奥秩父 雨降山 2003年6月29日
昔の雨乞いに関係するのか、雨降山という名前の山はあちこちに見られるが、ここで書く雨降山は奥秩父は国師ヶ岳北側の尾根上にある道が無い山である。もちろん知名度は低く、わざわざ登に来る人はほとんどいないだろう。国師が岳から尾根沿いに下るのも一つの手だが、車を大弛峠に置いておくと回収が大変であるから、素直に下から登った方がいいだろう。前日は大弛峠東側を登ったため、長野側に下る林道途中から適当に登ることにした。GPSを見ながら車を運転し、一番近くなるところから登ればいい。ちょうど小さな沢を渡って廃林道が沢沿いに上がっていくところが最短コースで、近くの駐車余地に車を止めて寝た。
雨降山には道はなく、藪の可能性もあるので明るくなってから行動を開始し、5時少し前に廃林道を歩き出した。5分ほどで林道は終点となったので、左手のガレた小さな谷を登ることにする。幸い、見える範囲は唐松の植林で間伐された形跡が上部まで続き藪はないので行けるところまでここを登った。伐採された唐松が横たわっているので少し歩きにくいが避けることは可能でジグザグに高度を上げる。やがて植林地帯が終わって薄暗いシラビソ樹林に入るが、これは深い樹林で下草はなく、倒木が多いものの楽勝だった。登るにつれて傾斜がきつくなり岩が出てくるとさらにきつい登りだ。岩の間を登っていくと左右から巨岩が張り出した小さな谷になり、そこから僅かで稜線に出た。
期待していたような踏み跡は無く、痩せた藪尾根で稜線を歩けないので南側を巻くと尾根が少し広くなり、何となく踏み跡か獣道のような気配を感じた。相変わらず尾根直上は石楠花の藪で南は樹林で歩きやすい。写真でも撮ろうと尾根に上がるとなんと突然切り開きがあった。伐採したのは昔のようだが間違いなく一時期整備した形跡だ。赤ペンキの跡も残っている。そのまま尾根を上がり、見晴らしのいい岩で写真を撮った。昨日の尾根もきれいに見えている。あのガスが嘘のような上天気だった。やがて切り開きが終わって石楠花の藪が再開、まだ立った藪なので始末はいいが鬱陶しい。右へ左へと迂回しながら高度を上げやや南よりに歩いているとまたも歩きやすい樹林に変わりピークに出た。ここにも赤ペンキ。尾根を歩いたり南を巻いたりしながら適当に歩くと山頂直下の鞍部に出て、そこから藪のない斜面を登ると藪が切り開かれた雨降り山山頂だった。
背の低い樹木があるが、まあ見晴らしはいいと言えるか。三角点ではないが標石が埋まっている。山頂標識は無かったが、山ランでは武内さんとDJFが登っているし、須崎さんも登ったはずだ。このまま長峰まで行こうと思ったが、時間切れで撤退となった場合、今無線をやらないと雨降山まで無線無しになってしまうので、時間は早いが運用することにした。ピコ6にワイアーDP。6時ちょっと過ぎだが何人か聞こえている。CQを出すと早速奥積さんに捕獲された。さすがとしか言いようがない。奥積情報では大和さんは裸山の運用が終わって櫛形山に向かったとのこと。丸山林道から登ったのだろうか。次はJS3IAQ中川さん、続いて久しぶりにJI3KHN/2田方郡の小原さんだった。遠笠山下からで、JQ1BXGご一行さまの山形が狙いだとのこと。あちらはガスの中といっていた。たぶん雲海の雲の中だろう。こっちは無風快晴だもん。3局で終わりにしたが、なんだかんだでみんな長話になってしまう。
さあ、長峰に向かおう。まだこの先も切り開きが続いているので期待できると思ったら、2,3分下ったところで切り開きは東に下ってしまって尾根上は石楠花等の藪。東にちょっと下った所を歩いてみたが予想以上に時間がかかる。まだこの先は長く、こんな段階で手間取っているようでは往復3時間では済みそうもなく、後日麓から登ることにして今日は撤退と決めた。来たときと同じルートを忠実に辿って車に戻った。
悪路を大弛峠に向かって再び登り、峠に到着すると長野側まで片車線をつぶして縦列駐車の列がつながっていた。貴重な梅雨の晴れ間、しかも手軽に日帰りで2000m峰が稼げるから人が集中しているらしい。山梨側も縦列駐車の列で、1車線しか残っていないので上がってくる車が来るとすれ違い不可能で、しょうがないから3回もバックして駐車禁止のスペースで待避することになった。その後も上がってくる車を続々と見かけたが、あれらはかなり下に車を置かないとダメだな。これだけ車が上がってくるのだから泥沼地帯は問題ないのだろうと下っていったが、まあ、土曜日よりはマシだがやっぱり登りでは躊躇するような状態だった。こっちは下りだからいいけどね。よくもあんな路面でも突っ込めるなぁ。
平地に近づくとだんだん暑くなり、甲州街道を東に進んで八王子に入ってからは我慢できずにエアコンを入れた。日野市内で事故渋滞があり時間がかかってしまったが、3時前に帰れたので洗濯と出張準備をして羽田に向かった。
今回のルートは国師ヶ岳等をやっていない場合はお勧めだろう。富士見は甲武信岳とセットでやるとして、東梓、国師ヶ岳、天狗岩、北奥千丈岳、奥千丈岳と稼げる。雨降山は国師ヶ岳から往復するよりも時間的には今回のルートが正解だろう。往復6kmに標高差500mはきつい。長峰は登れなかったが、奥秩父で残り少ない2000m峰だから今年中に行くことになるだろう。鶏冠山、剣ヶ峰も気になる2000m峰で、まとめて登りたい所だ。