中ア中部 尻無山 2009年10月31日
所要時間 6:39 ゲート−−6:55 林道終点−−7:58 水場−−8:38 マセナギ−−8:48 尻無山 9:21−−9:31 マセナギ−−9:53 水場−−10:30 林道終点−−10:40 ゲート
日本山名事典に記載された中アの2000m峰は全て登り終わっているので中アからはしばらく足が遠のいていたが、山名事典記載の2000mを少しだけ切る標高の山が残っていることはDJFの記録で知っていた。そんな中で尻無山は1900mを越えており登らないのはもったいない。場所は空木岳の池山尾根の途中で、マセナギと呼ばれる崩壊地から一つ下ったピークである。登山道から僅かに外れた場所なので笹がありそうだが、DJFは雪がある時期に登っているので無雪期の状況は不明である。まあ、登山道からの距離が近いので激藪でも問題なく到達できるだろうが。
この週末は文化の日を入れて飛び石連休であるが、私の場合は年度当初に11月2日は有給休暇を所得することを宣言してあり、早々に4連休が確定していた。4日もあるのだから少し遠出したいところで加賀白山北部や奈良の大峰などを考えていたが、残念なことに週末から週明けは本格的な寒気が入って強い冬型になることが予想され、北方面や日本海側の山は低いところでも雪が予想され、関西でも大峰のような標高では吹雪になるだろう。土曜日だけはほぼ全国的に晴れの予報なので1日だけそっちに行ってもいいのだが、悪天になってから好天の太平洋側に移動する距離が長くなってしまうのが難点だ。効率を考えると最初から太平洋側に近い場所が良く、いろいろ考えた結果、初日は尻無山に決定した。
中央道に乗り、仮眠は駒ヶ根ICに最寄の小黒川PAとしたが、ここは売店、トイレ等がある建物の先に小型車10数台程度の小さな駐車スペースがあり、大型車用駐車スペースから離れているのでアイドリングしたまま暖房をかけて仮眠している大型トラックの騒音から逃げることができ、快適な寝場所だった。
現在の登山口。ゲートより500m戻ったところ | 新設ゲート前駐車場 |
新設ゲート | 新設ゲート脇の案内図 |
今日の行程は短時間なのでのんびり起きても問題なく、目覚ましをかけずに起きたら出発としたが、周囲が薄明るくなってきた頃に起床、出発し、すぐ近くの駒ヶ根ICで降りて、何度も通った道で池山尾根の林道終点を目指した。途中にある公園のところで「2.?km先通行止(?の部分の数字は覚えていない)」の看板が目に入ったが、2km以上入れるのなら問題なかろうと構わず進んでいくと、標高約1240mで沢を越えるところでゲートが新設され車止めの鎖がかかっていた。この先は路面状況が悪く一般車では1速に落として走行するような悪路だったが、とうとう通行止めにしてしまったらしい。林道終点まで標高差約120mなので大きなロスではなく、安全を考えれば仕方ないところかもしれない。
案内ではここから林道を500m戻って尾根直上の登山道を行くよう書かれているが、逆戻りするどころか標高まで下げてしまうのはあまりにももったいない。一般登山者は案内どおりに行くのが当然だが、藪山派なら道が無くても近道したくなるのが当然だ。本当はゲート前の駐車場からそのまま斜面に取り付きたいところだが、一般登山者の目がある中で堂々とやるには恥ずかしく、ザックを背負って林道を100mほど戻り、駐車場の車が見えなくなったところで斜面に取り付いて上を目指すことにした。
ショートカットでここから斜面に取り付く | ロープが流してあった |
最初だけ笹 | 登っていくと笹が切れる |
斜面への取り付きは獣道を利用したが、なんとそこには古いフィックスロープが張ってあるではないか。その古さからしてゲート新設以降に私のようにショートカットするために設置された物とは思えず、それ以前の何らかの作業用であろうか。まあ、こんなものにお世話にならなくても斜面に上がれるが。林道沿いだけ笹がうるさいが標高を上げていくと笹が切れて下草も無い歩きやすい広葉樹林が広がり、適当にジグザグを切りつつ上を目指す。ほどなく尾根上の登山道に合流し、帰りもここからショートカットするため枯れ枝を木に立てかけて目立たない目印とした。この目印よりも登山道に付けられた正規の目印の方が参考になったが。
林道終点駐車場 | 旧登山口 |
旧池山避難小屋へ下る道 | 水場。この時期でも問題なく出ていた |
登山道を少し登ると林道終点広場に出るが、当然ながら車は皆無だ。地形図ではこの先も尾根上に登山道があるように書かれているが、実際は稜線南側を大きくジグザグっている。再び尾根に乗ると尾根上は池山への直登コースが分岐し、太い登山道は再び南を巻いてしまう。池山は既に登っているのでパスして巻き道を進む。途中、旧池山避難小屋の分岐が沢に下りているが、今でも小屋はあるのだろうか。新しい避難小屋はこの先の1750m鞍部にあり、ほとんどの登山者はそちらを使っているはずだ。その新避難小屋への分岐には沢水をホースで引いてきた水場があり、水の便もよろしい。
