富士寄生火山 塒塚、白塚、檜塚 2007年11月24日
富士寄生火山の山梨側は山名事典のみ記載の山を除いて登り終わったと思うが、静岡側はまだ残っている。自衛隊演習地内は別として他は登り尽くしたいところだが、その中で一番面倒なのは西側のピーク群だろう。なにせ車道から離れているので歩く距離が長いのが難点だ。そばを林道が通ってはいるが、今時は不法投棄防止でゲートが閉まっているのが当たり前だし、そもそも地図に出ている道でも廃林道化している例も経験済みで、使えないと思った方がいい。一番遠いのが塒塚(とやつか)で、下から登っても北山林道起点から歩いても遠い。今回は白塚、檜塚と合わせて登る都合で北山林道起点から歩いたが、塒塚のみなら下から歩いた方がよかったかもしれない。
前日の大烏山、小烏山周遊から下山して旧牧丘の温泉に入って塩山で買い物をしてから富士宮目指して南下、五合目に行く道は大きく左右にウネウネしながら登っていくが最後は右カーブしてまっすぐになるが、そのカーブが目的の北山林道起点である。最初はここに車を置いたのだが走り屋のUターン場所と化しており騒音で安眠できなかったので少し先まで登って路肩のスペースで寝た。
北山林道入口ゲート。常時施錠されている | 最初は舗装道路 |
翌朝、ゲート前に移動、もちろんゲートの出入りを邪魔しない位置に車を置いて歩き出す。施錠された頑丈なゲートで脇からバイクも入れないよう柵や岩が置かれていた。最初は舗装された道で、こんなのを延々と歩かされるのは足にも優しくないなぁと思っていたらすぐにダートになるが、普通車でも問題なく走れるくらいの良好な路面状態だ。先で治山工事か林業作業をやっているようで、最近頻繁に車が入っている雰囲気だ。周囲は主に檜や唐松、シラビソの植林だが、たまに小規模な落葉広葉樹林が広がると何となくうれしくなる。この時期はこんな場所は日が当たって暖かい。
途中のススキの原から富士山が見えた | 安倍山地も見えた |
北山林道、白塚林道交差点 | ご丁寧に標識があった |
最初に塒塚まで歩く予定だったので、とにかく歩く距離は長い。地図で調べたら直線でも6km強あったので、カーブがあるので8kmくらいはあるのではないだろうか。ひたすら歩くだけである。こういう単調な行動には携帯音楽プレーヤが役立つ。時々視界が開けて富士山が見えたり南ア南部が見えたりするが、空気の透明度がイマイチでいい写真にならない。やたらと鹿が多く何頭も林道を横切るのを見た。白塚林道との交差点は地形図の通り変形十字路でわかりやすく案内標識まで出ていた。ここを直進してひたすら歩くと大沢手前で土石流監視用施設があり、電柱はここで終わっていた。大沢には複数の監視カメラが向けられているが、今は全く水もなく乾燥しきっている。
大沢崩れ手前の土石流監視施設 |
大沢崩れ(下流方向) |
大沢崩れから見た富士山 | 1つ下流の堰堤の向こうに廃林道が続く |
大沢崩れから見た南ア |
エアリアマップによると林道は大沢を渡って向こう側に続いているはずなのだが、なんと大沢で道路は終わって両側は高さ数mの護岸で固められ、車の通行はおろか人間の通行も不可能だった。おいおい、これじゃエアリアマップの情報とはまるで違うではないか。文句を言ってもしょうがなく、まずは対岸に渡るのが先だ。もしかしたらもっと下で林道が横断しているかもしれないと下流に下っていくが、地図に書かれた標高より下がっても林道などまるで見えない。しょうがないので適当に渡りやすいところで沢に下って対岸に出た。対岸で林道の続きがないかと探すことにして気を付けながら進むと、林道終点の堰堤の一つ下の堰堤から廃林道が続いていた。よかったぁ。周囲は笹藪なので林道が無ければいきなり藪漕ぎだった。
対岸で廃林道発見 | 廃林道はまだ藪に覆われていない |
塒塚南斜面は一面の笹藪 | 塒塚西尾根北斜面には笹がない |
廃林道でも林道上は笹がないので歩きやすくて大助かりで、獣道もできていた。そのまま林道を進むが斜面の笹が切れる気配がなく、この濃さの笹では登るのは大変だ。しかし、富士山西側の寄生火山を登ってきた経験では、南斜面は一面の笹でも北斜面は笹が無く歩きやすい場合が非常に多いことを思い出した。距離は遠くなるが、林道を先まで歩いて回り込んで北側から登れば藪がない可能性はある。GPSの残距離が徐々に増え出すが気にせず進み、西に張り出した尾根に出ると期待通り笹が薄くなって北斜面は落ち葉で埋め尽くされた歩きやすい地形が広がっていた。よかったぁ。
斜面下のほうだけ目印があった | 明瞭な鹿道がある |
山頂付近で少しだけ笹に突入 | 塒塚山頂は樹林+笹原 |
鹿道があるが藪がないのでどこでも適当に歩けるので好きなように歩いて標高を上げる。尾根上に笹が出てくると北側を巻き気味にコースを変更、再び笹が消失して歩きやすくなる。鹿道もそのように付けられており、鹿でも笹藪を嫌うようだ。そろそろ山頂が接近してきたので笹の中に入って最高点を目指すが、上越国境と比較すれば屁でもないし、先日の黒覆山よりもずっと楽な密度であり、隙間を探してどんどん進む。山頂付近はのっぺりしていて顕著な山頂はなく、GPSの示す場所を山頂として休憩した。残念ながら笹藪と樹林で展望は皆無だった。途中に空き缶が落ちていたが、目印も山頂標識も皆無だった。
