南会津 長須ケ玉山〜孫兵衛山〜台倉高山 1996年4月28〜29日

 ここ数年、ゴールデンウィークの前半はhqjと一緒に北関東の残雪の薮山に通っている。標高2000m前後の山では、この時期でも残雪は未だに2〜3mあり、無雪期には手強い薮を構成する栂の幼木や石楠花、笹は雪の下に埋もれている。雪が締まっているので歩き回っても沈み込みが少なく楽に歩け、水場が無くとも雪を解かせば好きなだけ水が得られるという利点もあり、骨のある薮山に登るには絶好の季節だ。

 今までは日光、尾瀬、片品の山を登ってきたが、今年は栃木/福島県境の孫兵衛山と台倉高山を巡ることにした。特に台倉高山は栃木県内の2000m峰の中でも錫ケ岳、高薙山と並んで登頂困難ベスト3に入れて良いだろう。夏道が無いことはないが薮が深く篤志家や大学のワンゲルの活躍の場であり、一般ハイカーにとっては登山対象外の山である。私は道が整備された3000mのアルプスよりも、技術を要し、容易に人をよせつけない寂れた薮山に、より大きな魅力を感じる。これもyamaルームの武内さん、赤地さん、佐藤さんを中心とする薮山派の影響が大きい。

 ここは91年5月上旬に怪人が歩いており、yamaルームに記録があるので手本とした。コースはほぼ武内さんと同じとし、桧枝岐村から舟岐川林道を入って長須ケ玉山、孫兵衛山、台倉高山の順で周遊し、最後は林道を歩いて車に戻るコースである。怪人が歩いたときには尾根へ取り付いてからしばらくは雪が無くて薮こぎだったと言うが、今年は雪が多いとのことで薮が埋もれて楽ができるかもしれない。いつもの様に怪人は驚異の日帰り山行だったが、所要時間から考えると凡人は1泊2日が無難だろう。

 4月27日深夜、真岡を出発。今日は上空に寒気が流入して夕方から明け方まで南会津地方を中心に激しい雷雨にみまわれた。矢板に入ってからは雨で、舟岐川沿いの林道に到着しても降り続いている。例年よりも雪は多いようで、桧枝岐村の集落の中にもあちこちに雪が見られ、除雪された林道の両脇も雪の壁。1031mの標高点がある1つめの橋に通行止めの鎖がかかっていたので、駐車して仮眠をとった。

 翌朝、6:30頃起きると曇りながらも雨は止んでいた。予報では今後回復して晴れるので支度をして出発だ。同じ時間に4人の猟師らしき銃のような物を持った男達が、橋の向こう側に止めてあった軽ワゴン車に乗り込んで、徒歩の我々を後目に走り去った。中にはワカンを持っている者もいた。

 小沢倉沢の北側の尾根を登ることにしたが、そこまで林道を徒歩で40分、除雪されて車で楽に走れる道だった。標高1140mの橋の手前の小さな沢の右岸から尾根に取り付く。当然、標識も踏み跡も無いから地形図と周囲の地形を比較して尾根を特定する。ここから雪があるから薮の心配はない。最初はワカンを付けずに歩いたが、すぐに急斜面になって潜るようになり、歩き出して10分ほどでワカンを付けた。久しぶりの雪山でワカンの付け方を忘れてしまい、hqjに教えてもらう有り様だった。唐松林の猛烈な急斜面の残雪にワカンを蹴り込みながら、ゆっくりゆっくりと高度を上げる。いつのまにか快晴になって真っ青な空が広がっていた。

 1440mの肩で1回目の休憩。ここからは怪人と全く同じルートのはずだ。所々の立木には色あせた赤いペイントが残っている。他にもこんな尾根を登る奴がいるのだ。いつのまにか唐松の植林から桧の親戚(名前は知らない)やツガの樹林に変わった。コロコロした鹿の糞が至る所に散乱している。鹿の足跡も多い。ただ鹿の鳴き声はほとんど聞こえなかったのが不思議だ。

 ここから先の尾根でいったん傾斜が緩んでくる。右手には真っ白い会津駒の稜線が徐々にせり上がってきた。背後のなだらかな山は帝釈山の北側の尾根続きのピークかと思っていたら帝釈山そのものだった。意外に近い。明日登る台倉高山は遥か彼方にピョコっと頭をもたげている。本当にあそこまでたどり着けるのか不安を感じるほどだった。

