後立山北部 黒負山、五輪山 2005年04月30日


 

 後立山最北部の朝日岳周辺には登山道がない2000m峰がいくつかあり、黒負山、五輪山、長栂山、前朝日、赤男山などがある。朝日岳はずっと前に蓮華温泉から遠見尾根まで縦走した際に登っており、前朝日はこの時に雪田を利用して登っているが、赤男山は巻いてしまって未踏のまま、他の山は計画に入れていないかった。長栂山は直下を登山道が通っているのでちょっとの藪漕ぎでどうにかなりそうだが、最大の難問は黒負山であろう。山頂渉猟や新潟の藪山を登っている人の情報では稜線は猛烈な藪で無雪期に五輪山から登るのはほとんど不可能のようで、残雪期を狙うのが常道だろう。

 問題は登山口である。蓮華温泉が使えるのが理想的であるが、6月にならないと道路を除雪しないので歩く距離が長くなってしまうので別の方法を考える必要がある。正直に尾根末端から取り付いて聖山経由で縦走すると、山頂まで長大な距離を歩かなくてはならないので大変で、大所川沿いの林道を使ってアプローチするのが最善と思われた。残雪の状況によってどこで斜面に取り付くかは変動するが、基本的には山頂渉猟と同様に大所川を橋で渡った直後の標高580m地点から細い林道を上がって尾根に取り付くのが良さそうだった。もっと林道を活用して丸倉山まで進んでもいいかもしれないが、ここまで林道が除雪されているかどうか不安であるし、谷を登るので雪崩の危険がある。

 心配の種は天気だが、初日の4月29日は低気圧が通過して一時的に冬型の気圧配置になりそうで、新潟、北陸地方は雨の予報が出てしまった。翌日は高気圧に覆われて穏やかに晴れそうなので、1日で核心部を片づけてしまうためには初日にある程度の場所まで進む必要がありそうだ。午後にでも出発して標高を稼いでおき、早朝の雪が締まった時間に距離を伸ばすのが得策だろう。ただし、場合によっては新雪が積もるだろうからその影響が心配であるが。

 糸魚川南部は遠い。中央道から長野道に入って豊科で降り、小谷村から糸魚川へと抜ける国道を延々と走る。国道148号線の大所トンネルを抜けると右手に姫川温泉、蓮華温泉の分岐があり、信号を右折すると集落の細い道になり、大所川を越える橋を渡って蓮華温泉の案内標識に従って右折するとぐんぐん高度を上げる。大所集落を抜けると広くて立派な道になり、調子に乗って上がっていったら次の木地屋集落を過ぎて除雪終点になってしまった。最初はここはまだ大所川沿いの林道分岐より手前かを思っていたのだが、GPSで高度を確認したら650mを越えていて行きすぎが判明、地形図を見ながら読図して下り、無事林道分岐を発見した。ここは除雪中で進入禁止の看板と鎖がかかっており、どこまで除雪されているのか全く予想がつかなかった。山頂渉猟の記述によると、林道を歩いているときに会った作業員は連休明けから除雪作業を始めたと書いてあったので、最初から雪道かもしれない。雪自体は問題ないのだが、林道に急角度で積もっているのが一番やっかいだ。危険なトラバースの連続のようなもので、山登り自体より緊張するかもしれない。行ってみなければわからないので準備を済ませ酒を飲んで寝た。

 翌日は青空が見えているが朝から雨が降ったりやんだりで、通り雨のようにざーっと降る。さすがにこれでは出かける気がしないので車で待機していると、昼近くになると怪しげな雲行きになって周囲の山は雲に隠れてしまい、雷が鳴るようになった。こりゃ出かけなくてよかった。滝のような雨も降り、雷がやんだ後も雨はしとしと降り続けた。関東は天気がいいらしいがこっちでは信じられない天気だ。夕方になっても小雨が続き、天気によっては林道歩きくらいやっておこうかと思ったのだがまるっきり無駄になってしまった。しかし夜には晴れて星空が広がり、天気予報も絶好の行楽日和を宣言したので明日は大丈夫だろう。明後日の天気は後半が心配なので、できるだけ明日のうちに距離を稼いだ方が良さそうだ。

林道入口。3桁の番号鍵で鎖がかかっている 第2発電所送水管

 林道の状態が不明で、まだ除雪されていない場合は明るくなってから出発した方がいいのだが、もしそこそこの距離が除雪されているようならラッキーなので4時過ぎに出発。幸い、林道入口付近は除雪されており、どこまで大丈夫なのか多少期待できるようだ。まあ、最初は緩斜面に林道がついているので雪があってもあまり問題ないが。大所川第2発電所入口分岐を過ぎてもまだ除雪されており、もしかしたら橋まで大丈夫か?と思わせる。しかし現実は甘くなく、第2発電所への送水管までで除雪が終了した。どうやら新たな積雪の心配がなくなった時期になるとここまで除雪するようだ。これでも半分近くは雪の上を歩かずに済んだので感謝せねば。