白塚林道に入る | 白塚取付は笹はほぼ無い |
気持ちのいい落ち葉の斜面を登る | 白塚山頂 |
再び長い林道歩きの始まりで、今度は白塚林道に入る。既に10km以上は歩いて、大した休憩を取っていないので足取りは軽くはなく、少しでも登りになるとペースダウンだ。地図を見ると白塚は林道を少し下ってから登り返して林道と同じような高さなので、樹林が続く林道から見えるかどうか心配だったのでGPSの電源を入れておいたが、接近すると林道から山頂の盛り上がりがはっきりと確認できてGPSの画面を見ることはなく、林道から離れて斜面にとりついた。笹はなく落葉樹林の気持ちいい斜面で、ジグザグを切りながら標高を上げる。林道から近いのですぐに山頂に到着、ここにも目印や山頂標識は無かった。東半分は落葉樹林、西半分はシラビソや檜樹林でここも展望は悪かった。
休憩後、南東の尾根らしき高まりを進んだが、なんとここは尾根ではなく白塚の火口壁上だった。白塚には顕著な火口の窪みが存在し、その周囲を火口壁が取り囲んでいた。その最高点が山頂だったのだ。これだけ顕著な火口は寄生火山でも丸山くらいではないだろうか。何か得した気分だった。
檜塚が見えてきた | 最初は溶岩地帯で笹はない |
山頂への登りは枯れた薄い笹 | 檜塚山頂。枯れた笹が広がる |
再び林道を直進、次の檜塚はさほど遠くはない。今度も楽勝かと思ったら笹が登場し、両側とも強固な藪と化してしまった。まあ、富士山麓では笹がある場所と無い場所が入り交じっていて、少し進むと急に笹が消えることも良くあることなので、檜塚周辺は笹がないかも知れないが。GPSを見ながら残り200mくらいになると右手に僅かな高まりが見えてきた。白塚より山らしくない山だがあれに間違いないだろう。ちょうどここで林道が終わって人間が歩ける程度の幅の歩道が続いているだけだった。幸い、周囲は笹が切れて樹海のように溶岩上に針葉樹林が発達しているのでどこでも勝手に歩くことができる。苔むした溶岩や倒木の間を進んで最後に枯れた薄い笹の生えた斜面を登ると檜塚山頂だった。ここは唐松植林帯で、薄い枯れた笹がここにも続いているが薄いので大した問題ではない。ここも目印、標識、ゴミ無し、しかし展望も無しだった。
下山だが、常識的には白塚林道を戻って北山林道を下るわけだが、藪山派ならそんな無駄なことはせずに林道起点まで直接下ってしまおうと考えるだろう。笹藪が登場しない限りは楽勝で歩けるだろうし、下りなので笹藪突破も難しくはない。ただ、富士山すそ野は顕著な尾根は無くどこも同じような地形が続くため地形による読図はほぼ不可能、方向を決めて磁石を見ながら一直線に進むしかない。もしくはGPSを使うわけだが、駐車場所の緯度経度は入れていないので今回は使えない。結局は太陽の位置から方位を確認して南西に進むことにした。ここなら多少進路がぶれても最終的には北山林道に出るか県道に出るのであまり細かいことを気にする必要はない。
檜塚南西直下は伐採現場だった | 林道に出てしばらく歩く |
林道が巻き始めたら直線的に下る。藪無し | 最後は廃林道から北山林道へ |
檜塚を下り始めると、いきなり伐採現場に出てしまい幻滅だ。こんな足下で重機が動いているとは・・・。土曜日なのでお休みらしく今は動いていないが。伐採地を突っ切って植林帯を通過すると目の前に尾根が横切っており、その手前に林道が下っていた。尾根をわざわざ登って横切るのは無駄なので林道歩きに切り替える。林道の方向が怪しくなったら歩きやすい場所で再び南西を目指せばいいだろう。この林道はいい方向に下ってくれてしばらく利用、やがて右に曲がって等高線に沿って北に向かいだしたところで斜面を下ることに。主に下草のない植林帯をつっきり、多数の鹿道が縦横無尽に走っていた。一つ林道を横断してなおも斜面を下りやがてススキの原に出たが、これは藪漕ぎと同じなので左に逃げて植林帯との境界を歩き、小さな沢を下っていくと廃林道に出て北山林道に出ることができた。そこからちょっと歩いてゲート到着、帰りはほとんど林道歩きをしなくて済んだ。
所要時間
6:47ゲート−(1:12)−7:59白塚林道交差点−(0:45)−8:44大沢崩れ(対岸の林道を探す)8:54−(0:18)−9:12塒塚西尾根−(0:18)−9:30塒塚9:47−(0:10)−9:57廃林道−(0:18)−10:15大沢崩れ−(0:42)−10:57白塚林道交差点−(0:20)−11:17白塚取り付き−(0:06)−11:23白塚11:41−(0:05)−11:46林道−(0:18)−12:04檜塚取り付き(林道終点)−(0:05)−12:09檜塚12:18−(0:06)−12:24林道−(0:07)−12:31林道を外れて下る−(0:09)−12:40林道を横断−(0:08)−12:48北山林道−(0:04)−12:52ゲート