 天気に恵まれたのは幸いと言っていいが、昨日の雷雨は低い場所では雨、高い所では重い雪になったようで、もともと良くない雪の状態が昼間で気温も上昇してきて更に悪くなり、ワカンを付けても足首までコンスタントに潜るようになった。尾根の斜度も増してきて先頭を行く私の足は鉛のように重い。この冬は仕事が忙しく、ほとんど山に行けなくて体力の低下が著しいのも原因の一つだ。hqjは私以上に山をさぼったようで、交代でラッセルすることにしたのだがすぐに足が痙攣してしまい、初日は私が終日ラッセルすることになった。特に1750mを越えて再び斜度が増してからが地獄だった。頻繁に残雪を口に運んで給水する。

 2回の休息を挟んで長須ケ玉山の山頂の一角にたどり着いたときには既にフラフラだった。ツガの樹林で見通しが悪く、広い尾根で山頂を確認するのは困難である。怪人の記録によると三角点のあるピークには某大学ワンゲルの標識があるはずで、それが唯一の山頂の証明である。ただ、今年は雪が多くて標識が埋もれている可能性もある。周囲を見回しながら尾根の最高地点を外さないように注意深く歩いていると、小さいながらも周囲よりも高いピークを発見した。重い足を引きずって登ってみたが残念ながら山頂標識は見あたらなかった。ただ、明らかに数カ月以内に付けられた、新しい荷造り紐の目印があった。登ったのはここ数日ではないようで足跡は消えていた。なお、この先の稜線では林道に下るまで、目印の類は一切見かけなかった。

 ここが最も山頂臭いので昼食とし6mを運用することにする。ピコ6にワイアーダイポールの軽量設備である。この山域は、東京から見ると奥日光の2400m近い山の裏側にあり、お手軽設備では都心部の固定局とのqsoは苦しい。幸い、何度かqsoしている局が移動運用中でcqを出していたのでコール、カードは確実にもらえると判断して1局で終わりにした。このような局だったら、万が一カードが来なくても安心してsaseを出せる。

 約1時間の休息の後に出発。多少疲れは取れたが日中になって雪の状態はますます悪化、当初の計画では1日目は引馬峠まで歩いて幕営の予定だったが、体力が持つかどうか分からなくなった。もっと手前で幕営し、翌朝早めに歩き出して、気温が低くて雪が凍って潜らない時間に距離を稼いだ方が楽ではないかと考えるようになった。hqjと話して、予定より短くともいいから歩けるところまで歩こうと決めた。怪人は夜間山行でこの尾根は早朝に登っており、雪が締まって歩きやすかったようだ。

 長須ケ玉山の南のピークとの鞍部で木の密度が低くなって視界が開け、真っ白な尾瀬の山々が目に飛び込んできた。至仏山はもちろんであるが、燧ケ岳までもがベッタリと分厚い雪のベールを纏っている。2年前の同じ時期の黒岩山から眺めた時と比較して明らかに雪が多かった。

 たかが10mくらいの標高差の南のピークをあえぎながら越え、樹林越しに先の尾根を確認しながら1901mピークを目指す。広い尾根が続くので、先の先を見ながら進まないととんでもない方向に行ってしまう恐れがある。1901mピークは正直に尾根を通らずに東に巻いて疲労を抑える。鞍部の東には湿原のマークがあるが、木が生えていないそれらしい真っ白な雪原があった。

 1878mピークによじ登って、見晴らしの良い先端でいったん休憩。遠かった台倉高山がかなり近づいてきた。孫兵衛山は目の前のピークの向こう側のはずである。まだ時刻は13:30過ぎで、この分なら孫兵衛山までは確実にたどり着けそうだ。そこまで行けばあとは引馬峠までは下りだから、少々のラッセルがあっても支障はない。どうやら当初の予定通りの行程がこなせそうだ。

