安倍山系 御殿山 2007年01月01日

 


 御殿山は山梨県南部の身延町/南部町境界に位置し、地形図では峰集落から破線が伸びているので登山道が存在するものと思っていたので気楽に考えていた。事前にネットで調べることもしなかったが、帰ってから調べてみたら他の御殿山の記事はあったがこっちの御殿山の登山記録は発見できなかったから、実際にはほとんど登られることがない山らしい。

 白水山から下山して車を走らせ峰集落へ向かう。ここも手持ちの地形図範囲から外れた場所なので地図無しで登らなければならず、登山口を探すのもノートパソコンを起動してカシミールの5万図で見るしかできない。せっかくなので破線起点の緯度経度を調べてGPSに入力し、それらしき場所を探すと人しか通れない細いコンクリート舗装の道であり、適当に車を置いて歩くしかなさそうだ。ただ、上方には何軒か人家が見えており、そこまで車道があるはずだが、このような山間地の集落では車を置けるスペースがあるとは限らず、置き場所を探してうろつくよりもこの辺で車を止めて歩いてしまったほうが手っ取り早いだろうと判断し、少し人家から離れた路上に車を置いて歩き始めた。ちょうどお婆さんが歩いてきたので御殿山の登山道を聞くと知らないとのことで、地元の人でも以前からあまり登られていないようだ。

峰集落から見た御殿山 このコンクリート道から歩き始める
車道終点。この奥右側の山道に上がる まともな山道で一安心
電柱沿いに上がっていく 尾根に乗り移る分岐。赤テープを巻いてきた

 

 コンクリート舗装の道を登ると車道に出て、まっすぐ登ると車道終点であった。路側に車を止められないことはないが、人家の前なので気が引ける場所であり下に置いてきて正解だった。ここが破線上のどこかなのか分からないが、適当な尾根に取り付いて上を目指せばいつか山頂に到着するはずなので深く考えなくてもいいだろう。車道終点からは竹林の中に踏跡が続いており、目の前の尾根に登りそうなのは右手に登って行く道だろうと予想して右に進むとかなり太い道が尾根を右に巻きながら登っている。これなら正解っぽい道でグングン進むと電信柱まで出てきて、まさか山頂に何か立っているのだろうか。やがて今巻いている尾根に乗り移るような踏跡が左に分岐するが、どう見てもまっすぐの道のほうが踏跡が濃いのでそのまま直進した。他にも作業道らしき細い踏跡が分岐する箇所があったが太い道を道なりに進んだ。

たぶん上水道施設 山道終点の砂防ダム。水源らしい
上水道施設裏手の斜面を登る 左の植林帯に入る
トラバースしながら上がる獣道を辿る 尾根に出ると道があった

 

 やがてなにやら小さな建物が出てきて電線はここで終っていた。どうも上水道関係の施設らしいが個人の自宅に設置する屋外物置そのもので、いったい何が収まっているのか不思議である。もしかしたらこれで道が終ってしまうのかと思ったらまだ続いていたが、すぐ近くの砂防ダムで今度こそ終点だった。どうもこれが水源らしく、黒いパイプが伸びている。今までの道はこれら水源施設の点検用作業道らしい。こうなれば適当に斜面を登って適当な尾根に取り付いて登るしかなく、先に道が分岐した左手の尾根目指して登ることにした。最初はシダが茂った藪っぽい開けた尾根だったがすぐに植林帯に入り下草がさっぱり無くなり、小さな谷をなんとなくあるような無いような獣道をまっすぐ上がって行くと左を巻くようにもっとはっきりした獣道に出た。このまま辿って尾根を目指すことにして歩いて行くと、大して歩かないうちに尾根に出て、大きく凹んだ参道のような山道に出た。最近人が歩いた形跡は無く半分廃道と思われるが、以前は良く使われた道のようでとりあえず安心して歩けそうだ。

ほじくれた道だが最近歩かれていない こういう道はかなりまともな部分
標高600m微小ピーク 尾根が消えて斜面を登る

 

 目論見どおりこの道は尾根上をずっと通っており、暗い植林帯を効率よく登って行く。案内標識や目印は全く無いが、これだけはっきりした道ならば地形がなだらかになっても外す心配はないので自分で目印をつける必要は無いので助かる。標高600mくらいに微小ピークがあり、ここだけ自然樹林で明るくなり、その先の鞍部は尾根が細くなって踏跡がはっきりする。しかしここを過ぎて620mを超えて尾根が消失すると同時に踏跡は消えてしまい、かなり急な登りが始まる。ここは下りの要注意箇所なので目印をつけながら上がって行く。植林帯で日当たりが無いせいか下草、藪は皆無で、縦横無尽に付いている獣道の中からジグザグに斜面を登る道を適当につないで歩いた。やがて斜度が緩やかになると尾根が右に曲がり、これまた深い杉の植林帯だった。花粉症の私にとっては花粉の季節には絶対に歩きたくない植生だが、まだこの山はしっかりと整備されて木の上のほうしか葉が付いていないので、たぶん花粉が付く量は相当少ないと思う。放置されて枝打ちされないで下の方も枝を伸ばしている杉の南側がたくさん花芽をつけて花粉を飛ばすんだなぁ、これが。

主稜線に乗る。やっぱり植林帯 御殿山山頂。杉植林帯で視界無し

 

 目の前に東西につながる高まりが出てきたのでいよいよ山頂かと登ってみたが三角点がまだ出てこないので、同じような高さが続く主稜線を東に向けて歩いてみる。なお、主稜線にも踏跡は無かった。こういうときこそGPSの出番だが、この杉の濃さでは衛星捕捉は非常に難しいと思われるので無駄なあがきはしなかった。行き先もほとんど高さは変わらなかったが、予想通り三角点を発見した。もしかしたら標識があるかと思ったが手製の標識も無いし、目印類も一切なかった。里に近いのにここまで何も無い山も珍しいが、一般ハイカーにとってはわざわざ登る理由、価値が無い山だということだろう。杉の植林なので夏でも冬でも周囲は全く見えない。

 下山もほぼ同じルートで下り、顕著な踏跡にたどり着いてからはそのまま道を下ると、予想通りに登りで左に分岐する道に降り立った。せっかくだからとここに赤テープを巻いておいたが利用する人がいるであろうか。


所要時間
峰集落−0:07−車道終点(最上部の人家)−0:12−水道施設−0:06−尾根に出る−0:52−御殿山−0:36−車道終点(最上部の人家)−0:05−峰集落

 

 

2000m未満山行記録リストに戻る

 

ホームページトップに戻る