林道のデブリ押し出し

 この後はずっと雪の上を歩くのかと思いきや、意外に雪解けが進んで道路の端だけ出ている区間が大半で、ほとんど雪の上を歩かずに済んだ。ただ、道路の端=谷の縁なので踏み外したり崩壊すれば奈落の底にまっしぐらだ。細心の注意が必要である。2カ所ほどで路肩が崩壊して雪の上を高巻きする場所があり、ピッケルを支えにして慎重に通過した。また、土砂を含んだデブリが押し出している箇所もあり、雪のブロックを乗り越える。

遠くのジグザグが目的の林道支線 大所川にかかる橋。橋の上も川だった・・・

 ヨグラ沢出会の上流で林道が左カーブするときれいに雪が消えており、巨大な砂防ダムが現れる。その先の林道も端の雪が消えておりコンクリート護岸上を歩いた。ようやく橋が見えてきて渡ろうと思ったら橋の上は雪解け水が勢いよく流れていて川だ。こりゃ長靴の世界で登山靴では浸水してしまうので、橋の端を欄干に掴まりながら歩いた。いくらなんでもこれほどの水量とは・・・。もの凄い早さで雪解けが進んでいるようだ。

林道支線分岐 支線を歩くと杉の植林帯 上部は一面の残雪

 

 橋を渡ると地形図の記述とは違って林道は右に上がり、ヘアピンカーブで1段上がってから目的の林道支線が分岐していた。さあ、これからが本番である。Tシャツになって歩き始めたが、なんと分岐でGPSを置いてきてしまったことに気づき、空身で取りに戻った。すぐ気づいて良かったぁ。いきなりこれでは先が思いやられる。

 林道は杉の植林帯の中を通っているが、ヘアピンカーブの連続が終わると積雪で道がわからなくなり、適当に登ることにした。しかし、この杉はまだ小さくシラビソの幼木の藪のようなもので隙間が少なく、しかも昨日の雨で葉はたっぷり水気を含んでびしょぬれになってしまう。ピッケルで雨粒を落としながら進んだ。しかしだんだん密度が上がって隙間が薄そうな左手に進路変更、すると林道が現れたので、しばらくはこれを辿ることにする。地形図の記述通り小尾根を乗り越して高度を上げていき、今度はたっぷりの雪でほとんど杉の幼木が埋もれるようになったので直線的に稜線を目指した。いよいよアイゼンを装着する。まだ傾斜はさほどきつくないのでどこでも好きなように登ることが可能だ。雪はよく締まってあまり沈まない。

尾根に上がるとブナ林

 標高1000m程度で尾根にはい上がるとブナ林が続くようになる。目印等は全くなく、人間が入った気配は感じられない。この辺では単純な地形なので目印を付ける必要もないが。尾根に乗ったのであとはこれを辿るだけだが、標高差も距離もあるし、途中で傾斜がきつい部分もあって危険度の判別はしがたい。今年の残雪の山の中で一番リスクがある山行であることには間違いない。

ブナの木で遊ぶ熊 熊が好んで登る木がある?

 なぜかこの付近は宿り木が多く、まだ芽吹いていないブナの木にもっこりと茂った固まりがいくつも見られた。尾根を登り初めてすぐにそんな宿り木の一つを見つけたが、妙に密度が高いし、よく見ると動いているではないか。なんと熊であった。今年始めて見る熊で2頭いた。大きさからするとまだ子供のようで、こちらの存在にまだ気づいていない。距離は50mくらい離れているだろうか、あまり接近すると親がいた場合に危険なので無理をしないでここでデジカメを取り出して写真撮影、そして撤退していただくために腰の鈴を鳴らしたが遊びに夢中なのかいっこうに気づかない。しょうがないので手をたたくとやっと気づいて木から降りてこっちとは反対側に逃げていった。2年前、秋に4回も熊と遭遇、いずれも熊が襲ってくるようなことはなく、それなりの距離をとっていれば熊が先に逃げるか人間に気づかれないよう木の上で固まっているのを体験しているので、今回も熊にあっても恐怖心はなかった。熊の安全距離は知らないが、少なくとも50mくらいならば襲ってくるようなことはなさそうだ。熊がいた木の周辺を見ると、特定のブナの木にだけ熊が爪を立てて登ったような古い跡が多数付いているのを見たが、熊にはお気に入りの木があるのだろうか。

