったため無線をやらずに素通りしていたが、日本山名事典に記載されたのでいつか登り直さなければと考えていた。ちょうど乗鞍の帰りに立ち寄るには位置的にも労力的にも手軽なところにあり、メンバー(奥積さん、松村さん)の体力を考えると無理のない山であろう。奥積さん達には湯ノ丸山で昨年誕生した東御市で無線をやってもらい、その間に小烏帽子を往復すればいいだろう。
広〜い地蔵峠駐車場 | 湯ノ丸山直登コース(ゲレンデを登る) |
乗鞍岳バス停の朴の木平を出発し、松本から三才山トンネルを抜けて東部町に入り、湯の丸高原スキー場の看板を目印にして地蔵峠を目指す。広い車道を快適に走り、地蔵峠のすぐ東側にあるトイレ付きの広い駐車場に車を止めた。こんな時間では他に車があるはずもなく、走り屋が来なければ静かに寝られそうだ。天気予報は下り坂を告げていたが、どうやらお昼くらいまでは持ちそうな気配で、早めに撤収すれば雨に降られずに済みそうだ。
翌朝、起きだすと雲が多いが隙間から青空も覗き、どうやら当面は雨が落ちてくる気配はなく、予定通り出発する。昨夜の偵察で湯ノ丸山南の巻道は未舗装の車道をずっと行くようであることは分かっていたが直登コースが分からなかったが、明るくなってみるとスキーゲレンデがまっすぐ上に伸びており、ここを登るようである。低い草付きでゲレンデ内はどこでも自由に歩けそうだ。前回はどう歩いたのか完全に忘れてしまい、こんなゲレンデだったかどうかさえ全く思い出せなかったので、よほど印象が薄い山行だったのだろう。周囲ではカッコウが何羽も鳴いてのどかな印象だ。
夏の間は牛が放牧されるようで、古びた牛糞が落ちているので避けながら歩く。ゲレンデ内に放牧用の柵を造成中だが、以前は柵がないまま放牧していたのだろうか? 有刺鉄線が張っていないので柱の間をすり抜けて登るが、スキーシーズンは邪魔になると思ったら根本からすっぽり引き抜けるようになっているようだ。柵の上部はゲレンデが続き、古い轍の跡をたどって一直線に登る。ジムニーくらいなら登れそうな斜度で、柵は4WD車の進入禁止柵の意味があるかも知れない。
ゲレンデ終点から登山道に変わる | 鞍部付近から見た湯ノ丸山 |
すぐにリフト終点となって水平になり、広い登山道に変わる。この辺りの右手がレンゲツツジ群生地らしく、このあたりもツツジが見られるが、まだ開花シーズンには早すぎるので堅いつぼみのままであった。たぶんシーズン中は花見客で賑わうのだろう。もしかしたらその時にはリフトが運行されるのかもしれない。一面のツツジというわけではなく、笹原が主体でその中にツツジが点在するような感じか。左手はカラマツ樹林である。鞍部には鐘があり、巻道から登ってくる登山道(というより林道か)が合流する。
鞍部を越えるといよいよ急な登りが始まり、カラマツの植林は終わって笹原の中に森林限界のような低い樹木が生える植生になる。石楠花、シラビソ、立ったハイマツ、何だかわからない灌木等、登山道がなければ鬱陶しい藪だろう。石楠花のつぼみもまだ固かったが、6月には可憐な花を咲かせるのだろう。湯ノ丸山は火山なので登山道には古い溶岩がゴロゴロして歩きにくく、下りのスピードはあまり上がりそうにない。
もうすぐ湯ノ丸山山頂 | 振り返るとこんな風景 | 湯ノ丸山山頂 |
湯ノ丸山から見た噴煙たなびく浅間山 | 湯ノ丸山から見た烏帽子岳、小烏帽子 |
