伊那山脈 曽山、金森山
2008年12月12日
大鹿村、旧上村、旧南信濃村の国道152号線に沿うように西側に聳える山脈は伊那山脈と言われる。最高峰は1等三角点の鬼面山で、周囲には1700m前後の山がいくつかある。以前から気になっていた山域であるが今回は矢筈トンネル南側にあたる地域の曽山と金森山を目指すことにした。ネットで検索すると「伊那谷の山」に両者の記録があり、別々に登っているがどちらも赤石トンネル西側入口付近から登れるようなので今回はそこから周遊しよう。沢沿いから登り始めていることを考えると尾根上は笹藪なのだろうから、素直に記録を参考にした方が良さそうだ。
赤石トンネル西側入口。立っている場所に駐車余地あり |
橋の反対側からトンネル入口側を撮影 |
曽山へ向かう沢の入口。「曽山登山口」の看板あり |
堰堤は左岸を巻くのが良い |
水が無くなった谷を遡上 | 時々目印がある |
鞍部直下は急傾斜で右に逃げる獣道を使う | ジグザグって鞍部に向かう |
その後も沢の中の歩きやすいところを拾って高度を上げていく。危険箇所は全くなく水が流れている部分も少なくて沢歩きの雰囲気というより山歩きの雰囲気に近い。流れに近い石の表面が凍りついていることもなく滑らないので助かった。枝沢が何本か分かれるが明らかに本流が太いので地形図で確認するまでもなく見分けが付く。鞍部が近づくと傾斜が急になり鞍部直下はガレて登れないが、獣道が右手に迂回しているのでそれに従うとジグザグって最低鞍部に出た。野生動物は理にかなった道の付け方をしてくれた。稜線上は獣道なのか人間の踏跡なのか不明だが明瞭な筋があり、境界標石もあって人間くさい。
鞍部に出ると明瞭な踏跡出現 | 尾根を登っていく |
樹林の隙間から見た中ア中部 |
周囲に少し笹が出ているが薄いし枯れているし全く障害にならず順調に高度を上げる。一部傾斜がかなりきつい尾根だが獣道は尾根上にもあるのでそれを辿って木を掴みながらよじ登る。傾斜が緩むと左手から尾根が合流し、そちらにも目印がぶら下がっているので別の尾根から登る人がいるようだ。傾斜が緩むと足への負担も軽くなり、るんるん気分で広い尾根を登っていく。たまに振り返ると樹林の向こう側に真っ白な中アが見えていたが樹林に覆われすっきり見渡せる場所は無かった。
笹は完全に立ち枯れている | 傾斜が緩む |
曽山山頂 | 曽山から見た南ア。逆光気味でディテイル見えず |
そのまま樹林帯を登り切ったところが曽山山頂で、氏乗山で見かけたのと同じタイプの標識がいくつか設置されていた。残念ながら樹林に囲まれて展望は悪く、北側に氏乗山から鬼面山にかけてが樹林の隙間から見える程度だった。樹木が無ければ中アから南アの白い姿が拝めるのだろうが。いつもの体力ならこんなところで休憩の必要はないが足が重いのでたまらず休憩する。先週と違って気温が高く、標高1600mで気温は0度なのでペットボトルの飲料は凍っていなかった。先週はもっと低い山だったのに-6℃だったからなぁ。休憩するのにはありがたい。
稜線を南へと向かう |
この区間も笹はほぼ全て枯れている |
1590m峰でトンネル西側入口への尾根が分岐 | 反対側には「至曽山 至小川路峠」の標識 |
鞍部から登り返すと松の先で尾根が切れている | 少し戻って東を巻く獣道を使う |
獣道巻道から見た南ア(クリックで拡大) |
鞍部付近で赤石トンネルの標識が登場、これは足の下にトンネルが通っていると言うことだろう。樹林の中の薄い笹が生えた尾根を緩く登り切ったところが1590m峰で、ここには標識があってトンネル入口への案内があった。帰りはここで稜線を離れて北に下るわけだが、標識があるので分岐を見逃す心配がない。そのまま尾根を進んで鞍部を越えて登りにかかると松の木の先で切れ落ちた岩場が登場、無理をすれば通過できるが左手の斜面に明瞭な獣道が見えているので尾根を戻って獣道の巻き道に入ると、他の人も同じことを考えるようで入口にはテープが巻いてあった。巻き道は明瞭で歩きやすく、1638m三角点峰に登ることなく延々と巻いていた。一部遠目にみるとヤバそうな場所もあったが実際に歩いてみると道はしっかりしているし足下は水平で歩きやすく危険を感じることはなかった。ということはこれは鹿などの大型動物も利用しているのだろう。その先のザレを横断するところは南アの展望がいいが、今は逆光気味でディテイルが見えないのが残念だ。帰りはいい感じだったので写真を撮影した。今回のルートの中で数少ない展望箇所だ。
あ | |
三角点峰南側鞍部で「国道」に出るところ | 道端にはいくつもの観音様 |
小川路峠 | 巨大な反射板 |