1102m標高点。藪を南から巻く 1240mピーク。北側を巻く 1260m肩。藪尾根を歩く

1280m鞍部からの登り

1400m付近から1550m肩を見る

1400m付近から見た1309mピーク

(一番手前のピーク)

 

 熊遭遇点を過ぎると1102m標高点で、藪が出ていたので僅かに南を巻く。その先で傾斜が一気に増してぐんぐん高度を稼ぐ。相変わらず気持ちのいいブナ林が続くが、雪がないときは下は笹藪だろうか。1240mピークは尾根から僅かに外れたところにあり、ちょっとした2重山稜で、ピークを登らずに右側の雪の土手を歩いた。1260m肩は藪が出てしまい、尾根が細くて巻けないので檜の下に生えた笹や灌木、石楠花を踏みつけながら歩く。アイゼンを履いているのでやっかいだった。水平区間が終わると再び雪の上を歩けるようになる。1309mピークは面倒なので北側を巻いてしまう。次の登りはだだっ広い急斜面で、視界が悪いときは下りでは目印が必要だろう。登っていくうちに尾根らしくなり、左手は雪が消えて藪が出るようになる。どうやらこのように早めに雪が消える場所に檜が生えているようで、雪面には主にブナが生えている。周囲を見ても雪が消えた部分にだけ緑色が見えるのでたぶん檜だろう。

1550m肩の藪 1653m標高点から上を見る 1730m付近から上を見る

 

 1500m付近は急な尾根だが恐怖心が顔を出すほどではなかった。1550m肩で藪が顔を出しているが南側に雪面が広がっているので少しだけ藪を歩いてから雪の上に移動した。傾斜がゆるんで広い尾根を淡々と高度を上げる場面は重い荷物を背負っているが楽しい時間帯である。1653m標高点は肩で、目の前には雪をまとった巨大な斜面で、ほとんど木が生えておらず真っ白である。ここも急傾斜であるがジグザグを切りながら乗り切る。ここを過ぎれば急斜面はなく、白一色の尾根を登っていくだけだ。黒負山直下より傾斜が緩いので前方に見えるのは雪の尾根だけで先の距離が目視ではわからず、GPSによる残距離表示と高度が現在位置を知る唯一の方法だ。

 

1900m付近でカモシカと遭遇

五輪山はまだ遠い

 おそらく標高1900m近辺だと思うが、右手に幼木地帯、左は雪が割れて押しつぶされた笹が出ているところの間を歩いているとカモシカ発見。私と同じように藪を避けて南を歩いていた。しばらく動かなかったがやがて南の急斜面を駆け下っていった。こりゃ人間では不可能で間違いなく滑落しているだろうな。カモシカはバランスを崩してコケて滑落する事はないのだろうか?

 傾斜がゆるむとだだっ広い高原状となり、右手から聖山から達する主稜線が合流、私が登ってきたのは枝尾根だが帰りの方向では直進となるので間違えて主尾根に入り込む心配はなさそうだ。合流点からはシラビソの幼木が密集し尾根直上を歩けないので南に巻いた。雪庇が南に張り出しているので寄りすぎないように注意が必要だ。ところによっては雪庇が崩落しているしクラックが入っている。

幼木地帯を抜けるともうすぐ黒負山 黒負山山頂 黒負山から見た五輪山

 

 藪地帯は山頂まで続かず、直下では再び一面の雪原に変身し、自由気ままに歩けるようになる。そして待望の黒負山山頂はシラビソが割と多く生えており、積雪はせいぜい1mくらいだろうか、木の根本から笹が顔を出しているものもあったので数mということはないだろう。それでも雪面が高いから見晴らしは素晴らしく、あまり近くとは言い難い五輪山、朝日岳、妙に低い赤男山、雪倉岳、そして白馬岳、小蓮華岳。東にはこれまた低い雨飾山、その奥には金山周辺、焼山、火打山、妙高。高妻山〜乙妻山に戸隠連峰。北には日本海へと続く白い稜線。黒負山山頂に立った人間はほとんどいないと思うが、この景色もこの場所からでしか見られない貴重なものだろう。

 さて休憩をかねて無線だ。軽量化のため6mを持ってこなかったので2m/430FMだが、嘘みたいに静かでしつこくCQを出しても応答がない。2mの方が確率が高かろうとそちらから始めたがダメなので430に切り替えるがダメ、再び2mでCQを出すとようやく山岳移動局から声がかかった。

五輪山へ向け鞍部へ下る 鞍部から見た五輪山 2049mピーク山頂

 

