奥日光 赤薙山、大鹿落ノ頭 2004年9月5日

 

 

 日光白根から下山後、翌日はどこに登るか考えた。当初の計画では苗場山東部の神楽ヶ峰を予定していたが、もし雨が降った場合は後藤さんが車で無線をするのはほぼ不可能な登山口ロケーションであり、予報では広範囲で雨らしかったのでリスクが高い。別候補としては赤薙山奥の大鹿落ノ頭があり、ここは登山口が霧降高原なので、雨が降っても車から運用が可能である。新潟の方が雨の確率は少ないように思えたが、予報ではかなり広範囲で雨が降ると言っていたので新潟でも群馬に近い場所ではダメかも知れないと判断、霧降高原に向かった。

 金精トンネルを抜けると土砂降りの雨でビックリ、湯本で硫化水素臭のする白濁した温泉に浸かり、日光市街地の裏街道でスーパーを見つけて食料調達をして霧降高原へ。有料道路は帰りに料金徴収なので行きはスルー、なお、料金徴収は7:00〜20:00とのことで夜間早朝は無料で通行できる。

 駐車場は何カ所かあるが、ぐるっと走った限りではリフト利用者用駐車場が一番登山口に近く、トイレもあるのでそこに居座ることにした。雨も降りしきっていることだし夜は静かだろうと思ったら雨が小降りになり走り屋小僧がやってきてキュルキュル始めてしまい、うるさくて眠れないので2つ先の駐車場に移動、こちらは静かで熟睡できた。

 夜中いったん雨が止んだが、翌朝には再び降り出してその後は雨は止むことなく時々強く降るようになり、昨日とは違ってとんでもない天気だ。それでも1山だけだし後藤さんとQSOすればハンディー機だけでいいしと雨の中出発することにし、朝飯を食って傘を差して出発することにした。どうせゴアを着たら汗で濡れるし、傘で少々雨に濡れるのと大差ないだろう。汗よりも少しは気持ちいいかなぁ。笹の出現に備えて足下はスパッツで固める。問題はリフト終点からしばらく続く開けた尾根で、樹林がないので風雨がもろに吹き付ける場所だ。

 

リフト終点から赤薙山方向 標高1700m付近から東方向

 駐車場から歩行者用トンネルを抜けて道路を渡り、リフト駅に向けて歩くと右手に赤薙山の案内標識が現れるのでそこを歩く。ここはリフトを使わない登山道であり、朝6時ではリフトが動き出すはずもないので歩きは当然だ。オーバーユースで赤土がむき出しになった沢と化した登山道脇に新たな踏み跡ができているのでそこを歩く。この雨なので本当に沢だ。樹林を登り切って開けた場所に出るとリフト終点の小丸山で、西風が吹き付けて傘を斜めにして歩き出す。雨はますます強くなり、土砂降りの様相だ。

笹とツツジの尾根 もろに風雨が当たる

 しばらくは笹とツツジの尾根が続き、予想通り風よけがないのでできるだけ尾根北側の踏み跡を辿って風を避けるが、踏み跡が入り乱れて両側から濡れた笹が覆っている区間が多く、いくらスパッツを付けているといってもゴアのズボンを履かないと濡れてしまうほどだ。しかしこの雨では着替えるのも大変だし、汗で濡れるのも同じとそのまま進んだ。晴れていれば見通しが良くて気分のいい尾根だが雨だとろくでもない。

 ようやく笹地帯が終わって傾斜が出てくるところからシラビソ樹林に逃げ込めた。樹林で少しは雨が遮られるので小降りになったような錯覚を覚える。ここもオーバーユースで木の根が浮いていたりと歩きにくいが溝までは達していない。北側を巻いていたのが尾根に乗ってグングン高度を上げ、水平になった場所が赤薙山だった。三角点があり鳥居もあるが完全に樹林で囲まれ狭い山頂だ。ここは以前登ったことがあるが、鳥居があるなんて記憶はなかったなぁ。僅かに頭上が開けているだけで、5エレを上げるには登山道の真ん中にポールを立てるしかないだろう。

鞍部から見た奥の院(左)と大鹿落ノ頭(右)

 ここから先は未知の領域で、エアリアマップでは「痩せ尾根 転落注意」とか書いてあるが、片手に傘を持ったままで通過できるだろうか。ま、危険箇所についてはエアリアマップは大げさに書いてあるので大丈夫とは思うが。結果的には所々手を使わなければならなかったが危険箇所はなかった。小ピークを越えて奥の院へのまとまった登りをこなすと赤薙山よりも広い平坦なピークに出る。これが奥の院で、無線をやるならこっちの方がいいだろう。

 ここで尾根は右(北)に屈曲し、樹林を僅かに下って登り返したところが目的地の大鹿落ノ頭であったが、GPSで正確な山頂位置を調べると縦走路が尾根に乗る場所から東へおよそ50m地点が山頂と出た。踏み跡はないが藪と言うほどでもなく、雨でなければ悠々歩けるが傘を差しながらでは石楠花の枝に引っかかることおびただしく鬱陶しい限りだ。傘の骨が1本折れてしまった。GPSで山頂と出た場所は少し開けたダケカンバの前だった。標識も何もないが間違いないだろう。なお、標高としては縦走路でも同じ高さなのでわざわざ藪をかき分けなくてもいいだろう。

赤薙山山頂 奥の院 大鹿落ノ頭山頂

 大雨で6mのアンテナを張る気力はなく、ピコを置いてきて正解だった。430メインで後藤さんを呼び出し、サブに移ってQSOを済ませてそのまま下山開始で、山頂では全く休むことが無かった。こういうパターンは珍しいかも。来た道をそのまま辿るが笹地帯で足を滑らせ濡れた笹の上に尻餅をついてさらにびしょ濡れ。濡れるのをお構いなしで笹の隙間を歩いた。泥に足を取られてコケると泥だらけになるのでそれだけは気を付けながら、案内の放送が流れるリフト脇を下り登山口に到着、車に戻った。この大雨でもリフトを運行していたが、駐車場にいるのは後藤さんの車だけだった。

 帰りは東武日光駅北東方向にある「日光温泉」に立ち寄った。ジモティー御用達の温泉で、午前中だというのに賑わっていた。市民は\200、市外者は\400也。わかりにくい場所にあるので事前にネットで調べるのがいいだろう。私は数年前の冬に訪れたことがあるので記憶を辿って発見できた。


 

 

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