灌木が消えて空の面積が広がってくると山頂間近で、なだらかに登り切ると全く木がないだだっ広い湯ノ丸山山頂に到着した。ここは最高点で三角点があるピークは少し北に離れた場所にあるが、3市郡境界はここである。石が転がるだけの広い山頂で、ガスられたらやっかいだろう。今日は高曇りで視界が良好なので方向を失う心配はないが、冷たい西風が強く、風よけがないこんな場所で無線をやるのは相当しんどい。奥積さんが少し北に大きな岩があるのを発見し、風よけにしようと提案したが岩の形と風向きの関係で大した風よけにならず、その近くのコメツガ低木の陰に隠れることにした。地を這う低木で地面から枝を張り出しているので人間が座る高さの風をよく防いでくれた。気温そのものはさほど低くないので、これなら長時間運用しても大丈夫だろう。
どうにかアンテナはフルアップでき、風で倒れないよう風上側のステーをしっかり張った。無線は奥積さんに任せ、少し休んで小烏帽子に向かった。小烏帽子は鞍部まで200m下って140m登り返し、帰りは湯ノ丸山まで200m登り返しだから、ほとんど地蔵峠から湯ノ丸山に登るのと変わらない労力と言えるが、合計しても標高差800mに満たないので日帰りとしては楽勝な部類だ。
鞍部向けて湯ノ丸山を下る | 鞍部 右が巻道、左が湯ノ丸山山頂 |
登ったときと同じような溶岩ゴロゴロの急な傾斜を直線的に下っていくと唐松植林帯になり、ウグイスの声が多く聞かれる。道はしっかりしているが、鞍部近くだけ笹が覆い被さって雨で笹が濡れていたらゴアが必要だろう。短い区間なので刈り払いしても大した労力はかからないだろう。最低鞍部で巻道が合流、今度は烏帽子岳向けて登っていくが、急な尾根を直接登るのではなく、小烏帽子がある尾根をトラバースしながら緩やかに高度を上げていく。若干遠回りになるが、傾斜が適度なので歩きやすい。高度を取り戻すと湯ノ丸山と同様に笹原の中に低木が点在する植生になる。
小烏帽子から見た湯ノ丸山 | もうすぐ小烏帽子 | 小烏帽子から見た烏帽子岳 |
小烏帽子山頂(背景は湯ノ丸山) |
尾根に出て右に上がっていき、最初のピークが小烏帽子であった。ここも低木があるだけで見晴らしは良好で、約1kmの距離にある湯ノ丸山山頂のアンテナさえ見えるし、逆にあちらからは私の姿が見えたそうだ。烏帽子岳は目の前で、昨日の乗鞍岳の烏帽子岳ほどではないが、名前の如く烏帽子のようだ。あそこは無線も終わっているので今回は割愛する。無線を聞くと奥積さんが電信で出ていたのでSSBに変わるまで待ったが、なかなか変わらないので昼寝をしてしまった。それでもまだ変わらないので押しボタン式のスイッチで電信を叩いた。
これで目的は果たしたので湯ノ丸山に戻った。チンタラ歩いたので200mの登り返しも大した疲れにならず、アンテナを目印に山頂に立ち、風よけのコメツガの風下で昼寝。奥積さんの撤収宣言でアンテナを下ろして地蔵峠に戻った。途中、リフト周辺付近にあるはずの三角点探索を行ったが、意外に簡単に発見することができた。登山道より北側の有刺鉄線沿いの林道?脇にあった。
地蔵峠では山頂で交信してくれた嬬恋村のアマチュア無線局がお出迎えしてくれ、我々が山頂で使った無線設備を紹介した。アンテナ、ポール、リニアアンプとも自作品で、電池もちょっと特殊な物(今は市販されていない3.5AHニッケル水素電池)なので、一般の山岳移動局とは全く違う装備で、購入はできないが軽量化のヒントになればうれしいところだ。これらの装備は後藤さんのHPに掲載されているので検索してみるよう伝えた。
帰りは上信越道経由関越道で松村さん宅に立ち寄ることにして東御市側に下り、御牧温泉(\400)で汗を洗い流していると雨が落ちてきたのでいいタイミングで撤収したようだ。佐久ICで高速に乗り、断続的に雨が降り続く中を大した渋滞もなく東京に戻った。奥積亭ではルータが故障して以降LANポート数不足に悩んでいたので、松村亭で10Mbpsの「低速」で余ったハブを「発掘」してもらい、当日から早速現役復帰して活躍しているらしい。何だかんだで話し込み、最後は奥積さんを武蔵境駅で降ろして週末が終わった。