北海道 東大雪 音更山、石狩岳、上川岳 2009年7月9日


 今年の千歳出張作業はとりあえず終了し、翌日からは有給休暇と勤続20年の特別休暇とあわせて海の日の3連休翌日までの長期休暇に突入した。これからは天候と相談しながら山の梯子の日々となるが、初日は好天は1日しか持たない予報で、日帰り可能な山に向かうことにした。無理をすればカムイエクウチカウシ山も可能だと思うが、何せ千歳から中札内までが遠く、睡眠時間がかなり短い中を登らなくてはならなくなってしまうので、これは連休後半に回すとしてまずは東大雪に足を向ける。こちらも遠いが山の規模はもっと小さいので出発が遅くても大丈夫だろう。

国道脇に立つ林道入口案内標識 ユニ石狩岳登山口を通過
ユニ石狩岳登山口の標識 シュナイダーコース駐車場入口

 カーナビの判断で十勝側からアプローチすることにして通称「樹海街道」を東進、然別湖、糠平湖を経由して数年前にも二ペソツ登山で通った林道に突入する。今回の石狩岳は標識に従って道なりに進み、途中でユニ石狩岳登山口を通過する。今回はこことの周回も考えたのだが川上岳往復を考えると距離が長くなりすぎると判断してシュナイダーコース往復とした。ちなみにユニ石狩岳登山口を見た限りでは笹が繁茂して登山道を覆い、ほとんど利用者がいないように見えた。

 20分くらい走ったところで右手に大きな標識が登場、広い駐車場には平日深夜なのに数台の車が止まっていた。たぶん200名山だか300名山めぐりの登山者だろう、全て道外ナンバーだった。私もフェリーでマイカー登山にしたほうがよかったかとも考えないわけではないが、天候との兼ね合いを考えると1日でも長く北海道に滞在した方が1泊以上の山に登れる可能性は高く、金がかかっても今回の選択は意味があるだろう。酒を飲んですぐに寝た。

 翌朝、約4時間の睡眠で起床、既に他の登山者は出発しているだろが、こちらは到着が遅かったのでしょうがない。幌尻岳と違って所要時間は長くはないので遅い出発でも問題ない。残念ながら上空は雲に覆われ、稜線は雲の中で見ることができなかった。そのうち晴れてくれることを祈りつつ出発する。

駐車場を登山口側から見る シュナイダーコース登山口
山の神? 細いが明瞭な登山道が続く

 沢の左岸に沿って明瞭な登山道が伸びており、迷うようなことは無さそうだ。さすが300?名山だ。ただし、この登山道入口には案内標識等はなく、これは不親切な点だろう。しばらくも標識はなく、そのうちに「シュナイダーコース」の表示が出てきた。しかし、なぜにしてシュナイダーなのだろうか。シュナイダーさんが開いたのか?? 途中の標識では1986年でルート開設25周年と出ていたので、既に40年以上経過しているわけだ。逆に言えば昭和30年代に作られたわけで、昔から登られていたわけではないようだ。

渡渉点。飛び石でどうにか渡れた 1961年に開設されたらしい
尾根に乗って高度を上げる 時々笹がはみ出す

 昨日の大雨で沢を渡るところがどうなっているかが唯一の心配だったが、その渡渉点が登場。増水しているのかどうか不明だが水は濁っておらず、飛び石を使って靴の中を濡らすことなく対岸に渡ることができた。この後は尾根に乗って高度を上げていく。道は明瞭だが少しだけ両側から笹がはみ出し、衣服を僅かに濡らしそうなので手で避けながら進んでいく。周囲は発達した落葉樹林なので視界は無いが、樹林の隙間から時折見える稜線はガスに覆われていた。いつものパターンだと朝方は稜線は雲がかかるが時間が経過すると晴れてくることが多く、うまくいけばそのうち晴れるかもしれない。

