北信 中西山(1741m)、奥東山(1830m 日本山名事典記載)、東山(1849m) 2009年6月6日



 戸隠、高妻、乙妻の西側には堂津岳から黒鼻山にかけて1800m前後の稜線が連なっている。このうち最高峰の堂津岳であり、地形図を見ると破線が書かれている。ただ、たしかDJFやCVPが登ったのは残雪期だったはずで、本当に道があるのか怪しいところだ。しかし、堂津岳と反対側の中西山から黒鼻山にかけての尾根はネットで調べたら少なくとも東山までは刈り払いがあるとのことであった。こちらは最新の地形図でも破線は書かれていない。

 今週末は太平洋側に近いほど雨の予報、東北以北も天候が悪いとの予報で、西に行くほど天気がいいのだが未踏で適度な近さでそこそこの高さがある山が思い浮かばない。そんな中で堂津岳がある北信は曇りの予報で、どうにか雨は降らないらしい。たぶん山に登ってもガスって何も見えないだろうが、標高が標高なのでガスっていた方が涼しくていいだろうと北信へと向かうことにした。

 東京は雨だったが西に行くと徐々に路面が乾いてきて、長野市近辺でも雨は降っていなかった。松代PAで仮眠し、3時に動き出して鬼無里村の奥裾花自然園へと向かう。事前調査で車道は片側交互通行だが通行可能であることは分かっていたので安心していたのだが、料金徴収の詰め所(片側交互通行期間中は無料)を過ぎて奥裾花ダムのところで車止めがあった。どうやら開園まで待たなければならないらしい。近くに広場があるのでそこで再び仮眠することにしたが、先行の車も同じ場所にUターンしてきた。やがてマイクロバスがやってきて車止めを手でどかして入っていき、後続の車も同様に入っていったのを見てこちらも動き出すことにした。たぶんゴミの不法投棄防止用なのだろうが、こちらは登山が目的なので問題なかろう。その後も何台も車がやってきたので、早朝は手動開閉で問題ないようだ。なお、立看板等で時間外進入禁止とは書かれていなかった。

観光センター駐車場。マイカーはここまで 観光センターゲート

 林道を走って広い駐車場に到着、この先にゲートがあるのを知っているので駐車場に車を置いて朝飯を食い、ザックを担いで出発。マイクロバスのパーティーは20人強いただろうか、先に歩きだしていた。天候は予報どおり曇りで、雨は降っていないがここよりすぐ上で山肌は雲の中だった。残念ながら今日は展望は期待できない。今回は地図を間違えてしまい先週の霧ヶ峰の地図を持ってきてしまったが、登山道があるのでまあいいかとそのまま出発した。

舗装終点。ここで左に入る 左は広場

 ゲート脇を通って舗装道路を歩き、林道が大きく右カーブするところで左に上がる明瞭な登山道があったので登ってみると、広場の先に池と神社があり、神社裏で林道に出られた。あとは林道をクネクネ歩いて舗装道路が終わったところで広場があり、案内看板の地図によるとここで左に入る道が稜線への道らしい。明瞭な遊歩道を辿ると小さな沢を渡るところで「中西山登山道」の文字発見。東山も堂津岳も無いが、稜線へ行く道はこれしかないので間違いなかろう。

中西山登山道入口 ブナ林を歩く

 2つ3つの分岐があったがちゃんと案内標識が整備されていたので問題なく進めた。大きなブナが立ち並ぶ平坦な樹林帯でいくつか沢を越えてから緩やかに登り始め、やがて本格的な登りになった。少し湿った道でコケたら泥だらけになりそうで、下りは滑らないように注意が必要だろう。周囲の笹や樹木は昨日の雨でたっぷりと水滴が付いているが、ここはほとんど体に触れる藪はなく、快適に登ることができた。気温は高めだがいつの間にかガスの中に入って涼しくなった。

稜線に出たところにあった標識 堂津岳方向は踏跡皆無

 稜線に出ると木の幹に手製の案内標識が取り付けられており、左は中西山、右が堂津岳だったが、その堂津岳方面には踏跡すらない根曲がり竹の藪だった。な〜んだ、やっぱり地形図の破線は嘘だったのか。本当に道があれば東山に行ってから堂津岳にも足を延ばそうと考えていたが、今回は無理だ。来年以降の残雪期にもう一度来るか。中西山方面には踏跡が続いており、これなら問題なく歩けそうだ。山菜取りらしき男性2名が雨具を着て立っていた。濡れた藪の中に突っ込むのだから雨具は必要だな。

根曲竹の中の明瞭な刈り払い 中西山
中西山から東の展望。一面の雲 中西山の山ねずみ氏標識

 地形図がないので中西山や東山への距離が分からないが、最終手段としてGPSがあるので心配になったら電源を入れればいい。笹と潅木、石楠花の尾根を緩やかに標高を上げて広い平坦地に出ると中西山山頂標識があった。東方向は少し刈り払ってあり晴れていれば戸隠方面の展望がよさそうだが、今は深いガスに覆われて何も見えなかった。何せ戸隠どころがこれから先の尾根も全く見えないのだから。山頂南側に白い小さな物体がぶら下がっていたのでなんだろうと思ったら、久しぶりに山ねずみ氏の標識であった。約1年前のものだったが、けっこう新しそうに見えた。

