黒湯山は志賀高原の一角にあり、2000mを僅かに超える高さを誇る。道はなく、昨年、御飯岳に登った後に偵察したときには猛烈な笹藪で、距離は短いがうんざりするような藪漕ぎが待っていることが判明した。昨年5月に野反湖周辺の山に登ったときに武内さんと430でつながったが、それによるとすでに雪は消えてあの藪と格闘して山頂に達したものの、雷雨が襲来して笹藪の中で小さくなっていたそうだ。雨に濡れた笹藪なんて武内さんらしいが、一般ハイカーでは入り込む人はいないだろう。そんなわけで残雪期に行くのが無難な選択だろう。
前日は妙高周辺を歩いて体力を消耗したので、黒湯山でお茶を濁して体力充電に努めることにした。黒湯山直下の車道を走って残雪の状況を確認すると心配していたとおり、かなり融けてしまって雪田がちらほら残っているだけだった。うまくつなげて歩ければいいが、少なからず藪を漕がなければならなそうだ。
黒湯山東側で稜線と車道が合流するところで駐車余地があり、道から奥に引っ込んでいて寝るのに最適な場所だった。車をつっこんで酒を飲んで寝た。予報は曇りだったが夜でもうっすらと星が見えていた。明日も晴れの予報だった。
翌朝起きるとやはり星が見えているので大丈夫だ。飯を食って出発準備。山が小さいのでザックを持っていくのは馬鹿らしいので、アタックザックにピコ6、シートだけ入れてアイゼンは藪漕ぎに邪魔なので不要だろうと置いていくことにし、代わりにピッケルを持つ。一応スパッツで足元は固めておく。
GPSを見ながら車道を歩き、距離が減ってそこそこ雪が残っている山頂の南東斜面から登り始めた。意外にも古い足跡が残っており、誰か登ったやつがいるらしい。こんな山に登るのは山ランメンバー以外にいるのだろうか? 雪田は左に緩く曲がりながら徐々に細くなっていき、少し笹が出てくるようになったが漕ぐほどではない。新しい雪田に乗り換え登り続けるが、どうも南斜面に入ってしまったようで残雪がどんどん減っていき先は雪田が見えないので、右手に巻きながら東の県境稜線から攻めることにする。岩の根元を巻くと小さな谷を登って、今度はだだっ広い雪田に出た。これならどこでも歩ける。再び古い足跡が出てくる。考えることは同じらしい。一登りで山頂だった。
意外なことに山頂標識が2つあり、1つは群馬でよく見かけるGさんの物だった。裏を見ると落書きがあって「DJF 03.05.05」と書かれていた。ちょうど1年前にDJFが先に登っていたわけだ。それから数週間後に武内さんが笹と格闘したんだな。もう1つはかなり古くワンゲル系の標識だろう。見晴らしは樹林で南半分は見えず、北側は見えていた。昨日の妙高も見えている。
無線は時間が時間なので144,430,6mを駆使して運用、どうにか6mで捕まえた。
下山は登りよりも東よりから下って元のルートに合流した。
5:00車-5:06斜面にとりつく-5:25黒湯山着-6:14黒湯山発-6:24車道-6:28車