時々露岩が登場する 沢状の登山道
ユニ石狩岳 森林限界が近づいてくる

 尾根が細くなるとグングン高度を上げるようになり、徐々に樹木の高さが低くなってハイマツが幅を利かせ森林限界の様相を見せてくる。森林限界を突破すると視界が開け石狩岳が姿を現すが、残念ながら未だガスの中で、まずは音更山を先に登り、石狩岳に向かう時刻を遅くなるようにした方がよさそうだ。それで晴れるかはわからないが。

森林限界を突破 稜線直下から見た石狩岳。まだガスの中
稜線の音更山分岐 分岐から見た音更山

 稜線に出ると西よりの強風が吹き荒れ、Tシャツでは寒いのでゴアの上着を着て手袋をしてアタックザックで音更山に向かう。かなり風が強く、耐風姿勢とまではいかないが体がふらつくほどだ。石狩岳に向かう登山道には先行する2人の登山者の姿が見えているが、私が音更山を往復した後にはもう下山をはじめているだろうか。

コマクサが咲いていた ゴロタ石地帯は道が薄い

 稜線上には明瞭な刈り払われた登山道が続き、ハイマツの溝を行くときだけは風を避けられてほっとする。森林限界を超えてからはお花畑が登場したが、音更山への稜線では北海道で初めてコマクサを見た。やっぱこっちでも咲いているんだな。

 水平移動が終わって登りにかかると大きな岩が積み重なったルートに変わり、道がはっきりせずにケルンや目印を頼りに適当に登っていく。途中ルートを外したかもしれないが石の上を歩くだけなので植物を踏み荒らすわけでもなく問題なかっただろう。ケルンが大いに役立った。ここを登っているときに音更山山頂付近にかかっていたガスが切れ、大きな山頂がすっきり見えるようになった。まだ石狩岳山頂付近はガスの中だが時々稜線が姿を見せるようになり、山頂が晴れるのも時間の問題だろう。

音更山直下から見た石狩岳 音更山山頂
音更山から見たニペソツ〜大雪(クリックで拡大)
音更山から見た大雪(クリックで拡大)

 音更山山頂直下のお花畑でユニ石狩岳方面の登山道分岐があり、僅かに登れば三角点が立つ音更山山頂だった。森林限界を超えて樹林は無く石が散在し展望はいいのだが山頂付近の雲は切れているが周囲の山には雲が絡み、遠望は利かなかった。おそらくここからだとニペソツの鋭い山頂も見えているはずなのだが。まあ、全く見えないわけではないのでマシだろう。

晴れた石狩岳へと向かう 鞍部から登りにかかる

 山頂で少々休憩して石狩岳に向かう。相変わらず風が強くゴアが風よけに役立つ。途中、単独男性が音更山へと上がっていった。登山口への下降分岐では石狩岳を登った2人が休んでいるのが見え、音更山へと向かうのかと思ったらそのまま姿を消した。石狩岳のみ登って帰ったらしい。石狩岳は200名山だか300名山だかで、おそらく内地から登る人の大半はそれが目的だと思われるが、ここまで来て音更山に登らないのはもったいない気がするなぁ。

音更山を振り返る 石狩岳目指して登る

 鞍部から登りにかかり、ある程度標高を上げると石狩岳が風除けになって登山道の風が弱まり、暑くなってきたのでゴアを脱いで歩いた。稜線直上はハイマツが中心だがちょっと尾根からずれるとお花畑が広がり、北海道の山らしい風景だ。

石狩岳1966m峰 1966m峰から見た1967m峰
石狩岳1966m峰から見た東の風景(クリックで拡大)

 展望の尾根を登り切ると山頂標識が立つ北峰(1966m)に到着、地形図では南峰(1967m)の方が高いが現場では北峰を山頂としていた。私の方はこれから川上岳を往復するつもりなので南峰も踏むので問題ないが。音更山同様、山頂にはガスは掛かっていないが周囲の山には雲が絡んで展望はよくなかった。風も強く東に僅かに下ったところで男性が休憩していたが、それに倣う。この人は昨日は悪天で休養日、その前日はトムラウシ日帰りで、その前の日は幌尻岳日帰りだったという。幌尻の翌日にトムラウシはきつかろう。私ならそのような計画は立てないなぁ。やはり相当疲れたとのことで今日は石狩岳にしたとのこと。今の天気予報では明日は雨なので再び休養できるので、その後はそこそこ疲労も抜けて山を楽しめるだろう。