ここが笹が切れる境界 | 笹が無いシラビソ樹林 |
ここまでは周囲はカラマツ植林帯+笹原が続いていたが、新避難小屋分岐より少し登ったところで笹が終わると同時にシラビソ樹林に変わる。冬場は日当たりも無く寒いところだが今日は妙に気温が高くてシラビソ樹林に入ってひんやりした方が心地いいくらいだった。
1920m平坦地の標識 | 左標識の拡大。ここは尻無(マセナギ)ではなく設置場所が違う |
これから先は尻無山分岐のマセナギを見落とさないよう地形図と高度計の表示に注意しながら登っていく。1800〜1900mの登りが終わって1920m平坦地に到着するとそこには「尻無 1970m」の標柱が立っているではないか。これは明らかに間違いで、尻無山や簫ノ笛山がある尾根への分岐が尻無のはずだ。一般登山者には不都合はないだろうが、積雪期で悪天時に下山してきた場合に問題とならないだろうか心配だ。せめて標高だけでも修正しようかと思ってマジック(正確にはペイントマーカ)を出そうとウェストポーチに手を突っ込んだがマジックが無い! またまたどこかで紛失してしまったらしい。今日の尻無山ではDJFリボンに落書きを追加することができないなぁ。
登山道を離れて稜線へ向かう | 稜線上は笹 |
再び登りとなるが稜線北側を巻いてしまい、もしかしたら尻無がどこだか分からない可能性があるので登山道を外れて尾根上を行くことにし、シラビソ樹林を登って1970m肩に登る。ここまでは地面には草も笹も無かったが肩から先の尾根上は腰ほどの高さの笹が茂っている。激藪というほどの密度ではなく乾いていればどうということはないが、濡れていたら漕ぐのはイヤだなぁ。
笹尾根を横移動 | 本当の尻無で登山道に合流、この標識あり |
水平な尾根を横移動すると尾根上には目印が点々と付いており、おそらくは冬季ルートとなっているのだろう。再び傾斜が出てくるところで登山道と合流、なんだ、わざわざ笹の中を歩いたのは無駄だった。ここには「マセナギ」と書かれた古い標識があるし、地形的にも明瞭なので通過してしまうことはなさそうだ。
マセナギ向かって笹の中を南下 | マセナギ。南側の展望良好 |
マセナギから見た黒覆尾根 |
登山道に入らず左に進路を取り、少し密度が増した笹薮を短距離漕ぐとマセナギの崩壊地上に出る。さすがガレの上なので南方の展望が良く、槍のように尖った田切岳が一番目立っていた。今日は空気の透明度が悪く遠くは白濁し、伊那谷の反対側に立ち並ぶ南ア3000m峰は樹林の隙間から断片を見ることもできなかった。これだけ気温が高く風もほとんど無いのではしょうがないか。
尾根を下る。低い笹で歩きやすい | 鞍部付近 |
ここから崩壊地に沿ってシラビソ樹林を南に下るが、今までの濃い笹が薄くて低い笹に変貌し急に歩きやすくなった。しかも尾根の西側寄りは笹が消えてもっと歩きやすく、薄い獣道も付いていた。南斜面の方が笹が濃そうなものだが。鞍部から先はカラマツ植林帯となり笹も無くなってしまい、歩きやすいところを拾ってすぐそこの山頂へと登る。ここも南側は崩壊地が広がり、崖っぷちを歩くと展望を楽しめるが、日当たりがいいせいか崖っぷちは少し潅木がうるさく、北側の樹林を巻いた方が歩きやすかった。
鞍部から登りにかかると笹が消える | 山頂手前のガレ |
尻無山山頂 | 山頂の布KUMOとDJFリボン |
尻無山山頂から見た黒覆尾根 |
登りきったところが尻無山山頂で、ダケカンバの枝には色あせて文字が消えてしまった布KUMOとDJFのピンクリボンが並んでいた。他には標識は無く、当たり前だが訪れる人は稀らしい。山頂からは南西方面にだけ展望が開けていた。頭上は開けていて日当たりは良く、今日の気温の高さもあってこの時期にこの標高でも心地よかった。
帰りも同じルートで戻ったが、明日から悪天が予想されているにもかかわらず20人近くが登っていったのではなかろうか。結果的には天候が崩れたのは日曜午後くらいだったはずで、ほとんどの人は雨に降られることはなかったと思うが、たぶん日曜日は朝からガスっていたのではなかろうか。こんな時期でこの天気予報でもこれだけ賑わうのだから、さすが空木岳である。
池山を巻いて自然観察館入口から登山道はジグザグに下り始めるが、登山口から離れるように西に向かって歩くところは遠回りになるのでショートカットして笹の斜面をまっすぐ下っていく。どうせ下には登山道があるので細かいルートは気にせず、歩きやすい所を選んでいく。このようにショートカット可能な場所は2か所あり、どちらもさほど笹は濃くなく下りなら利用価値は高いだろう。すぐに登山道が出てきて横移動となった。
池山付近の唐松の紅葉 | 林道終点直下に立っている設置場所違いの標識 |
再び斜面をショートカットして適当に下っていったが、偶然にも登りで取り付いた、古びたフィックスロープが伸びる斜面にピタリと下っていた。
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