 10分の休憩の後出発。いよいよ本日最後のまとまった登りだ。孫兵衛山北側の尾根を牛歩戦術さながらの歩みで1歩1歩登る。今まで歩いた感じでは、どうやら日中に日がよく当たる場所の方が表面の雪の状態は悪いが、その下は雪が締まって潜り方が少なく、逆に針葉樹の葉で覆われた直下では雪の解けかたはそれほどではないが深く潜り疲労が急速に蓄積する。できるだけ日当たりの良い、木の密度の低い場所を選んで歩いた。尾根が広いので方向を見失わないよう周囲の地形を見ながらではあるが。怪人はこの辺りの尾根で歩きやすい所をずんずん歩いていて尾根を外している。

 無休憩で孫兵衛山頂まで行けるかと思ったが、体力の限界で1990mの肩で休憩した。もう山頂は目の前である。hqjも相当へばって、かなり後方を歩いている。2人とも限界に近い。いつもだったらもっと雪の状態がいいのだが・・・。毎年楽に歩けるとは限らない。

 さあ、今度こそ最後の登りだ。まだまだ続く広い尾根をじっくりと攻め、たかが60mの標高差に20分もかけて孫兵衛山の北ピークに到着、そこから10分でツガが点々と生えた三角点峰に到着した。本日の最高地点だ。なだらかなピークではあるが山頂は吹き溜まりになっている。三角点峰と言っても三角点は数mの雪の下で確認することはできない。しかし、ここは地形的に山頂に違いないと自信が持てる程度のはっきりしたピークだった。

 ザックを転がしてその上に座り、早速ダイポールを張ってワッチしたが強い信号の移動局が見あたらない。ピコ6だとsの弱い局をコールしても取ってもらえないことが多く、sメータが振れないと絶望的だ。430ハンディーでhqjとの奥の手qsoができるが、こんな薮山では430ではまだ可能性はあるが6mでは2度と電波が出るとは思えない。何とか6mでqsoしたいと望みは薄いがcqを出すことにした。案の定、数分間の空振りcqが続いたが、とうとう応答してくれた局がいた。59の強力な信号で、1エリアではなく新潟市内の固定局だった。ここまで来ると日光の向こう側よりも日本海側の方がよく飛ぶ。おかげで貴重な6mのカードがもらえることになった。感謝感激。昨年7月の船形山でもqsoしてもらいカードも届いているということで安心だ。これ以上cqを出しても応答する局がいるとは思えないので、芋蔓式でhqjもqsoしてもらう。

 これで本日の無線は終了。あとはねぐらの確保だ。体力の残存量から、ほとんど登りの無い、引馬峠西側の1915mピーク付近の鞍部で幕営することに決めた。今日はもう登りは懲り懲りだ。南のピークに登って県境稜線に出ると、2年前に登った黒岩山がすぐ目の前だった。あの時は雪の状態は良く、ワカンは最後まで重りにしかならなかったけどロングコースで大清水に到着したときにはフラフラだったっけ。尾瀬に続く赤安山、袴腰山、桧高山も見える。どれも2年前の残雪期に登った薮山だ。

 進路を東に変えて広い尾根を注意深く下る。長須ケ玉山からずっと深いツガの樹林が続き、県境稜線でもまだ樹高が高いままだ。おそらく尾根の幅が広いことが影響してるのだろう。木が矮小ならば360度の展望が楽しめるのに・・・。樹林で先が見えずに、あっちに行ったりこっちに行ったりしながら、尾根を外さないように歩いた。この辺りで怪人は赤ペンキに惑わされて尾根を外して下ってしまったのだが、残雪が多くてペイントが埋もれているのか目印は皆無で、ルートファインディングしながら歩いたため正確に尾根をとらえることができた。

 予定の鞍部は予想通りに広く平らな場所で、シラビソが生い茂って雨露、それに風を避けることもできて幕営に最適であった。軽量化を狙って昨年購入した2人用のゴアライトを設営し、フライをかけ、中にマットを敷けばそこは小さな天国だ。昨日とはうってかわって夕方になっても上空は快晴で夕立の心配もなさそうだ。ラジオで天気予報を聞くと明日も快晴。あとは放射冷却で冷え込んで、雪がカチカチに凍ってくれればしめたものだ。