1967m峰へと登る 1967m峰から見た川上岳
1924m峰南から見た石狩岳

 男性は下山し、こちらはメインザックをデポして川上岳へと向かう。山頂はいつの間にかガスに包まれ、稜線は強風が吹き付け寒いので防寒着を着て歩きだした。道のグレードが落ちるかと思ったが、目に見えて悪くなるようなことはなく明瞭な登山道が続いていた。考えてみればエアリアマップで赤実線なので当然か。ただ、熊の出没が多いと書かれているのが大いに気になる。鈴を盛大に鳴らしながら歩くが、この強風では熊も風の音で鈴の音が聞こえないだろうし、ガスって私の姿も見えないだろう。本当に熊がいたらヤダなぁ。1967m峰はどうにかガスがかからないギリギリの高さだった。

ハイマツがはみ出す登山道 岩稜帯はすっきり歩ける
鞍部へと下る 最低鞍部の雪渓。テントが張れるスペースもある

 石狩岳最高峰を越えてなおも森林限界の稜線を下り、1924m峰で屈曲して次の1920m峰の方が少し高く、鞍部向けて緩やかに下っていく。ちょっとでも標高が落ちると岩稜帯や寝たハイマツから少し立ったハイマツに変わり、登山道に枝がはみ出して足に触るようになるが、今のところガスでハイマツが濡れることもなく快適だ。

川上岳へと登る 川上岳山頂直下
川上岳山頂 川上岳から見た石狩岳(ガスの中)

 最低鞍部では左側にはまだ雪渓が残っており幕営適地もあるのだが、シュナイダーコース登山口から歩きだすのなら場所的に中途半端だろう。登りにかかって緩やかに高度を上げていくが、稜線直上ではなく北側を巻きつつ登っていくように道が付けられている。もしかしたら登山道は山頂を通っていないのか?と思ったが、GPSの残距離を見ながら歩いていると本当に巻いてしまうようだった。

 山頂近くまで来れば半分立ったハイマツは終わってお花畑の斜面が広がり、適当に山頂めがけて歩けるため、高山植物を踏まないように気をつけながら山頂を目指して登る。登山道から1分程度で川上岳山頂に到着、山頂は東半分がハイマツに覆われ、西半分がお花畑であった。地形図にも山名が記載されていない山だからなのか山頂標識はなく、ちょっと寂しいかも。あまり疲労は感じられないのでこのまま石狩岳へと戻ることにする。帰りも強風で寒く、時折稜線はガスに隠れたり出たりと天候はイマイチのままだった。熊が出ないかとビクビクしながら歩いたが、糞は見かけたもののご本尊の出現は無かった。よかったぁ。

 山頂で少々休憩していたが、もうお昼過ぎで今日は平日だし登ってくる登山者はなく無人で熊が怖い山頂だった。山頂を下り始めて少しすると雨が落ちてきて、ゴアを着るほどではなかったのだが、急激に雨粒が大きくなってこのままではびしょ濡れになってしまうほど強雨と化し、急いでゴアを着用した。雨が降っていたのはたぶん5分程度だったが、草木が濡れるには充分な雨量で、登山道脇からはみ出している樹木や笹は全部濡れており、雨が止んでもゴアを脱ぐことはできなかった。結局、沢の渡渉点近くまでゴアを着たまま歩き、沢でゴアの裾の泥を洗い流し、ゴアを手に持って登山口まで歩いた。もう午後のいい時間なので登山者の車はなく、私のレンタカーだけぽつんと止まっていた。


所要時間
5:31登山口−−5:58渡渉点−−7:52稜線802−−8:37音更山8:47−−9:28下降点−−10:00石狩岳1966m峰10:19−−11:00川上岳−−11:47石狩岳12:00−−13:37渡渉点−−13:59登山口



2000m未満山行記録リストに戻る

 

ホームページトップに戻る