伊那山脈 鬼面山、氏乗山 2007年11月04日
笠松山下山後、旧南信濃村の「かぐらの湯」で温泉につかり、近くのスーパーで買い物をして地蔵峠に向かう。翌日はここから鬼面山と氏乗山に登る予定だ。地蔵峠は何度も通過しているが、鬼面山に登る人の車だろうか、週末はいつも車が止まっていた。そんなわけで山頂までまともな道があるだろうと予想してルート調査はせず、地図のみ準備した。2日目の山とはいえ鬼面山だけでは物足りず、稜線を南下したところにある氏乗山も付け加えることにした。鬼面山からの水平距離は約3km、ちょっとアップダウンはあるが大幅な労力増加とまではいえない程度だろう。鬼面山よりも道は悪くなるだろうが、主稜線なので少なくとも獣道は期待できるし、この地域でこの標高なら広葉落葉樹林で藪も無く、自由気ままに歩けるに違いない。
地蔵峠 | 地蔵峠東の駐車スペース |
地蔵峠は駐車スペースが1箇所だけで2台がやっとの広さだが、道路が広いので路肩に駐車しても迷惑にならない。簡単な日帰りの山なので夕方から駐車している車は無く、唯一の駐車スペースに車を突っ込めた。夜の早い時間は数台の車が通過したが夜中から早朝は全く通行はなかった。朝は冷え込むかと思ったらそうでもなく、車に露は降りたが霜にはならなかった。お湯を沸かして朝飯を食べて出発する。
登山口標識は無いが手書き文字がある | 地蔵峠から見た鬼面山 |
地蔵峠から明瞭な踏跡が上がっているので鬼面山への道に間違いないと思うが、標識が無いので知らない人は不安を覚えるだろう。大鹿村の標識に手書きで「鬼面山登山口」と書き込まれているのを帰りに発見したが、登りでは気づかなかった。エアリアマップで赤実線クラスの道で多くの人が訪れているのがわかる。この標高で紅葉がちょうど良く、ブナの黄色が目立つ。早朝の気温は0度近くで、僅かな北風が冷たい。もう日の出の時刻を過ぎているが、東側はシラビソ高原から前茶臼山の2000m台の稜線が広がっているので太陽はまだ出てこないから、体感温度は気温そのままだ。昨日の疲労が残り足が重く、進行速度が遅いので体の発熱がイマイチで、Tシャツに腕カバーではちと寒い。
非常にいい道が続く | 周囲の笹は全て枯れている |
1585m峰「貴ノ峰」 | なおも登る |
この尾根は小さなアップダウンを繰り返しながらも急激に高度を上げていく。高度が上がると枯れた笹が目立つようになるが、ここも南ア北部山梨側のように数年前に笹の花が咲いたようだ。まあ、尾根上の道はしっかりしているので、たとえ笹が枯れていなくても支障は無いだろうけど。2,3箇所樹林が切れて展望が開ける場所があり、背後の前茶臼山から奥茶臼山、それに僅かに白い仙丈ケ岳が見えたり、これから登る鬼面山から南の稜線が見えたが、同じような高さの稜線なので、どれが鬼面山でどれが氏乗山なのか分からなかった。斜面の紅葉はいい感じであった。1585m峰では「貴ノ峰」の標識があった。
紅葉 | シラビソ樹林に変わる |
もうすぐ鬼面山 | 鬼面山山頂 |
鬼面山から見た氏乗山 | 鬼面山から見た荒川岳 |
鬼面山から見た南ア深南部 | |
鬼面山から見た前茶臼山〜尾高山 | |
鬼面山から見た大日影山〜小日影山 | |
鬼面山から見た北アルプス | |
鬼面山から見た恵那山〜仙丈ヶ岳(クリックで拡大) |
なおも登り続け傾斜が緩むと進路は左に変わり、なだらかに移動すると不意に視界が開けて鬼面山山頂に到着した。標高から考えて樹林で何も見えないと予想していたが、山頂付近のみ伐採したようで南から西側が開け、展望台まで設置してあった。展望台に登ると僅かに樹林に邪魔された東側を除いて大展望が広がる。西側は伊那谷を挟んで中央アルプスがずらりと並んでいる。千畳敷はもう雪が消えて白くなくなっているが、袴腰山の向こうには白い木曽御嶽の頭が見えていた。また、宮田高原の肩越しに槍穂が僅かに頭を見せている。その右には表銀座の赤岩岳と大天井岳。常念岳の頭も微かに見えていた。南ア側に目を移すと前茶臼から奥茶臼が近くてでかく、南ア主脈の大部分が隠されてしまうが、少し雪化粧した荒川岳、赤石岳と、雪のない大沢岳〜聖岳もかろうじて姿を見せていた。光岳以西になるとやっと手前の山の陰から抜け出してすっきりと見えるようになり、深南部は黒沢山までが見えていた。伊那山脈は延々と南に続くが、氏乗山は少し離れたところに見えているピークだろう。GPSでは約3kmの距離であった。