反射板から見た中ア | 反射板から見た伊那山脈北方 |
巻き道が終わると小鞍部に出て僅かに下ると国道に出た。まあ、国道と言っても車道ではなく遊歩道だが。しかし幅広くしっかりと笹が刈り払われた道は今までとグレードは大違いだ。道沿いには観音様が点在しており昔から旅人の安全を見守っているようだ。少し登ったところが小川路峠で昔は茶屋があったそうだが今は平地のみその面影を残している。反対側のピークには巨大な電波反射板が設置されており、伊那盆地方面の樹林が刈り払われているので眼下には飯田の町が見下ろせ、谷を挟んで中央アルプスが立ち並んでいた。
藪に突入。踏み跡も目印もあり問題なし |
すぐに左から刈払いが合流するもここでおしまい |
笹に覆われた尾根を獣道を利用して下る |
1590m鞍部。ここでいったん笹が消える |
鞍部から登り返す。まだ笹は無し | 1660mピーク付近になると笹薮出現 |
1660mピーク一帯は獣道で笹に埋もれながら進む | 1660mピーク南端の目印 |
笹の勢いは日当たりの良い南向きの尾根が最もあるようで、鞍部に差し掛かったとたんに笹が切れて落ち葉に覆われた明るい樹林となり歩きやすくなった。登りにかかっても北向きの尾根だからだろうか、笹が出現するが枯れたものが多いしさっきほどの濃さは無く問題なく歩ける。しかし傾斜が緩んでくると徐々に笹が濃くなってきて1660mピーク付近になると密生した笹薮と化し、細い獣道をつないで藪漕ぎを回避しながら進む。ピークは南北に長く最高点がどこだか判別できなかったが、最南部には調理器具?が目印として木の枝にぶら下がっていた。
ようやく金森山が見える | 1610m鞍部。笹は無い |
金森山へと登る。笹は枯れて歩きやすい | 金森山山頂 |
南斜面も笹が濃く埋もれながら下り、鞍部に出るとパッタリ笹が消えて歩きやすくなるのはさっきの鞍部と同じパターンだ。最後の登りにかかると再び笹が出てくるが北向き尾根なので密度は薄く、かなりの笹は枯れてしまっているので楽に登れる。今度は傾斜が緩んでも笹が増えることも無く歩きやすい尾根が続き、平坦になったところが金森山山頂だった。真中には三角点が鎮座し、周囲の木には目印テープがいくつも付けられているが山頂標識はなかった。主稜線はここから南東に下っていくが、覗き込んでみるとテープは見えないが笹薮はほとんど無く歩きやすそうだった。 山頂は樹林に覆われて展望皆無、この標高では仕方ないだろう。上空のみは開けているので場所を選べば日向ぼっこできる。三角点脇でしばし休憩。パンをかじっていると南西尾根から小鹿が顔を出したがすぐに逃げていった。
1590m峰から北に下り始める | 笹はあるが濃くない。目印多し |
標高が下がると笹が消える | 1290m鞍部 |
下山は1590m峰までは来たルートを戻る。1638.2m三角点峰を巻くところで南アの展望を楽しんでから進み、1590m峰で標識に従って主稜線を外れて北に下り始める。最初は尾根が不明瞭であるが踏跡、目印を頼りに下っていくとはっきりしてくる。しかしこの尾根をそのまま辿ると主尾根ではなく最後は尾根が消えてしまうので、途中で僅かに右に分離する尾根に乗る。尾根がはっきりすると踏跡も明瞭になり目印も多くなり安心して下れるようになり、笹がいっそう薄くなって気持ちよく歩ける。前方に顕著なピークが見えるが、あれは1300m峰だろう。その手前の鞍部で右手の谷に下るのが「伊那谷の山」によるルートだ。
1290m鞍部から右の谷に下る | 谷は水無し、藪無し |
歩きやすい所を適当に下る | 最後はトンネル入口の電気柵に到着 |
鞍部に出て右手の谷を覗くと落ち葉に覆われて水は無いただの谷で、木に黄色いテープが巻かれているのが見えるのでルートに間違いないだろう。落ち葉に覆われて見えないだけかもしれないが踏跡は無く、歩きやすいところを適当に選んで下っていく。この谷の下部は3つの谷が合流しており、一番西側の谷が本流で唯一水が流れているので判別は簡単だが、下ってきた谷と東側の谷が判別しにくい。まあ、谷を歩いていると樹木を通して鞍部が見えるので大丈夫だろう。
最後に水が流れる小さな沢を渡ると鹿避けの電気柵に囲まれた広場に到着、車で着替えを済ませたが通行する車は皆無だった。
所要時間
7:00赤石トンネル西側入口−−7:37
1400m鞍部−−8:02曽山8:16−−8:50
1590m峰−−9:06国道−−9:21小川路峠−−10:05金森山10:31−−11:15小川路峠−−11:27 1620m鞍部−−11:44
1590m峰−−12:08 1290m鞍部−−12:14赤石トンネル西側入口