甲府盆地西部 旭山 2007年01月14日
鳳凰三山前衛の甘利山のそのまた前衛の山として甲府盆地に延びた尾根上に旭山がある。地形図では付近を破線がいくつか走っており、一番楽なのは甘利山へ行く車道で、旭山へ伸びる尾根を乗り越える場所から歩くルートだろう。ただ、今の時期は路面凍結でどこまで車で入れるか分からないと考えていたら、なんとこの道路は冬季通行止めだった。どこでゲートが出てくるのか分からないが、一番奥の人家からさほど遠くないところにあるだろうな。ゲートから車道を歩くか、それとも適当な尾根を登るかは現地に行って考えよう。帰ってからネットで検索をかけたが登山記録はヒットしなかったので、八町山と同様に登られそうで登られない山らしい。
冬季通行止めのゲート。温度表示付き | ゲート左側の林道 |
交差点名が「甘利山入口」と非常に分かりやすいところで曲がり、高度を上げていく。この辺はまだ国道52号線からさほど離れていない山の麓なので残雪は少なく道路上に雪は無い。上水道施設が左手に出てくるともうゲートで、ロードマップでは標高700mくらいにあることになっていたが実際は標高500mで出てきた。ゲート手前に駐車余地が何箇所かあるので車を突っ込む。このまま車道を歩くにはちと距離が長いので左手の尾根を登ったほうがいいかもしれない。夕方になってバイクがゲート脇の林道から下りてきたので、明日はその林道を登って様子を見ながら尾根にとりつくか。地形図ではもっと南側に破線が描かれているが、尾根末端は小さく複雑に分岐して取り付きは読図できそうにないのでどうせ分からないなら最初から適当でいいだろう。登って行けばどこかで破線がある尾根に合流するはずである。
ゲート上部には気温表示があり、到着したときの気温は+5度で、夜中から朝に最も下がって-3度だった。このくらいならむちゃくちゃ寒いほどではない。
林道を上がる | 左手の尾根に取り付く |
朝飯を食って7時前に出発。林道の雪には昨日のバイクのタイア痕の他に人の足跡も残っており、数日前に歩いた人がいるらしい。いったいどこまで行ったのだろうか。グングン高度を上げるかと思いきや舗装道路のちょっと上を併走するだけで尾根に上がる気配が無く、松が多く伐採された斜面で林道を外れて目の前の小尾根に取り付くことにした。伐採で上空が開けているのでここだけ雪が深く足首程度まで潜るので出発時につけたスパッツが役立った。伐採して放置されたままの邪魔な丸太を避けながら歩きやすい場所を選んで進むと雪の上に足跡があるではないか。さっきの林道の足跡の主だろうか、こんな道があるわけでも無い斜面を登るとはいったい何が目的だろう?
尾根に出る | 踏跡があった |
この尾根は藪は皆無 | 足跡が続く |
地形図で破線がある尾根に合流 | こんな標識も |
尾根に乗ると同じく松が伐採された地帯で、西に向かって尾根を上がると地形がだんだんはっきりしてくる。尾根右側に踏跡があるが作業道だろうか、まさか登山道ではないだろう。徐々に雪が増えてきて地面が隠されてしまい、踏み跡が続いているのかは何とも判別しがたいが、先人の足跡はクッキリと残っている。左手からは地形図の破線が描かれている尾根が上がってきたが合流はまだ先のようだが、こっちの尾根は藪は無いので道があろうと無かろうと進むのに問題ないが。その尾根との合流点付近はなだらかで、下りで今歩いてきた尾根に正確に入るのは難しいため目印を何個か残した。この付近はまだ標高はさほどでなく落葉樹の自然林で日当たりがいいようで雪は無いのだ。たまに残る雪の上にはまだ足跡が残っており、まさかこの人は旭山山頂へわざわざ登りに行った人なのだろうか? たまに目印のテープが見られ、2箇所ほど四角い金属プレートに「下山路」と書かれた標識があった。こんなプレートがあるくらいだから登山道があるようにも思えるが、雪が溶けた場所でも道筋は見えずに一面の落ち葉だけだった。それとも廃道化してしまったのだろうか。何となく道があるような区間もあれば無い区間もあった。
まだ足跡が続く | もうすぐピーク |
樹林の隙間から見た八ヶ岳 |
足跡はずっと続いており正確に尾根を上がっている。ここまできたら旭山山頂へ登ったとしか考えられないが、私とまるきり同じルートを選ぶとはいったいどんな人物だろうか? 970m地点で傾斜が緩やかになり尾根は左に曲がるので帰りに注意が必要だが、この高さまで来るとコンスタントに足首の深さの雪が続くので下山時に尾根を外すこともなさそうだ。地形図ではこの尾根を乗り越えて反対側をトラバースするような破線が描かれているが、現場を通った限りではそんな道は無さそうだった。
林道方面から上がってくる道 | 1030mピークを越え山頂に向かう |
1030mピーク付近になると植林帯に変わり、進路が再び左になる。右手からは甘利山へ至る林道が乗り越える尾根が合流、雪に埋もれているので踏跡が顕著かどうかはわからないが太い道が上がっていた。しかしその道もこのピークまでで、旭山山頂へつながる尾根上には道らしき凹みは見られないし、今までずっと付いていた足跡もここまで。先人はここを山頂と誤認したのであろうか、それとも地元の人が散歩がてらに元々ここまでと決めて歩いてきたのだろうか。足跡が消えるとクラスとした雪を足首のラッセルで疲れ、今までの足跡のありがたさが身にしみた。
旭山山頂 | 山頂標識 |
たかが足首の深さでも一歩一歩ズボっと踏み抜く雪に辟易しながら、全く踏み跡がない緩やかな尾根を歩いて僅かに上る。稜線上は大した藪ではないが、刺付きの低い木が混じっていて厚手の手袋で枝を避けながら歩いた。落葉樹林で日当たりがいい場所にはこんな木も生えてくるのだろう。登りきったところが旭山山頂で、手製の標識があった。地元では苗敷山とも呼ぶらしい周囲は樹林で視界、日当たりはなく、気温は−5度で足の指が冷えて痛かった(下界に戻ったら霜焼けができていた)。
帰りは雪の上に残った足跡を追って同じルートを戻った。
所要時間
ゲート−1:32−旭山−0:42−ゲート