氏乗山へと下り始めるが踏跡が続く | 鬼面山近くは整備された形跡有 |
1850m峰「鍋割ノ頭」 | 昭和44年(約40年前)にMWVが付けた標識 |
尾根が痩せると露岩出現 | その後は枯れた笹のなだらかな稜線が続く |
さあ、まだ時間はたっぷりあるので氏乗山を往復しよう。往復6kmはたっぷり3時間はかかりそうだ。いきなり藪っぽい尾根が始まるかと思いきや、明瞭な踏跡が続いており、自分で目印を付ける必要は無さそうだ。尾根上はシラビソが主流で日当たりも展望もイマイチなのが残念だ。2つ目のピーク(1850m峰)には「鍋割ノ頭」と書かれた標識がかかっていた。その先で露岩も現れてちょっと変化を楽しめたが、それから先は枯れた笹と樹林のなだらかな稜線が続き、特徴がないのでどこを歩いているのかよくわからない。まあ、顕著な尾根なので外す心配はないが。途中、M大ワンゲルの山頂標識でない標識があり、昭和44年という40年近く前のものだった。標識には「至喬木大島→」と書かれており、彼らはここから下ったのだろう。
まだまだ稜線は続く | この辺は笹が薄い |
氏乗山山頂 | 氏乗山のMWV標識 |
枯れた笹がやや濃くなって鬱陶しく思えるようになると氏乗山は間近で、緩やかに登り切ってなおも水平移動したところで小広い場所に出て三角点が頭を出し、山頂標識がいくつか設置されていた。笠松山にあったのと同じ形式の物もあるし、懐かしのMWV標識もあったし、念丈倶楽部の標識もあったし、「喬木村 国土調査」と裏面に書かれた標識もあって賑やかだった。これだけ大きな稜線の2番目に高い山なので、マイナーであっても地元で登る人は多いのかもしれない。地面に落ちた標識には「←上村 喬木村→」の文字も見られ、西に延びる尾根には薄い踏跡が続いていたが、おそらく鬼ヶ城山から続いているのだろう。樹林に覆われて山頂の展望が全くないのは残念だが、この標高だからしかたない。三角点の上にシートを敷いてしばし休憩した。
「鍋割ノ頭」はまだ遠い | 鬼面山は近い |
さて戻ろう。鬼面山も氏乗山もほぼ同じ標高だから、行きも帰りも同程度の労力、時間がかかる。樹林の隙間から僅かに見えるピークは1850m峰(鍋割ノ峰)と思われるが遠く、鬼面山はその裏に隠れて見えない。なだらかな稜線を歩き、いくつかピークを越えてやっと鬼面山が見えるところまで来ると、山頂の展望台に登っている人の姿が見えるくらい近くまで来ていた。鬼面山山頂はお昼だというのに豊田から来た夫婦がいるだけで静かなままだった。朝と違って南ア方面の逆光はなくなり写真撮影しておく。まだ槍穂も見えていた。
尾根途中から見た南ア北部 |
ここから先はほぼ下り一辺倒なので楽になる。山頂を出発してすぐに数人パーティーが登ってきて賑やかになったが、本日のお客はこれで全員らしく、予想よりも登る人は少ないような。樹林が切れた場所で二児山方面の写真を撮影、地蔵峠に到着した。止まっている車は2台だけで、1台は豊田の夫婦の車だから、山頂直下で出会ったパーティーの車が見あたらない。もしかしたら帰りは地蔵峠でなく喬木村の方へ下るのだろうか。マイカーだとそういうことができないのが難点だ。
高遠で温泉に入り、茅野から甲州街道を南下、先週の経験を生かして一般道の渋滞が酷い韮崎〜大月間は中央道でパスし、しかも通勤割引で半額の時間帯だ。大月から先は小仏トンネルまで40km近い渋滞で通過に2時間以上(たぶん3時間コース)かかるので大月で降りて裏道で相模湖ICまで1時間走り、相模湖ICからは渋滞通過に15分だった。日曜夕方の中央道渋滞はいつもながら酷かった。
所要時間
6:15地蔵峠−(0:42)−6:57貴ノ峰(1585m峰)−(0:56)−7:53鬼面山8:11−(0:17)−8:28鍋割ノ頭(1850m峰)−(0:56)−9:24氏乗山9:46−(0:59)−10:45鍋割ノ頭−(0:19)−11:04鬼面山11:49−(0:32)−12:21貴ノ峰−(0:21)−12:42地蔵峠