 夕食をとって20:00に就寝。昨年購入した厳冬期用のシュラフのはじめての出番だったが、例年だと夜間は冷え込んで寒さで熟睡できないくらいなのが、今年は逆に暑くて夜中に起き出す始末だった。毎年、朝にはワカン、スパッツ、それに山靴は凍り付いているのだが、今年は全然凍らなかったから夜間の気温の高さがうかがえる。

 翌朝も快晴。朝食をとってテントを撤収し、5:30に出発。気温は高めと言っても昼間に比べれば雪は格段に引き締まり、場所を選べば全く潜らない。これがどれほど楽なのかは経験者でしか分からないだろう。たかが10cm程度でも2,3倍は体力の消耗に違いが出る。だから少しくらい遠回りしても潜らない場所を拾って歩いた方がずっと楽ができる。日中に日が当たって雪が解けた場所が良く凍って潜らなので、なるべく樹林が開けた場所を歩いた。

 程なく引馬峠に到着。しかし標識もなく、無論踏み跡も無い。峠と名前が付いていても人間臭さは皆無。その昔は人間の往来があったかもしれないが、今では廃道化しているのだろう。休むには早いのでそのまま通過する。

 次の1982mピークは北西を巻いて稜線に出た。ここから先は巨大な雪庇の発達した尾根が続いている。最大で高さ10m位はあるだろうか。もちろん、ここでは総ての木が埋もれ防火帯のようになって見晴らしがよい。谷を隔てた南には日光連山が続き、北側は真っ白な会津駒。振り返れば孫兵衛山は遠くなっている。

 雪庇の上を歩いたり、樹林を歩いたりして1880m鞍部に到着、1回目の休憩を取る。昨日よりも格段に雪質がいいので、かなり距離を稼げた。北西の風がやや風が強く寒い。体が冷えすぎないように10分ほどの休憩で出発。

 いよいよ台倉高山の登りにかかった。日当たりの良い場所の潜り方が少ないので開けた南側を歩いた。尾根の南には階段状の小規模な雪庇ができており、それに沿って登る。雪庇の存在するところでは木が埋もれて日当たりがよく、潜らないのだ。ただ、急斜面なので滑落しないように細心の注意が必要だ。でもワカンの歯が固い雪をガッチリとつかんでくれる。重いアイゼンも持っていったのだが全行程に渡ってワカンだけで済んでしまい、アイゼンは最後までトレーニング用の重りだった。


 階段の様な吹き溜まりを1つ1つ越えると、やっと傾斜が緩んで台倉高山山頂に到着し、360度の大展望が広がった! 今までの稜線は大きなシラビソ、コメツガが繁茂して視界を遮っていたが、この山頂付近だけは矮小化して高さが低く、視界を塞ぐことがない。それに山頂にも雪庇があって地上高がひときわ高い。西には尾瀬から平ケ岳、そして利根水源山脈が続き、白銀の越後三山。北にはこれまた真っ白の会津駒から三岩岳へのなだらかな稜線、遠くに飯豊、吾妻も見える。東に目を転じれば帝釈山はすぐ近くで簡単に往復できそうに見える。那須、男鹿山塊、高原山と続き、1エリアへの障壁と化した日光連山。白根の後ろには錫ケ岳、そして日光笠ケ岳もはっきりと見える。今までの疲れを吹き飛ばすような絶景だった。これから下る尾根もはっきりと見えるのでルートファインディングも楽だ。

 眺めを楽しんだ後に山頂標識を探したが、雪の下らしく見あたらない。怪人が登ったときにはここには雪がなかったそうだ。hqjも山頂に到着し、ピコ6+ダイポールで運用開始。木が低いのでダイポールの地上高も低いが快調に1エリアから声がかかる。昨日まで飛ばなかったのが嘘のようだ。スーパ常連のjg1ophともqso、極めつけは7l1ugcの登場だ。いろいろと情報を交換、長い時間ラグったが、すでにカードを得るのに充分な局数とqsoしていたので鈴木さんを最後に撤収した。

 下山は北側のピークから北西に派生する尾根に入り、1940mピークで北の枝尾根に乗り移って林道まで下る計画だ。怪人は2028mピークから沢沿いに降りる計画だったが雪解けで増水した沢を下るのは無理で、尾根に登って倒木に苦労しながら下ったのだが、こちらはその情報を元に別の尾根を下ることにしたわけだ。

