奥秩父前衛 五里山、薙山 2008年9月28日


 五里山は地形図記載の山なのでいつの日か登りたいと考えていたが、道は無いが標高差はさほどないので簡単に登れる山だと想像したので後回しにしていたが、DJFが先に登って記録を公開している。今回はこの記録を参考にして同じように魔子周辺とあわせて登ることにしよう。天気予報は当初より悪化し上空を気圧の谷が通過して曇りとなったが、雨の心配はなさそうだ。昨日同様涼しく登れそうだ。

クリスタルラインからの林道分岐点。手製標識あり

砂防ダムまでは普通車可


 増富ラジウム温泉街を通過して舗装された林道に突入、T字路は左に曲がって少し行くと右に未舗装の林道が分岐し「五里山登山口」の手製の標識が掲げられている。やや轍が深いが普通車でも入れる道であったが、砂防ダムを左岸から高巻きした先で急激に路面が荒れて普通車では走破は無理で、バックして少し下った駐車余地に止めた。ダム堰堤下に2,3台駐車可能なスペースがあるが釣り客と思われる先客がいた。

 車を止めてからDJFの記録を読むと、砂防ダムの少し上流で林道を離れて沢沿いを進むようだ。どこかで右手の枝沢に入るようだがそこには案内標識があるらしい。まっすぐ行けばおおよそ五里山と薙山の鞍部に出るらしいので、あまり細かいことは気にしないで歩いてよさそうだ。

右に分岐する薄い林道に入る。ここも標識あり そのまま林道を進む
林道は徐々に消え草っぽい谷になった 登ると草は消えるが目印、踏跡なし

 翌朝、明るくなってから行動開始。熊避けの鈴を鳴らしながら林道を歩き、ダム上部に出ると右に分岐する林道があり、ここにも案内標識がかかっていた。最近車が入った形跡がある林道だが本道よりも轍は薄い。このまま轍を進んでいくと支流の本流ではなく左の支流を上がっていく。DJFの地図に書かれている支流沿いの林道らしい道が右の尾根に上がっているので間違いなさそうだ。しかし、全く登山道らしき筋は無く轍は徐々に薄くなって草むらに消えてしまった。まあ、大した草ではないので藪漕ぎではないが歩きにくい。どうもDJFの記述と違うので違う谷に入ったようだ。考えられるのは右の尾根の向こう側にある本流だが、ここから尾根を越えるのは面倒なのでこのまま谷をつめるか右の尾根を登るのが良かろう。地図を見る限りではこのまま登れば薙山に達するはずだ。

右の尾根向けて斜面を登る

尾根に乗る。藪皆無で歩きやすい


 谷を上がっていくと草が無くなって歩きやすくなったが上部で尾根に吸い込まれて谷が消えているのが見えたので、右手の尾根に乗り移ることにした。藪は無くどこでも歩ける植生だが鹿道を使って巻き気味に尾根に上がると境界標識はあるがあまり歩かれているようでもない。左手の斜面は唐松植林帯、右手は自然林で藪は無く歩きやすいが、傾斜はきついので汗をかかされる。

尾根を直登 露岩が混じり始める
石楠花も混じり奥秩父の雰囲気がプンプン 危険な露岩は無く直登か巻けた

 細かい地図が無いのでこの先の地形が読めないが、とにかくこの尾根を進めば薙山に達するのは間違いないので直進あるのみ。左から尾根を合わせて尾根が右に屈曲すると尾根が狭まり露岩が出てくるが、今のところ迂回せずに直進可能だ。露岩を急登しピークに出るがDJF記録に出てくる2本のダケカンバは見当たらないので薙山ではないようだ。この先も尾根が痩せて露岩混じりの尾根が続くが、直登が危険な場所は獣道がちゃんと迂回してルートを示してくれるのでルートファインディングは楽だ。幸い、ザイルが欲しくなるような場面は出くわさず、適度に変化を楽しめた。

薙山最高点から見た五里山

薙山最高点から見た薙山(手前の平たいピーク)


 やがて一段高い露岩ピークに到着、周囲を見渡してもここが最高点に間違いないのでここが薙山かと思ったが、やっぱりダケカンバが無く、GPSの電源を入れて確認すると東に100mと出た。そこは間違いなく今いるピークより10〜20mは低く、どう見ても山頂っぽくないが、帰ってから地形図で確認すると細長い尾根の東端が最高点になっていた。どうやら地形図が微妙に間違っているようだが、これくらいは誤差の範囲内だろう。いやらしいことに右手の谷のほうから大型動物が枯れ枝をバキッと踏み折る音が時々聞こえてくる。熊か鹿のどちらかだろうが、熊だったらこっちに寄ってくるなよ。まあ、鈴をチリチリ言わせて歩いているので大丈夫だとは思うが。

露岩を下る。危険なし

薙山山頂


 露岩ピークを下って再びなだらかな樹林帯の尾根に入ると僅かに登り返し、今度こそダケカンバが立つ薙山に到着。DJFのピンクリボンは無いが黄色いビニールテープに薙山と書かれていた。さすが山名事典にしか記載されていない山なので扱いはこの程度だろう。一面の樹林に覆われて展望は皆無だった。これではすぐ西側にある最高点の存在には気づかない。

