大菩薩前衛 芦沢山 2008年2月17日

 


 今週も寒さが続き近場の日帰りの山で済ませることとした。先週は山梨県丹波山村の岩岳に登り、ラッセル続きで死にそうになったので、今回はもう少し低い山にして雪が少ないところにした方がいいだろう。ちょうど岩岳と多摩川を挟んだ反対側に芦沢山があり未踏のままなのでそれが適度だろう。登山道があるのか不明だが、アプローチを考えると貝沢川に沿った東尾根末端から登るのが順当だろう。

 早朝の市街地は車もガラガラで順調に青梅に突入、心配していた道路の凍結もなく丹波山村に到着。途中、奥多摩湖畔の駐車場ではテカテカのアイズバーンに走り屋だか族だかの類の車がつかまって脱出不能に陥って何人かで押している姿を目撃した。平坦な場所でも氷の上ではノーマルタイアでは全くグリップしないようだ。スタッドレスだとゆっくり走れば平地なら問題なく走れるので性能の差は大きいようだ。

 多摩川対岸に渡って細い道を右折、上流目指してゆっくり走る。グランドを通過して釣り堀?入口から凍った上り坂になるがどうにか通過、貝沢川を渡って目にした尾根末端は法面で取り付き不可能、その先のキャンプ場に遊歩道入口があったのでここから取り付くのが良さそうだ。この付近には駐車スペースが無く、釣り堀まで戻って河原へと車を乗り入れて駐車した。

貝沢川を渡る橋 遊歩道入口

 

 ノーアイゼンで凍った道路を歩くのは冬タイヤで走行するより滑りやすく、特に下りは注意して通過、遊歩道入口は雪に埋もれかけていたが足跡があった。案内標識があったが、やっぱりこの道は東尾根に達しているわけではなく、このまま等高線に沿って多摩川沿いを歩くらしい。杉木立を歩き左手の傾斜が適当になったところで斜面に取り付いた。北斜面なので一面の銀世界でパウダースノー、傾斜がきつくなると足下の雪が崩れて足場が定まらず登るのに苦労した。今日はピッケルの出番は無しと考えて持ってこなかったので、適当な木の棒を支えに登っていった。アイゼンを付けた方が楽だっただろう。

ここから東尾根に取り付く 集落が低くなっていく
もうすぐ東尾根直上 東尾根直上。藪は無い
鹿の足跡が続く 植林帯も出てくる
熊棚があちこちにあった 熊棚拡大。鳥の巣ではない

 

 稜線に出ると照葉樹と落葉広葉樹の自然林で何となく踏跡があるような無いような雰囲気で、所々の雪が溶けて地面が顔を出している。このくらいの状態が続けば楽勝だが標高が上がるとそうはいかないだろうな。雪がなければグングン高度を稼げる。植林帯になると日当たりが悪くて雪が出てくるがまだラッセルというほどではない。しかし徐々に雪が増えて地面が出てこなくなったのでワカンを装着する。ここも先週同様に鹿の足跡が多くあちこちに糞が転がっている。それどころかミズナラだかコナラだか分からないが落葉樹には熊棚があちこちに見られるではないか。1頭の熊が作ったのか別々の熊が作ったのか分からないがたくさんあり、熊の生活色が濃い場所だった。丹波山村なら熊がいて当然だと思うが、これほどまで熊棚が多いとは想定外だった。ただ、雪の上には熊の足跡は皆無でまだ冬眠中らしい。

1148m峰付近がラッセルが一番きつかった 1148m峰を越えると足跡出現

 

 1148m峰に近づくと傾斜が緩やかになり雪が深くなって臑まで踏み抜く雪が続いて先週の悪夢が頭をよぎる。できるだけ日当たりがよい南側を歩いて雪が締まるのを期待したが、全体的に傾斜が緩いのでどこもボコボコに踏み抜いて状況に変化がなかった。今回のルートの中でここが一番きつい区間だった。やっとピークを越えて下りにかかると雪が減ってスムーズに歩けるようになって大助かりだ。

 鞍部になるとどこからか降って湧いたように突然人間の足跡が現れた。最初は熊の足跡かと思ったが靴底のパターンがくっきりと残っているものもあったので確実に人間のものだ。しかしどこからやってきたのだろうか。一面の雪に覆われた北斜面には足跡が無いので雪が消えた南斜面を登ってきたとしか思えない。貝沢川沿いの破線から登ってきたのだろうか。どこからやってきたのかは不明でも、この足跡のおかげでこの先のラッセルは格段に楽になった。

もうすぐ山頂 芦沢山山頂

 

 最後の登りも足跡を辿って登り切ると行政で立てたと思われる立派な山頂標識が立った芦沢山山頂に到着した。足跡の主はまだ先に行っており、西へとトレールが続いていた。いったいどこまで行ったのだろうか。ワカンも付けずに単独でこの雪の中を歩くとは、かなりの体力の持ち主に違いない。それともこの先は下りだけで鞍部から貝沢川に下ったのだろうか。このままサカリ山まで歩いたとしたら凄いぞ。山頂は樹林に覆われて展望はなく、いかにもマイナーな山と言った風情だった。

 下山も同じルート。今度は雪があるところは全部自分の足跡があるし、ほとんど下りなので登りでのラッセルの苦労が嘘のように簡単に下ることができた。稜線から遊歩道への下りだけアイゼンを装着、今度は足下の不安定さも解消して簡単に下ることができた。

 今回も丹波山村の温泉に入ってから東京に戻った。


所要時間
7:29駐車場−(0:05)−7:36遊歩道−(0:29)−8:05東尾根−(0:24)−8:29休憩8:38−(0:49)−9:27 1148m峰−(0:30)−9:57芦沢山10:17−(0:19)−10:36 1148m峰−(0:37)−11:13遊歩道−(0:05)−11:18駐車場

 

 

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