 2度と訪れることの無いであろう山頂を後にし、雪庇の発達した県境稜線を下りきった鞍部で予想外にもワカンの跡を発見した。かなり新しく、少なくとも昨日の夕方以降に付けられたものに間違いない。その形は、昨日、通行止めの橋の先で車に乗り込んだ猟師らしき連中の内の1人が持っていたワカンの形にそっくりだった。木製で滑りどめの歯の厚さがアルミ製よりもずっと太いのですぐに分かる。越沢の方から登り、台倉高山には向かわずに北のピークに向かって登っている。

 こちらは正直に尾根を登らずに途中で巻いてしまう計画で、稜線から外れて西側を巻いていると、ワカンの足跡が途中で交差し、越沢に向かって降りていた。日当たりの悪い西や北の斜面は潜って歩きにくいが下りなのでそれほど苦にならない。巻き終わって尾根に出て1940mピークに到着。次の枝尾根に乗り移るべく北側の斜面を下った。この尾根は100mほど下らないとはっきりした尾根らしい地形にならないので、最初は樹林で視界の効かない広い斜面を注意深く下る。やがて尾根がはっきりしてくれば安心、意外に日当たりがよく、気持ちよい稜線漫歩を楽しめた。相変わらず頭上には真っ青な空が広がっている。谷を隔てた真正面には帝釈山が聳えていた。

 眼下に見えていた林道がグングン近づき、吹き溜まりの急斜面を滑り降りると林道に出た。まだ積雪は2m近いだろうか、標識は頭を除いて埋もれていた。林道もここまでは除雪していない。まだ車までは2時間はかかると見積もっていたので休憩。雪解け水で喉を潤し、少し早い昼食を取って出発した。

 林道に出ても残雪は続き、ワカンを外すことはできない。おまけに吹き溜まりでは沢に滑落しないよう注意して通過する必要があり気が抜けない。日当たりの良い場所では雪が解けて路面が見えていたが、なかなか整備されて良好な状態だった。カーブはできるだけショートカットして距離を短縮する。どこから降って沸いたのか林道に足跡が出現し、この足跡も我々と同じ考えでカーブのショートカットの連続だった。そのおかげで1時間ほどで火打石沢出合まで来た。再び休憩。

 休んでいると下の方から4,5人のパーティーが登ってくるのが見えた。まだ遠いのではっきりは見えないがザック等の装備から登山者の様に見える。おや、こんな所にも入山者がいるのかと感心し、こっちに来るまで待っていようと少し休憩時間を延ばしたがなかなか現れない。それじゃと歩き出して林道を忠実に辿ったが、彼らは林道ではなく沢沿いに登ったようですれ違わず、いったいどんなグループでどこに登るのか聞くことができなかった。こんな不遇な薮山に登るのはどんな連中なのか話すことができずに残念だった。

 橋を渡って100mほどで除雪の終点が現れて、ようやく雪から開放された。ワカンを脱いで沈まない土の上を歩くと、雪の上の労力が嘘のように楽だった。そこから1時間で車まで到着。昨日登った尾根への取り付きの足跡は既にほとんど消えていた。

 着替えを済ませて桧枝岐温泉で汗を流し、充実した1泊2日の残雪の山に別れを告げた。まだ4月で今年1年は長いが、間違いなく今回の山行が今年一番の体力、技術力を要求される山行となるであろう。来年も充実した残雪山行が実現できることを期待したい。

記録
標高1031m橋--(0:40)--尾根出合(休憩5分)--(1:05)--1440m肩(休憩10分)--(0:56)--1730m地点(休憩10分)--(0:46)--長須ケ玉山三角点峰(休憩53分)--(0:17)--長須ケ玉山南峰--(1:06)--1878mピーク(休憩10分)--(0:54)--1990m肩(休憩10分)--(0:30)--孫兵衛山(休憩37分)--(0:13)--県境ピーク--(0:30)--1900m鞍部で幕営--(1:15)--1880m鞍部(休憩10分)--(0:25)--台倉高山(休憩1:30)--(1:15)--林道(休憩17分)--(0:43)--火打石沢出合(休憩10分)--(1:10)--標高1031m橋


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