南に尾根を下る DJFが登ってきた谷
鞍部から登り返す 上部は石楠花が出現

 ここから先はDJFも歩いた尾根なので情報もあり安心できるだろう。DJFが登ってきた鞍部に下ると当然のように目印も何もない。ここからは傾斜が緩くて谷の様子は見えない。登り返して標高を上げると傾斜が増して尾根がバラけるとシラビソ樹林に石楠花が混じるようになり、周囲一面が石楠花になってしまった。ただし密度が低いのでもがく必要は無く隙間を選んで進めばよかった。DJFの記録では石楠花があったなんてことはまったく書かれていなかったので不審に思い読み返すと、なんと17??m峰は登らずに北側を巻いたそうだ。しかし石楠花地帯は横移動の方が大変なのでそのまま尾根を登り、石楠花が切れて背の高いシラビソ樹林に変わってから右斜面を巻いた。たぶんピークまで標高差で数10mだったろう。

ピークを巻いて斜面を歩く 西尾根に乗る。目印多し
岩峰てっぺん。中央の石板は自然の石 岩峰から見た五里山
岩峰を右(北)から巻く獣道 岩峰を左(南)から巻く斜面
岩峰基部を巻く 鞍部が見える

 西尾根に乗ると藪も無く、目印の赤テープが頻繁に現れて今までと異なり格段に人の匂いがする。快調に足が進むが登りにかかると目の前に露岩が現れた。おそらくDJFが右を巻いた岩峰と思われたがまずは登ってみることに。山頂には2つの平たい石が立っており石碑だと思ったら天然の石だったのにはちと驚いた。てっぺんからは正面に五里山が見えるが、足元は垂直に切れ落ちた崖で下るのは無理だ。少し戻って北側を見てみると獣道が下っているのが見え、たぶんDJFはこれを使ったのだろう。しかし現場で私が見た第1印象は南を巻くルートがメインと思えた。これは尾根上から続く獣道が南に巻いているからであり、それを辿ると赤テープが現れた。やはりこっちがメインルートらしい。岩の基部を巻いて鞍部までずっと獣道が続き、赤テープが点在していた。

鞍部から見た岩峰側

鞍部の標識が付いた枯木は倒れていた


 広い鞍部は露岩は無くだだっ広いところだった。DJFが報告している案内標識が見当たらず地面に落ちていないか周囲を探したところ、なんと標識が付いていた枯れ木が朽ち果てて根元から折れていた。これじゃ見つかるはずもない。

ザレた広い尾根を登る 上部は露岩
露岩を登ると山頂の一角 五里山山頂。標識は向山となっていた

 鞍部からは広いが急な尾根をよじ登る。藪は無いがザレているので少々足元が不安定だがずり落ちるほどではなく、獣道を追って適当に登っていく。目印が点在するがこの付近はみんなバラけて歩くようで1本道ではない。まあ、上を目指せばどこを登っても山頂に到着するが。最後は僅かに露岩を登ると山頂の一角に到着、少し水平移動すると三角点が鎮座する五里山山頂に到着した。周囲は樹林に覆われて全く視界は無く、面白みにかけるのは仕方ない。手製の標識は五里山ではなく向山となっていた。

鞍部から北の谷を下る。目印あり

谷はずっとこんな感じで水は無く歩きやすい


 下山であるが、北尾根はかなりの傾斜で露岩で立ち往生する可能性があるので、標識があった谷を下ることにした。ここはDJFは使っていないが標識があるくらいなので踏跡程度は期待できるだろう。鞍部から少し下ったところに目印の赤テープが巻かれてルートがあることは確認できたが、その先は藪は無いものの目印ははく踏跡もほぼ皆無といった感じで、適当に歩きやすいところを選んだり獣道を選んだりと予想とは大違いだ。ただ、谷といっても水は無くどこでも好き勝手に歩けるのでルートとしてはなかなかいい選択だろう。これが尾根上だと露岩や石楠花の歓迎を受けるかもしれない。

太い谷に合流すると下ってきた谷に向けて標識あり 下ってきた谷を振り返る
谷は藪もなく歩きやすい 1つ目の砂防ダムは左岸を高巻き
2つ目の砂防ダムも左岸を高巻き 廃林道に出る

 僅かに水が流れる大きな沢に合流すると、今下ってきた枝沢に案内標識が向いていた。これがないとこのまま谷を直進してDJFのように五里山と薙山の鞍部出てしまうので貴重な標識だ。こちらの谷は登りで使った谷と違って草も皆無で非常に歩きやすい。DJFの記録どおり砂防ダムは2個出てきたが、私は左岸側の獣道を使って巻いた。2つ目の砂防ダムを超えると廃林道が出現、どうやら地形図に出ている林道はこれのことらしい。あとは適当に植林帯を突っ切って林道に出れば車は近かった。


所要時間
駐車スペース−−林道分岐−−右の尾根に乗る−−露岩ピーク(薙山最高点)−−薙山−−薙山南鞍部−−岩峰−−五里山東鞍部−−五里山−−五里山東鞍部−−林道−−駐車スペース

 

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