 ここからはアタック装備で五輪山を往復してしまおう。ほとんどの荷物をデポしてビニール袋に入れ、空っぽに近いザックを背負って出発だ。最初は100mの下りで階段状になった雪を右に巻いたり直滑降したりする。地形図によると池があるようだが数mの雪庇に埋もれて全くわからない。鞍部から登りになると2049mピークへの登りで、これまた一面の雪の上を歩く。ピークてっぺん付近はシラビソ幼木の藪が出ているので僅かに南を巻いた。

2049mピーク西鞍部から見た五輪山 雪がない部分は砂礫とハイマツ

 目の前の五輪山は思ったより大きく傾斜が急で、不思議なことに東斜面の雪が消えて砂礫とハイマツの地面が広い範囲で出ている。尾根のてっぺんというわけでもなくただの斜面にしか見えないが、なぜここだけ雪がないのだろうか? そして今まで見てきたパターンだとこのように雪がいち早く消えるところには針葉樹が茂っていたのだが、ここではハイマツしか無い。何とも不思議な光景だった。いかにも雷鳥がいそうな場所であったが、ハイマツが茂っていて砂礫帯が連続しているわけではないので、その中を歩くのは難しいので雷鳥がいるかどうかわからなかった。

 鞍部に下るとハイマツ帯から続く藪が行く手を塞いでいるので少しの間左を迂回し、ハイマツが切れた場所から砂礫帯を横断し、砂礫帯の真ん中に挟まれた広大な残雪を登った。どうもまっすぐは僅かに谷のようで右手の尾根ともいえないような広大な斜面を登る。高度を上げていくと徐々に傾斜がきつくなりまっすぐ登るには足の負担が大きく、左右に大きくジグザグを切りながら登っていった。地形図では左手にガレマークがあるが雪に埋もれて分からず、その代わりその谷上部には雪崩が滑り落ちた境界線が見えていた。振り返ると黒負山がだいぶ遠くなっていた。

藪を迂回して南を巻く

山頂直下の立ったハイマツの藪

ハイマツが切れた五輪山山頂

背後は朝日岳

 

 急な登りが終わって緩やかになるが、山頂はまだ西にあるようだ。稜線はシラビソの幼木とハイマツがミックスした藪でとても歩ける状態ではなく、南側を巻いて標高を上げる。するとカモシカの足跡が現れ、カモシカも藪を避けて歩いているらしい。ほぼ水平になるとどこかで稜線に戻らないと山頂を逃してしまう心配があるが、こちらにはGPSがあるので残り数10mまで接近してからハイマツの藪につっこんで上を目指すと、意外にも尾根上のハイマツはちゃんと地面を2049mピーク這うハイマツに変貌、ハイマツが切れて砂礫が出ている部分にケルンが積み上げられていた。GPSもここが山頂と示しており、間違いなく五輪山山頂だ。あの立ったハイマツの海の中かと心配したが意外な展開に驚いた。

左の大きなピークが雪倉岳、右下の小さなピークが赤男山、遠くの尖ったピークは旭岳

 ここまで来ると朝日岳が大きく一面真っ白、その向こうは雪倉岳で、その間の低いピークが懸案の赤男山である。あそこはどうにか無雪期でも藪漕ぎできそうなので、涼しくなった秋にでも長栂山と一緒に登るか。その長栂山はすぐ目の前であるが、どうせ赤男山が残ってもう一度来なくてはならないし、登山道が直下を通っているので道が無くても問題ないので今回は割愛だ。もちろん雪がべっとりと着いてスキーに良さそうな斜面が広がっていた。振り向けば黒負山が低く遠くに見え、あそこまで戻るのかと少々気が重くなるが、テントもあるので遅くなっても問題なく、疲労回復のために山頂でしばし昼寝と決め込む。本当にいい天気で無風快晴、まぶしい太陽が燦々と降り注いでいた。

 ザックを枕にうとうとしていたらハイマツをかき分ける音がして何かが接近してくる気配を感じ、まさか熊か?と起きあがると単独の男性であった。まさか五輪山で人に会うとは想像できなかったので熊を見たときよりずっと驚きだった。スキー用プラブーツを履いていたので山スキーヤーのようで、話を聞くと蓮華温泉からやってきたとのことで、ここから建物が見えるが遙かに遠い。まあ、スキーなので下りは歩きよりずっと早いだろうが、谷から登らなければならないので結構大変だろう。レンズ付きフィルムで写真を頼まれて撮影したが、ここ数年はずっとデジカメしか使っていなかったので「フィルムを巻き上げる」という操作はすっかり忘れてしまい、バックを白馬岳に変えて撮影しようとシャッターボタンを押してもシャッターが切れないので???と悩んでしまった。