イワカガミ シラネアオイ
ガスの中を進む シラネアオイの群落

 この先は道のグレードが下がるかと思いきや、僅かに下がったかもしれないがほとんど変わらない刈り払いが続いていて一安心。となるとこのまま東山まで続いている可能性が高い。周囲の根曲がり竹を考えると、刈り払いが無ければ私でも無雪期にこの尾根を歩こうとは考えないだろう。笹の海だが意外にもシラネアオイの群落が多く、大柄な花を咲かせていた。おっと、イワカガミもちらほら見えており、ショウジョウバカマもまだ咲いていたな。

崩壊地を突っ切る 尾根が細くなりフィックスロープ登場

 緩やかに下り、鞍部から緩やかに登りにかかり、小ピークから下って奥東山との最低鞍部に差し掛かる手前で道は東側を巻いているのだが、斜面が崩落して岩盤がむき出しになった箇所が登場、幸い、テカテカの1枚岩ではないので浅いがスタンスはあり、荷造り紐のフィックスロープも張ってあるが、ロープは使わず潅木を掴みながら通過した。鞍部から見上げる奥東山は切り立っており、こりゃ尾根はよじ登れないのではと思ったら、やたら急な部分は西側を巻いて、フィックスロープが垂れた急斜面を登るようなルート取りになっていた。フィックスロープがあるといってもここはホールド、スタンスが充分にある土と潅木の斜面なので危険は無かった。

奥東山西斜面を急登 奥東山山頂

 再び稜線に上がって最高点に到着、何も標識が無いがここが奥東山らいいのでGPSの電源を入れて確認すると間違いなくそうだった。周囲は笹原で展望がよさそうな場所だが相変わらずのガスに覆われたままだった。下りにかかると道は明瞭なのだが両側から濡れた根曲がり竹が覆いかぶさり、さすがにびしょ濡れになってしまうのでゴアの上着を着た。足の方はだいぶ前にロングスパッツで防水しているが、微妙な高さにかかる笹や潅木があり、ズボンはだいぶ濡れてしまった。何せ今日は私が先頭で露払いだろうからなぁ。

 傾斜が緩むと笹のトンネルも終了し、背丈と同じ程度の根曲がり竹と潅木の混合植生に戻った。次のピークまでの稜線は西側が切れ落ち、ここが戸隠の一角であることを感じさせる光景だった。これも晴れていれば向こうに後立山が並んでいるのだろうなぁ・・・。小ピークを1つ越えて、次のピークに登りきってここが東山かと思ったら標識が無い。GPSの電源を入れると山頂は北西と出た! あれ? この尾根ってずっと南に向かうんじゃなかったっけ? 北西とはどういうことだろう? 地図を忘れてきたので確認する手段が無いが、まだ刈り払いが続いているということは山頂はまだ先なのだろうとピークから下り始める。ガスが無ければ本物の山頂が近くに見えているはずだが、今は全く見えない。

なだらかな稜線を進む 東山山頂。刈り払いはここでおしまい

 ガスで方向感覚がイマイチずれていて北西に向かっているようには感じられないのだが、GPSの残距離表示は順調に減っていった。久しぶりにGPSが役立ったなぁ。最後の登りが終わると広場が出現し、真中に三角点が立っていて、一番奥に手製の山頂標識があった。ここが東山山頂だ。刈り払いはここできれいさっぱりおしまいで、黒鼻山方面は根曲がり竹の藪が広がっていた。あそこも登るなら残雪期だな。根曲がり竹の高さは私の身長より僅かに低い程度で、高い樹木は無いので展望はよさそうな場所だったが、やっぱりガスに覆われて視界皆無のままだった。

 歩きだして約3時間経過したので30分ほど休憩したが、この時期でこの高さなので虫がわんさか襲来、これは予想できたことなので濡れタオルで汗を拭いて虫除けを頭や耳、首筋にたっぷりと塗った。これをやらないとボコボコにされていただろう。来週以降はもっと高い山にしないといかんなぁ。

 下山を開始すると数分で単独男性が登ってきた。稜線直下手前まで一緒に歩いたのだが、40分程度の差ができたようだ。その後は2人パーティーが2組、そして奥東山南側鞍部への下りで大パーティーとすれ違った。少し雲の高さが高くなり、近くの稜線は見えるようになってきたが、霧雨が舞うようになった。このまま天気が崩れるのか、それとも回復するのか何とも言えない。まあ、こっちは下るだけなので雨が降ってきてもいいけど。

下山はガスが晴れてきた。東山付近から 中西山付近から見た小谷村

 登るときは気付かなかったが(それとも鳴いてなかった?)、稜線から下って緩斜面帯のブナ林に入るとたくさんのハルゼミが鳴いていて、駐車場に到着するまでずっと続いた。登山道を歩き終わって舗装道路に出ると散策している観光客の姿がチラホラ見られた。ここはゲート前からシャトルバスが出ているはずなので、それに乗ってきたのだろう。バス停の場所は確認しなかったが、この舗装終点にあると思ったらバス停が見当たらない。林道を下り始めると山肌を大きく右に回りこんだ先の尾根上にバスが見えていた。あれがバス停か。ダイヤが不明なので急ぐこともなく適当に歩いていたら、あと1,2分で到着するという距離でバスが出発した。バス停に到着して時刻表を見ると30分毎の運行で、今から30分待つのなら歩いた方が早い(2km程度)のでテクテクと駐車場まで歩いた。

所要時間
 6:17ゲート−−6:44舗装終点−−7:34稜線−−7:51中西山−−8:25奥東山−−9:06東山9:36−−10:23奥東山−−10:54中西山−−11:06稜線を離れる−−11:37舗装道路−−11:45バス停−−12:04ゲート



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