安倍山系?末端 大野山 2007年01月01日

 


 身延の街中で国道52号線が西に直角に曲がる場所があり、そのすぐ南に大野山という小さな山がある。大野山は身延山とは尾根続きではなく、昨日登った御殿山から伸びた尾根の末端にあるので、安倍山系と呼べないわけではないが、そう呼んでいいかは相当違和感があるところだ。里山というか人家の裏山の部類だから一般ハイカーが登るような山ではないが、麓から標高差200m強なので簡単に登れるだろう。昨日までの経験からすれば、この山も全面が植林帯ではなかろうか。ほとんど藪があるとは思えなかった。どこから登るか考えたが、地図を見ると山頂南西側を車道が乗り越える峠があるので、もしゲート等が無ければ車で峠まで入って水平移動で山頂に至るのが一番楽なコースだろう。

 御殿山から下山後、身延の初詣で渋滞が予想される国道を通らずに富士川沿いの県道を北上、前回この道を走ったときに林道入口と思われるコンクリート舗装の細い車道が上がっている場所は確認済みなのでそこに車を突っ込んだ。入口を見たときにとんでもなく急で細い道だと感じたが、入ってみると本当にとんでもない道であることがわかった。これは一般車が入る道ではなく、農作業の軽トラックが走るためのようなもので、対向車を避けるスペースはほとんど無いし、1速に落とさないと登れないような傾斜が続き、カーブの半径もとても小さくて軽自動車でないと曲がることは不可能だ。それもカーブの傾斜も強烈で、内側後輪が浮き気味になるため後輪駆動車だと左側のタイアだけで駆動するようなものだからタイアが空転するのだ。途中で戻るにも道幅が狭すぎて戻れない道で、ひやひやもので北清子集落にたどり着いた。私が走った車道では、近年まれに見るとんでもない道だった。

 この先もこんな道が続いたのでは運転していて生きた心地がしないので、集落の近くに車を置いて歩くことにした。幸い、南から上がってくる車道はそこそこ立派で安心して走れる状況だったので、集落から少し離れた場所で路肩が広がった場所に車を置いた。小さなザックで歩き出し、集落で左に曲がって少しの間は細くてこの先大丈夫かと思わせる道だったが、集落を抜けるとまともな道幅のアスファルト舗装になり、これなら車で入った方がよかったと後悔したが、さほどの距離ではないのでこのまま歩くことにした。なだらかに登って到着した峠には車を置ける余地もあり、次に来る人は利用するのがよかろう。

林道の峠 ここから尾根上の踏跡を歩く
明瞭な踏跡があった  小ピークの向こうは少しだけ竹林
送電線が乗り越える その向こうの尾根は踏跡が消える
尾根が細くなると左手は自然林 大野山最高標高点
最高点の東側のカヤト カヤトの中に三角点があった

 

 尾根入口には当然のように案内標識など無いが、尾根上には作業道と思われる踏跡が植林の中に続いており、予想通り藪漕ぎの心配は無いようだ。なだらかなピークを超えると僅かな間だけ竹林に変わり、再び植林帯になったと思ったら、今度は送電線のお出ましだ。確かに地図を見ると送電線が通っていた。ただ、巡視路は今歩いてきた尾根ではなく送電線に沿って付けられているようだ。再び植林帯に入ると踏跡ははっきりしなくなるが、とにかく尾根を外さないよう歩けば問題ない。相変わらず杉の植林帯が続くが、尾根が狭まると自然林が残っているところもあった。しかし再び杉の樹林に戻るとそのまま続き、最後の登りが終わってピークに立っても樹林の中だった。間違いなく最高点だと思うが三角点が無いので、東側に広がっている樹林が開けたカヤトの藪に突っ込んで探してみると、その真ん中が丸く刈り払われ中心に4等三角点があった。たぶん本当の山頂より1mくらい標高が低いと思われるが、このくらいの差では等高線に現れないのは仕方ない。頭上は開けて空が広がっているが、周囲はぐるりと杉の樹林が壁となって展望は得られなかった。

杉に引っかかった鹿の角

 下山(といっても水平移動だが)は同じコースを戻ったが、踏跡がないところは微妙に行きと異なる場所を通ることになり、それが幸いして思わぬ拾い物ができた。元旦早々杉の枝に引っかかった鹿の角を発見したのだ! 鹿の角は地面に落ちているものだとばかり思っていたが、どういうわけか枝にぶら下がっていた。鹿が歩いているときに枝に引っかかって抜けたものなのか、それとも誰か拾って枝に引っかけたのだろうか。枝にぶら下がっていても目立たないことは同じで、今回は目の前に出てきたので気づくことができたが、僅かでも横にずれていたらおそらく角とは判別できなかっただろう。そういえば北清子集落の畑の周囲には食害防止の電気柵がめぐらせてあったので、こんな里に近い杉林だらけの山でも鹿がたくさんいるらしい。それにしてもこんな低山で、しかも杉の植林帯で鹿の角を拾うとは夢にも思わなかった。元日からラッキーというほかない。それとも元日で1年の幸運を使い切ってしまったのだろうか。

 ザックに角を突っ込んで歩き、舗装された林道をテクテク歩いて車に戻った。


所要時間
車−0:14−峠−0:19−大野山−0:18−林道−0:14−車

 

 

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