黒負山東で主尾根から枝尾根に入る

1102m肩から下った斜面

 スキーヤーも下っていき、こちらも下り始めた。ジグザグに登った斜面も下りは重力の助けでまっすぐ下り、2049mピークを越えて標高差約100mを登り切り黒負山に戻った。デポした荷物は無事で、時間がまだ早いので下れるところまで下ってから幕営することにし、荷物をパッキングして下山を開始した。さすが下りになると雪が緩んでも足は軽く、膝へのショックが吸収されて逆に歩きやすいくらいだ。後ろ向きで下るような場所もなく、順調に高度を下げていく。1550m肩では稜線の藪の中を歩き、1309mピークはまたもや北を巻き、1260m肩では藪と格闘し、1240mピークは左側を通過してしまう。1102m肩で右手の木がない緩斜面目指してショートカットして下るとカモシカが2頭離れた場所にいたが走って逃げていった。そのまま斜面を下ると杉の植林帯に入ったが林道は現れずまっすぐそのまま下ると杉の密集地帯に突っ込みそうになり、こりゃ林道は左かなぁと左手の小尾根を目指してトラバース、尾根で植林が終わって藪がひどくなるかと思ったら、尾根を越えたら再び杉の植林帯で、登りで使った林道が見えていた。これで藪漕ぎは免れた。林道脇の沢で水を汲んで体を拭き幕営に備える。

橋手前で寝ていたカモシカ

 当初の計画では幕営で1泊だったが、もう午後5時だがまだ体力は大丈夫そうなのでこのまま歩いてしまおう。残りは林道歩きだが1時間半くらいで車まで着くだろうからヘッドライトが要るか要らないかぎりぎりの時間か。どのみち暗くなる時間には除雪された林道を歩いているはずなので問題ないだろう。せっかく幕営装備を背負って登ったのにもったいない気がするが、明日1日を丸々休養日にできれば第2ラウンドの山行までに体力を充電する時間が十分とは言えないまでも当初予定より長く確保できる。

 林道は所々雪に埋もれているので追いかけるのは難しく、途中で見失い適当に杉の植林を抜けると予定より上流で林道本道が出てきたが、急斜面を下らないと林道に出られない場所だったので木に掴まりながら慎重に林道に降りた。もう残るは林道歩きのみだ。大所川を渡る橋のたもとではカモシカが寝ており写真を撮影できた。行きでも雪の上を歩いたのは2カ所だけだったのでさほど危険は無く、アイゼン無しでも迂回できた。途中、カモシカがすぐ近くを逃げていく。本当にこの山はカモシカが多い。

 送水管手前で除雪された林道に出れば暗くなってももう心配はなく、淡々と歩いて薄暗い中林道入口到着、そして車に戻った。

 まさかこの時期に日帰りで五輪山まで行けるとは思わなかったが、14時間以上かかったが日帰りできてしまった。今年の残雪の山では一番深い場所にある本格的な残雪の山であったが、思ったよりも危険個所もなく残雪を堪能できたのは幸いであった。後立山最北部では一番やっかいな山だと考えていたのが登頂成功でき、大型連休最初の山行は大成功であった。


4:11車−4:13林道入口−4:22第2発電所入口−4:38送水管で除雪終点−5:17大所川を渡る橋−5:23林道支線分岐着−5:31林道支線分岐発−5:38 GPS置き忘れに気づいて戻る−5:42 GPS発見−5:47荷物デポ地点−5:50林道を外れて歩く−6:03林道−6:28 850m地点でアイゼン装着−6:36出発−6:50熊と遭遇−7:00尾根に乗る−7:18 1102m肩−7:32 1180m肩で休憩−7:48出発−7:58 1240mピーク−8:10 1270m肩−8:20 1302mピークを巻く−8:23鞍部−9:13 1550m肩で休憩−9:21出発−9:38 1653m標高点−10:27カモシカ発見−10:45黒負山着−11:46黒負山発−12:00鞍部−12:21 2049mピーク−12:29鞍部−13:14五輪山着−13:50五輪山発−14:211 2049mピーク−14:31鞍部−14:57黒負山着−15:20黒負山発−15:46 1653m標高点−15:52 1550m肩−16:08 1309mを巻く−16:34 1102m標高点−16:38カモシカ目撃−16:53 750m付近で林道支線に出る−16:55沢で休憩−17:11出発−17:31林道本線−18:01カモシカと遭遇−18:19送水管−18:34第2発電所入口−18:43林道入口−18:44車

 


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